日本橋で3,000種以上の刷毛・ブラシを扱う専門店

江戸屋

公式サイト
支払情報
現金、クレジットカード、交通系IC
SNS
Wi-Fi

日本橋・大伝馬町で1718年に創業した『江戸屋』は、刷毛とブラシの日本最古の専門店。将軍家御用達の刷毛師が創業し、現在はヘアブラシや歯ブラシ、洋服ブラシ、料理刷毛まで3,000種類以上を取り扱っています。世界各地から選んだ天然毛と職人の手仕事、店頭での丁寧な仕上げ作業によって、上質な道具をつくり続けています。

SHARE

X (Twitter) Share on Threads Facebook LINE

将軍家御用達の刷毛師が創業

1718年に日本橋大伝馬町で創業し、現在もその場所で営業し続ける『江戸屋』。日本で最も古い刷毛とブラシの専門店です。創業者は7代将軍・徳川家継から『江戸屋』の屋号を授かった刷毛師で、障子やふすまに紙を貼る際に糊を伸ばす刷毛や、大奥の女性たちが化粧に使う刷毛などを納めていました。

江戸時代(1603〜1868年)、物流、経済の中心地であった日本橋。大伝馬町は木綿問屋や染屋が多かったことから刷毛の需要が高まり、『江戸屋』がこの地で商いを続ける土台となりました。

明治時代(1868〜1912年)に海外からブラシが伝わると、ヘアブラシ、洋服ブラシ、歯ブラシといった生活用品から、船舶のデッキブラシや工業用の研磨ブラシまで、多種多様な製品を手がけるようになります。

『江戸屋』の建物は、大正時代(1912〜1926年)に建てられた「看板建築」。洋風の外観をもつ店舗併用の住居で、国登録有形文化財に指定されています。軒先から突き出た6本の格子は、刷毛をイメージした意匠なんだとか。

写真は『江戸屋』が加盟している「東都のれん会」のポスター。3代、100年、同業で継続し、現在も盛業している店が集う会で、『うぶけや』、『さるや』、『にんべん』、『山本海苔店』など、日本橋を代表する老舗が名を連ねています。

入り口の戸を開けると、目の前にずらりと並ぶブラシと、天井から吊るされたはたきや洗浄ブラシが目に飛び込み、その品数の多さに圧倒されます。

ヘアブラシは、毛の素材や植え方の違いで20種以上が揃います。

天井から吊るされているのは掃除ブラシ。ペットボトル用、ビン用、ストロー用など、用途違いで数種類あります。

化粧ブラシには山羊毛、リス毛など様々な天然毛を使い、肌あたりの良さにこだわっています。

プロの料理人も愛用する料理刷毛。手前はパン生地に卵液やバターを塗る刷毛、奥は寿司などにタレを塗る刷毛。

素材選びから仕上げまで手を抜かないものづくり

『江戸屋』では、世界各地から取り寄せられた、⾺⽑、豚⽑、猪⽑、リス⽑などの天然⽑を、⽑の量、⽑先の形状、⽊材との組み合わせを⾒極め、⽇本各地の職⼈のもとで刷毛やブラシを仕⽴てています。特に職人による手植えのブラシは、機械でつくるものに比べて毛が抜けにくいのが特徴です。

店に納品されたブラシは、仕上げ職人がひとつずつ櫛で梳かし、不必要な毛を落としながら、毛先をミリ単位で切り揃えます。このように人の手で綿密に仕上げることで、うつくしく仕上がるだけでなく、使い始めてすぐに毛が抜けるのを防いでいます。

