2026.01.20
浅草と上野の中間に位置する『かっぱ橋道具街』は、全長約800mの通りに食器や調理器具などを扱う店舗が約170も集まっている問屋街。飲食業界のプロたちが実用的な調理道具を求めて訪れる一方で、日本製の高品質な商品を求めて一般客も押し寄せる、今では観光客にも人気の注目のスポットとなっています。その『かっぱ橋道具街』で日本の名品探しをしてみましょう。
大正時代(1912〜1926年)の初め、古道具を扱う商人たちが店を出したことが発祥とされる、浅草と上野の間にある『かっぱ橋道具街』。その後、関東大震災の復興期に菓子道具を扱う商店が増えたことから、食に関連する商店が次々と集まっていったと言われています。現在は約170もの飲食関連の店舗が軒を連ねる日本最大の料理道具の専門街です。
この街の魅力は、日本ならではの高品質な料理道具が揃っている点、そしてその料理道具が用途ごとに驚くほど細かく分類され、圧倒的な種類から選べる点にあります。
例えば、大正元年(1912年)に創業した老舗の料理道具専門店『飯田屋』では、「現在、8,000種類以上の料理道具を取り揃えており、例えばおろし金は250種類くらい、ピーラーも100種類くらい、お玉(レードル)に至っては1,000種類以上も揃えています。たったひとりでも“このサイズが欲しかった!”と喜んでもらえることが嬉しいんですよね」と、6代目・飯田結太さんは言います。
どんな人の要望にも応えようとする品揃えの種類の多さ。これは海外ではあまり見ない、日本らしいこだわりであると言えます。
最小サイズと最大サイズのお玉を紹介してくれた飯田屋の6代目、飯田結太さん。1cc刻みでサイズを揃えたお玉は、もちろん飯田屋オリジナル。
そして、これほどまでに多彩なアイテムを生み出せるのは、細かくこだわり抜いた商品をつくり出せる、腕のいい職人たちが日本には多くいるからこそ。その職人たちの技とこだわりから生まれた調理道具が集まっているのが、この日本最大の調理器具専門店街『かっぱ橋道具街』なのです。
創業100年を超える『かっぱ橋道具街』のなかでも、とりわけ老舗として知られる料理道具専門店『飯田屋』。現在の6代目、飯田結太さんが社長になってから、商品数を約3倍以上に増やしており、自社開発のオリジナルアイテムも充実。なかには数々のメディアで取り上げられる大ヒットも生まれています。
店内は“カオス”とも言えそうな、少し見づらくも謎めいた商品配置。けれどそれが「調理道具選びをエンターテイメント化したい」と飯田さんの狙いであり、好奇心や探究心が刺激される、ここならではの買い物体験ができます。
海外の観光客に人気のベスト3はおろし金、キッチンはさみ、ピーラー。日本製の刃物の切れ味のよさが広く認知されていることから、刃物類を目当てに来る人が増えているそう。
『エバーピーラー』には左きき用もあります。替え刃もあり、永く使い続けられるところも、日本ならではのこだわりです。 エバーピーラー 左きき用 3,300円、エバーピーラー 替え刃 990円
『和の器 田窯』は日本各地の窯元から直接買い付けを行う和陶器の専門店。手頃な価格の普段使いの器から、貴重な1点ものの作家の作品まで幅広く取り扱っています。伝統的な柄や技法を受け継ぐ器から、現代の暮らしに馴染むモダンなデザインまで、好みや用途に合わせ、さまざまな器と出会うことができるお店です。
昭和37年創業の『ユニオン』は喫茶用品の専門店。サイフォンやドリッパーといった日本式の純喫茶でよく使われるコーヒー用品が揃うため、「日本で純喫茶を体験した後に、同じものが欲しいと探しに来るお客様も少なくありません」と営業部の金森さんは教えてくれました。
なかでも人気ベスト3にあがるのが、コーヒーのドリッパーとドリップポット。喫茶店文化が根付いている日本ならではのハンドドリップのための抽出器具は、海外からのお客様にも高い支持を集めています。
1910年創業の『はし藤本店』は、約500種類もの箸を揃える箸専門店。もともとは飲食店用品全般を扱っていましたが、「日本の林業や職人技を守りたいという思いから、箸に特化しました」と、4代目店主・上中さんが教えてくれました。11年前に店舗を改装した木の柱を際立たせた店内には、杉や檜、桜など、国産の木材を使い日本の職人が丁寧に仕上げた箸が厳選されて並んでいます。
ワイン箸は『はし藤本店』のオリジナルで、まるでワイン木箱のような箸箱、チーズの箸置きがセットになっています。
名品探しの合間にぜひ立ち寄ってほしい注目の店が『川原商店』です。『かっぱ橋道具街』では珍しい食べ物を扱っているお店で、一般客も大歓迎のお菓子の卸問屋です。店内には日本人には思わず懐かしく感じる駄菓子がずらり。1個からの購入はもちろん、箱単位でまとめ買いすることもできます。跡取り不足など影響で、製造が減りつつある駄菓子も多い今、気になるものを見つけたときはぜひ手に取っておきたいところです。
日本の職人の技、こだわりが詰まった、プロも納得する調理道具が気軽に手に入る『かっぱ橋道具街』。道具を探す時間そのものがエンターテイメントになるような買い物体験を、ぜひ現地で楽しんでみてください。













