2026.08.18
200年前の道具を今に伝えるほうき専門店
1830年創業の『白木屋傳兵衛』は、東京・京橋に店を構えるほうきの専門店。穂にイネ科植物のホウキモロコシを使い、江戸時代から受け継がれる職人技で一本一本丁寧につくったほうきを販売しています。板の間用、食卓用、衣服用など用途に合わせた多彩なほうきがあります。
『白木屋傳兵衛』が創業したのは1830年。当初は現在の東京・銀座付近で畳表(畳の芯を覆うい草の織り物)を扱っていました。ほうきを製作・販売するようになったのは創業から約30年後。それまでの家屋は板の間が一般的だったため、掃除にはしなりがなく柔らかいシュロぼうきが使われていましたが、板の間が一般的だった庶民の家屋にも畳が普及し始めたことを機に、店主が畳に適した弾力のあるほうきの需要を見込んで鞍替えしました。
その後、竹材や竹製品が全国から集まる竹河岸(たけがし)という市場のある、現在の東京・京橋に移転し、現在までほうき専門店として営業を続けてきました。
店内に飾られた歌川広重の浮世絵。当時の竹河岸の様子が描かれ、橋の左奥には運ばれてきた竹が立てかけられている様子が見てとれる。
江戸ほうきの掃きやすさのカギを握るのが、穂先のしなり。コシのある穂先が跳ね返る力となって、軽い力で掃けるといいます。穂の材料となるイネ科植物・ホウキモロコシを硬さで選り分け、コシの強い穂と柔らかい穂を絶妙なバランスで組み合わせて、しなやかな掃き心地を実現。7代目店主の中村 悟さんによると、ほうきづくりは、今でも全工程を手作業でおこなっています。すべての工程を習得するには、およそ10年を要するといい、その工程のなかでも特に習得が難しいのがホウキモロコシの選別。一本ごとに異なる太さやしなりを、指先の感覚を頼りに用途ごとにより分けるこの工程が、掃き心地や耐久性を高めるそうです。
そして、使い続けて穂先が曲がってきたら霧吹きで湿らせて、まっすぐになるように形を整え、吊るしておけば穂先が元に戻り、掃き心地が復活します。
しなる穂先がバネのような役割を果たし、軽い力でも効率よくゴミを掃き出せる。
使う場所や目的に応じて、長さ、大きさ、穂の形が異なる約30種類ものほうきを取り揃えるのは、専門店ならでは。例えば、絨毯には繊維に絡まったゴミを掻き出す硬めのほうき、板の間には広い範囲を掃くときに腕が疲れない軽さ重視のほうき、食卓のパンくずなどを集めるのに便利な卓上用ほうき、服のブラシとして使える衣類用ほうきなど、多彩な商品が並びます。
片手で使うほうきは柄が短め。(手前)穂先の量が多く、あらゆる用途に適応する万能ほうき 19,800円、(中央)軽さと穂のボリュームのバランスがいいほうき 13,200円、(奥)長時間使っても疲れないよう、軽さを重視した板の間用ほうき 11,000円
江戸ほうき以外にも職人がつくる伝統的なほうきを扱う。(左)江戸ほうきよりも手頃なシュロぼうきは、板の間用におすすめ。シュロの樹皮に含まれる天然の油分が板の間に自然なツヤを与える 6,600円、(右)硬いシダ製のほうきは、屋外用。一般的なものよりも穂の量が2〜3割多く、へたりにくい 1,650円
この記事の内容は2026年08月18日(公開時)の情報です





