調理道具専門店街『かっぱ橋道具街Ⓡ』で出会う、日本の名品たち

浅草と上野の中間に位置する『かっぱ橋道具街』は、全長約800mの通りに食器や調理器具などを扱う店舗が約170も集まっている問屋街。飲食業界のプロたちが実用的な調理道具を求めて訪れる一方で、日本製の高品質な商品を求めて一般客も押し寄せる、今では観光客にも人気の注目のスポットとなっています。その『かっぱ橋道具街』で日本の名品探しをしてみましょう。

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『かっぱ橋道具街』ってどんなところ?

大正時代(1912〜1926年)の初め、古道具を扱う商人たちが店を出したことが発祥とされる、浅草と上野の間にある『かっぱ橋道具街』。その後、関東大震災の復興期に菓子道具を扱う商店が増えたことから、食に関連する商店が次々と集まっていったと言われています。現在は約170もの飲食関連の店舗が軒を連ねる日本最大の料理道具の専門街です。
この街の魅力は、日本ならではの高品質な料理道具が揃っている点、そしてその料理道具が用途ごとに驚くほど細かく分類され、圧倒的な種類から選べる点にあります。
例えば、大正元年(1912年)に創業した老舗の料理道具専門店『飯田屋』では、「現在、8,000種類以上の料理道具を取り揃えており、例えばおろし金は250種類くらい、ピーラーも100種類くらい、お玉(レードル)に至っては1,000種類以上も揃えています。たったひとりでも“このサイズが欲しかった!”と喜んでもらえることが嬉しいんですよね」と、6代目・飯田結太さんは言います。
どんな人の要望にも応えようとする品揃えの種類の多さ。これは海外ではあまり見ない、日本らしいこだわりであると言えます。

最小サイズと最大サイズのお玉を紹介してくれた飯田屋の6代目、飯田結太さん。1cc刻みでサイズを揃えたお玉は、もちろん飯田屋オリジナル。

そして、これほどまでに多彩なアイテムを生み出せるのは、細かくこだわり抜いた商品をつくり出せる、腕のいい職人たちが日本には多くいるからこそ。その職人たちの技とこだわりから生まれた調理道具が集まっているのが、この日本最大の調理器具専門店街『かっぱ橋道具街』なのです。

料理道具専門店『飯田屋』でマニアックな料理道具に出会う

創業100年を超える『かっぱ橋道具街』のなかでも、とりわけ老舗として知られる料理道具専門店『飯田屋』。現在の6代目、飯田結太さんが社長になってから、商品数を約3倍以上に増やしており、自社開発のオリジナルアイテムも充実。なかには数々のメディアで取り上げられる大ヒットも生まれています。
店内は“カオス”とも言えそうな、少し見づらくも謎めいた商品配置。けれどそれが「調理道具選びをエンターテイメント化したい」と飯田さんの狙いであり、好奇心や探究心が刺激される、ここならではの買い物体験ができます。
海外の観光客に人気のベスト3はおろし金、キッチンはさみ、ピーラー。日本製の刃物の切れ味のよさが広く認知されていることから、刃物類を目当てに来る人が増えているそう。

1. おろし金『エバーおろし』は飯田さんがこだわり抜いて開発したオリジナル商品。「食材をふわふわに削るために徹底的にこだわり、百分の1ミリ単位で刃の角度を調整しました」(飯田さん)。エバーおろし 4,180円

2.ギザギザが入った超極細刃により、硬くて滑りやすい食材もしっかりホールドして切ることができます。コチコチに凍った冷凍のお肉をパックごと切ることもできます。 ムテキバサミ ライトグレー 4,400円

3.飯田さんが開発に5年かかったという『エバーピーラー』。じゃがいもやにんじんの皮が軽い力でむけるほか、とんかつ屋で出てくるようなふわふわのキャベツの千切りもできます。エバーピーラー 右きき用 3,300円

『エバーピーラー』には左きき用もあります。替え刃もあり、永く使い続けられるところも、日本ならではのこだわりです。 エバーピーラー 左きき用 3,300円、エバーピーラー 替え刃 990円

『和の器 田窯』で日本の名産地の器に出会う

『和の器 田窯』は日本各地の窯元から直接買い付けを行う和陶器の専門店。手頃な価格の普段使いの器から、貴重な1点ものの作家の作品まで幅広く取り扱っています。伝統的な柄や技法を受け継ぐ器から、現代の暮らしに馴染むモダンなデザインまで、好みや用途に合わせ、さまざまな器と出会うことができるお店です。

1.手頃で可愛らしく、ばらまき土産にもぴったりな人気No.1の箸置き。種類豊富で、さまざまなモチーフを模ったものに人気が集まっています。波佐見焼や信楽焼など、焼き物の種類もさまざま。波佐見焼 マヨネーズ 箸置き 790円、有田焼 スケボー 箸置き 840円、波佐見焼 青富士 箸置き 890円

