江戸時代から続く、国内唯一の楊枝専門店

さるや

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『さるや』は1704年創業の楊枝専門店。日本原産のクロモジの木でつくった上質な楊枝を取り揃えます。日常づかいはもちろん、桐箱入りなどの贈答用も展開。さらに、職人の手仕事を間近で見られる楊枝づくりの実演や書道家による名入れサービスもあります。

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楊枝の伝来と『さるや』の歴史

江戸時代、数百軒もの楊枝店が軒を連ねていたという日本橋・小網町に創業した『さるや』。日本橋は、江戸と地方を結ぶ起点として多くの人や物資が行き交う場所で、特に小網町には日用品を取り扱う店が集結していました。店名の「さる」は日本語で猿を意味し、猿の歯が白く虫歯がないことに由来しています。当時は、多くの楊枝店が同じ屋号を掲げ、看板代わりに猿を連れて売り歩いていたそうです。その後、歯ブラシの普及とともに多くの楊枝店が姿を消し、現在では、国内唯一の楊枝専門店となりました。

現在、店があるのは、日本橋・小網町から1kmほどの日本橋・室町の路地裏。大型商業施設が立ち並ぶ大通りの喧騒が嘘のよう。

店に飾られている浮世絵は、江戸時代の楊枝店の賑わいを描いたもの。作者は有名な浮世絵師の歌川国芳。

江戸のさまざまな職人を描いた絵巻物の一部に描かれた楊枝店の様子を額装して飾っている。中央には客寄せのために店頭に立つ猿が描かれている。

展示品の中には、江戸時代、歯ブラシとして使われた房楊枝のレプリカも。叩いて繊維をほぐした房側で歯を磨き、尖った部分で歯間を清掃していた。

熟練の職人がつくる上質な楊枝

現在、一般に普及する楊枝といえばシラカバ製が主流ですが、『さるや』ではクロモジ製の楊枝を取り揃えています。クロモジは、しなやかで折れにくい日本原産の木で、清涼感のある香りが特徴です。
熟練の職人による手づくりの楊枝は、その品質の高さから老舗和菓子店や料亭などでも使われています。職人がつくれるのは一日に400本ほど。手に取ればきっと手仕事のきめ細かさを感じられるはず。

店内で週に一度見られる楊枝づくりの実演。まずは、原材料のクロモジをノコギリで切断する。

長さを揃えたクロモジを縦に分割。

幅を小刀で削り、先端を尖らせる。ちなみに、削りに使用する小刀は同じく日本橋に店を構える老舗刃物店『うぶけや』の特注品。

仕上がりがバラつかないよう測定工具で確認。

完成した楊枝。幅1.5mmの細さ。

実演を担当するのは、先代で8代目の山本一雄さん。

かつての職人の遊び心から生まれた細工楊枝の展示。刀、うなぎ、白魚などを模した楊枝から技術の高さが見て取れる。

全工程を手削りで仕上げた個包装の楊枝は店の代表商品。20本入り 1,320円

先端のみ手削りで仕上げ、手ごろな価格に押さえたもの。右側の長い楊枝は和菓子を切り分けて食べるのに使われる。左 6cm 150本 1,100円、右 10.5cm 80本 1,430円

贈り物に喜ばれる、特別な楊枝もいろいろ

特に人気なのは、桐箱入りの楊枝。誕生日や記念日、節目のお祝いや感謝の気持ちを表す贈り物、さらには年末年始のご挨拶や周年のお披露目など、幅広いシーンで重宝されています。絵柄は、侍や歌舞伎役者のイラスト、キャラクターなど幅広い世代に親しまれるデザインが揃っています。また、この桐箱に書道アーティストが名入れをするサービスもあります。

侍のイラストが描かれた紙の包みに、個包装の楊枝が40本入っている。1,320円

かつて侍が使っていた言葉が、日本語と英語で書かれた紙が入っている。なかには日本人でも知らないようなマニアックな言葉も。

桐箱を逆さにすると、隅に開いた穴から楊枝が出てくる振り出し式。990円

携帯用の楊枝入れ。和柄の布で手づくりしている。各1,100円〜

ドラえもんをはじめ、キャラクターやイラスト入りの桐箱が人気。右は、日本の伝統芸能・能に登場する祝いの舞を踊る猿で、物事のはじまりを祝うという意味が込められている。左 70本 1,320円、右 15本 1,540円

箱にかかれているのは、商売繁盛や幸運を願う文字。先代がひとつずつ手書きしている。

名前、会社名、好きな言葉など自由に文字を指定できる。名入れ商品は、事前にオンラインで注文し、店頭で受け取るのがおすすめ。

名入れを担当する書道アーティストの内山 凌さんは、ダンサーとしても活動している。

力強く凛とした筆致が印象的。作者の落款を押して完成。

Photo: Yuya Shida(still), Shiho Akiyama(store)

この記事の内容は2026年07月09日(公開時)の情報です