仕上げ職人の作業の様子。ブラシに通す櫛は、毛の種類によって目の粗さを変えているんだそう。

櫛を通したことで出てきた長い毛先を切り落とします。

靴磨きの艶出しなどに使われる毛の密度が高いブラシを剪定しているところ。毛の密度が高くなるほど、技術と時間を要するとか。

完成した艶出し用の靴ブラシ。美しく整えられた毛並みに感動し、手に取った瞬間に頬ずりするお客もいるといいます。

道具の歴史を伝える小さな展示空間

伝統工芸品をつくるのに用いられる伝統的な刷毛は「江戸刷毛」と呼ばれ、東京都指定伝統工芸品に指定されています。

店内に入ってすぐ左手には、そんな「江戸刷毛」を展示した、小さな博物館のようなスペースがあります。ふすまや掛け軸などに使用する経師刷毛(きょうじばけ)、版画制作の際に版木に絵の具を塗る木版刷毛、歌舞伎役者がおしろいを塗る白粉刷毛(こなばけ)、人形の顔に顔料を塗る人形刷毛、漆器づくりに使う漆刷毛など、さまざまな刷毛が展示されています。経師刷毛ひとつとっても、素材や長さ違いでいくつもの種類があります。『江戸屋』が注文主の要望に合わせて、一本ずつ丁寧に手づくりしてきたことがわかります。

近年は手ごろな大量生産品が広く流通する一方で、職人が手づくりする刷毛は高級品となりましたが、優れた刷毛は、調度品や工芸品の製造や修復に不可欠な道具。このことを多くの人に知ってもらいたいというのが、お店の思いです。

ショーケースにはさまざまな「江戸刷毛」や、「江戸屋」で過去に製作されていた商品が展示されています。

大正時代(1912〜1926年)に使用されていた手書きの註文帳。工芸品の職人や素材の加工所など、当時からさまざまな顧客がいたことが伺えます。

大正時代(1912〜1926年)に製作した馬毛の判子。象牙や石など硬い素材でつくるのが一般的ですが、馬毛判子は、木箱や、植物で編んだ敷物など、凹凸のある表面に押印する屋号や検品印に用いられました。

暮らしを格上げする使い勝手抜群のブラシ

現在、扱う刷毛とブラシは3,000種類以上。ヘアブラシ、洋服ブラシ、靴ブラシ、掃除用ブラシなど幅広く揃っています。

特に人気が高いのがヘアブラシ。硬さの好みや髪質に合わせて選べて、軽く梳かしただけで艶が出ると、プロのヘアメイクからも支持されています。また洋服ブラシ、靴ブラシはギフト需要が高いアイテム。しなやかでコシのある豚毛を使用していて、ホコリやゴミをしっかりとかき出します。そして最もリピーターが多いのが歯ブラシ。約2cmとコンパクトな先端部が奥まで届き、へたりにくい天然毛のおかげで3〜4か月は使えるというのが魅力です。

また、背中をかくためのブラシやシミ抜きブラシ、隙間掃除用ブラシなど、暮らしの細かなニーズに応える道具も揃っています。

左は柔らかな白豚毛を5行植えたブラシ(15,400円)。細くやわらかい髪やストレートヘア向きです。中央は黒豚毛を密に7行で植えたブラシ(17,600円)。比較的どんな髪質にも使いやすいタイプ。右は硬い猪毛を6行植えたブラシ(14,300円)。髪の量が多い人向きで、S型の柄はロングヘアのブラッシングに適しています。

ヘアブラシは毛の長さをあえて均一にせず植え込むことで、絶妙な髪通りを実現しています。

左の上段は背広の胸ポケットにも収まる櫛形の携帯洋服ブラシ(4,840円)。中段は靴磨き用に使用する(15,400円)、下段は靴のホコリ払いに使う(16,500円)。右はどんな生地にも使用できる万能タイプの洋服ブラシ(30,800円)。毛量を多くして、ブラッシング効率を上げています。

洋服ブラシは、長い毛のまわりを短い毛で囲み、適度なコシに仕上げています。

歯ブラシは硬さ違いで3種。各770円。ピンク、青、緑のカラー展開もあります。

毛の柔らかさ違いで3種。やわらかめ(上)は馬のたてがみ製、ふつう(中)は馬の尻尾の毛、かため(下)は豚毛。

左は馬毛の掃除用ブラシ。窓のサッシなど隙間掃除に活躍します(770円)。中央は馬毛をたこ糸で束ねたシミ抜き用のブラシ。繊維にやさしく、クリーニング屋さんなどプロも御用達です(1,870円)。右は背中をかくためのブラシ。毛の硬さ違いで2種類あります。(3,850円)。

Photo: Yuya Shida(still),Shimpei Fukazawa(store)

この記事の内容は2026年07月22日(公開時)の情報です