2.絵付けが華やかな九谷焼の豆皿。ガラス質の和絵具の鮮やかな色合いで人気の窯元・青郊窯のものは朝並べても昼過ぎにはなくなってしまうほどだそう。九谷焼 名品コレクション 豆皿 各1,190円

3.日本らしい形の器ということで、お土産にする人が多いお茶碗。信楽焼や波佐見焼など各名産地のものを取り揃えています。信楽焼 水面唐草(青) 飯椀 2,570円

日本のマヨネーズは海外の方の間では『キューピー』の愛称で呼ばれているそう。本来の用途はもちろん、置物としてコレクションする人も多いとか。 波佐見焼 たこ 箸置き 1,090円

昔ながらの伝統的な唐草模様が大胆に描かれた飯碗。自然にできる質感や柄の風合いに味わい深さがあるのが信楽焼の特徴です。

喫茶・厨房器具の『ユニオン』で日本式コーヒー器具に出会う

昭和37年創業の『ユニオン』は喫茶用品の専門店。サイフォンやドリッパーといった日本式の純喫茶でよく使われるコーヒー用品が揃うため、「日本で純喫茶を体験した後に、同じものが欲しいと探しに来るお客様も少なくありません」と営業部の金森さんは教えてくれました。
なかでも人気ベスト3にあがるのが、コーヒーのドリッパーとドリップポット。喫茶店文化が根付いている日本ならではのハンドドリップのための抽出器具は、海外からのお客様にも高い支持を集めています。

1.まるで折り紙を折ったように見えるコーヒードリッパー。縦の溝がペーパーとの間に空間をつくり、お湯の抜けをスムーズにすることで好みの抽出を表現できるという、無駄のないシンプルなデザインです。オリガミ ドリッパー S マットグリーン 2,750円

2.優れた加工で有名な新潟県燕三条にある老舗メーカーで、世界で初めてドリップポットをつくったと言われる『TAKAHIRO』製。日本の技術が活きた極細の注ぎ口が特徴で、誰でも一定のリズムで注ぐことができます。タカヒロ コーヒードリップポット 0.5L 雫タイプ 14,520円

3.『HARIO』の浸漬式ドリッパーは、「お湯を溜めてじっくりコーヒーの成分を抽出し、好みのタイミングで栓を開放してコーヒーを注ぐので、誰でも均一な抽出ができます」(金森さん)。HARIO SSD-200-B 3,850円

箸専門店『はし藤本店』で杉や檜などの国産木製箸に出会う

1910年創業の『はし藤本店』は、約500種類もの箸を揃える箸専門店。もともとは飲食店用品全般を扱っていましたが、「日本の林業や職人技を守りたいという思いから、箸に特化しました」と、4代目店主・上中さんが教えてくれました。11年前に店舗を改装した木の柱を際立たせた店内には、杉や檜、桜など、国産の木材を使い日本の職人が丁寧に仕上げた箸が厳選されて並んでいます。

1.山梨県甲州市のワイナリーで割れてしまったワイン樽を再利用してつくった箸。ワイン樽のオーク材なので水気に強いのが特徴です。ワイン木箸 9,240円

2.職人が手削りで仕上げた能登ヒバの箸と、赤い天然色素で染められた自然な優しい色合いが人気の理由。草木染めの箸 コチニール染 9,600円

3.箱根寄木細工の箸は、箱根から仕入れた寄木の木を、香川で箸の形に削り出すという、職人の技が合わさった逸品。箸置きもセット。箱根寄木細工の箸 22cm 11,880円

ワイン箸は『はし藤本店』のオリジナルで、まるでワイン木箱のような箸箱、チーズの箸置きがセットになっています。

名品探しの合間に寄りたい、駄菓子屋『川原商店』

名品探しの合間にぜひ立ち寄ってほしい注目の店が『川原商店』です。『かっぱ橋道具街』では珍しい食べ物を扱っているお店で、一般客も大歓迎のお菓子の卸問屋です。店内には日本人には思わず懐かしく感じる駄菓子がずらり。1個からの購入はもちろん、箱単位でまとめ買いすることもできます。跡取り不足など影響で、製造が減りつつある駄菓子も多い今、気になるものを見つけたときはぜひ手に取っておきたいところです。

1.見た目の可愛さも受けている知育菓子『たのしいおすしやさん』302円、2.人気スナック菓子がセットになったお好みセット 162円、3.お土産の定番『キットカット』も卸問屋ならではのお手頃価格なのも嬉しいポイントです。キットカット 濃い抹茶 475円

4.鬼滅の刃デザインですぐ売れてしまう『サクマの缶ドロップ』 216円、5.『ポッキー』は首都圏限定の甘酒味が人気。ジャイアントポッキー 東京あまざけ 1,026円、6. 55個入りでもこんなに安い! フィリックスガム 712円

日本の職人の技、こだわりが詰まった、プロも納得する調理道具が気軽に手に入る『かっぱ橋道具街』。道具を探す時間そのものがエンターテイメントになるような買い物体験を、ぜひ現地で楽しんでみてください。

Photo: Shiho Akiyama