時代を映す音楽とカルチャーの雑誌専門古書店

ブンケンロックサイド

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古書の街・神保町にある『ブンケンロックサイド』は、ロックをはじめ、映画、ファッション、アート、アイドル、アニメまで、約2万冊の雑誌を扱う古書店です。なかでも音楽雑誌やカルチャー誌は、1970年代の創刊号から近年までバックナンバーが充実。雑誌を通して、その時代の音楽や流行、人々の価値観に触れることができます。

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音楽雑誌からカルチャー誌まで揃う、神保町屈指の雑誌専門店

世界有数の古書店街として知られる神保町。そのメインストリート・靖国通りでひときわ異彩を放つのが、雑誌専門の古書店『ブンケンロックサイド』です。
1989年に現店主・山田玲子さんの両親が俳句や文学書を扱う古書店として創業しました。音楽好きの山田さんが店を引き継いでからは、当時まだ珍しかった音楽雑誌を中心に扱うようになり、『ブンケンロックサイド』と改名。現在のスタイルへと生まれ変わりました。
店内には、ロックをはじめとする音楽雑誌を中心に、映画やファッション、アート、アイドル、アニメなど幅広いカルチャー誌や関連書籍まで、約2万冊を取り揃えています。
 
音楽雑誌やカルチャー誌のバックナンバーは、創刊号から近年まで国内有数の品揃えを誇ります。その充実したアーカイブを求めて店を訪れるのは、10代から還暦を過ぎた幅広い世代。当時夢中になった雑誌をもう一度手に取りたい人はもちろん、現在好きなアーティストのルーツを知りたい若い世代や、研究や資料収集を目的に訪れる学生やクリエイターなど、多様な人々に親しまれています。

ロックをはじめとする音楽や映画、ファッションなどジャンルごとに書棚を配置。手描きのポップも添えられているため、目当ての一冊を探しやすい店内です。

店内の壁には著名人によるサインの数々が。貴重な雑誌アーカイブを求め、国内外のミュージシャンやクリエイターも訪れるそう。

山田さんをはじめスタッフが一冊ずつページを確認し、切り抜きや付録の欠品までしっかりチェック。状態の良いものだけを店頭に並べ、もし付録などが不足している場合は必ず値札に記載しています。

神保町随一の品揃えを誇る音楽雑誌。洋楽・邦楽を問わず幅広く揃い、また、パンフレットや写真集も充実しています。

ファッションを中心としたカルチャー誌。創刊号から近年まで、ひとつの媒体のバックナンバーをこれほどまとめて見られるのは、この店ならでは。

日本のポップカルチャーを代表する漫画、アニメ、特撮コーナーは、海外からの観光客にも人気です。

店内奥にはアイドル雑誌コーナーも。山田さんの妹がアイドル好きだったことをきっかけに取り扱いを始め、1970年代以降のアイドル誌を通して、日本のアイドル文化の移り変わりを知ることができます。

「インターネットがなかった時代は、音楽、ファッション、映画、アートなど、さまざまな文化を知るきっかけが雑誌でした。最近はSNSで興味のあることを調べれば、すぐに情報が見つかります。でも紙の雑誌には、目的の記事以外にもコラムなどさまざまな情報が載っているからこそ、自分では探していなかった情報や、新たな興味との出会いがある。それが雑誌のおもしろさだと思います」(山田さん)。

店主の山田さんは、長年ハードロックやヘヴィメタルを愛してきた音楽好き。音楽雑誌のことなら山田さんに聞けば間違いありません。

ロック世代を熱狂させた音楽雑誌

山田さんが半世紀近く育んできた音楽への情熱は、そのまま店内の雑誌コレクションにも息づいています。書棚には『MUSIC LIFE』や『BURRN!』をはじめとする海外のロックシーンを伝えてきた日本の音楽雑誌が並び、その充実した品揃えは神保町でも屈指。店内には、バンドの非売品ステッカーやライブ会場で配布されていたコンサートフライヤーなどを扱うファイリングコーナーもあり、当時の熱気を今に伝える貴重な資料も収められています。
「12歳のとき、家の向かいのレコードショップから聞こえてくる音楽に惹かれ、毎日のように通っていました。店主にいろいろ教えてもらって、そこからどっぷり。当時はCDやレコードのアルバムを一枚通して聴いていたので、一曲一曲への思い入れも今以上に強かったと思います。音楽雑誌を見ながら、みんな見よう見まねで楽器を練習したものです」(山田さん)。
 
当時夢中になっていた一冊をもう一度探したい人や、バックナンバーを揃えたいコレクターにも、『ブンケンロックサイド』はぴったりの一軒です。

海外ロックを中心に扱う音楽雑誌『rockin'on』のバックナンバー。1980年代の号は、背表紙を並べると一枚の絵になる仕様で、今なおコレクター心をくすぐります。

1969年の創刊以来、今なお刊行が続くギター専門誌『YOUNG GUITAR』。各号ごとにギタリストを特集し、奏法解説やスコア(楽譜)を掲載。多くの読者が誌面を見ながら演奏を学んだ、ギタリストたちの教科書ともいえる雑誌です。

山田さんが当時愛読していた思い出の一冊『MUSIC LIFE』。海外アーティストを数多く取り上げてきた日本の音楽雑誌で、クイーンが表紙を飾る1976年4月号には、アメリカ公演中のメンバー取材やグラビアなど、ファン必見の内容が収められています。

1980年代に世界的な人気を博したイギリスのロックバンド、デュラン・デュラン。そのベーシストであるジョン・テイラーが表紙を飾った『音楽専科』の1984年3月号は、現在でもこの一冊を目当てに訪れるファンがいる人気号です。

『METALLION』は、ヘヴィ・メタル専門誌『BURRN!』の別冊増刊ムック。モトリー・クルーのニッキー・シックスとメガデスのデイヴ・ムステインが表紙を飾り、彼らのインタビューや特別レポートが収録されています。

『FOOL'S MATE』や『SHOXX』などのヴィジュアル系ロック専門誌。近年は日本のヴィジュアル系バンドが海外でも人気を集め、ライブに合わせて来日したファンが、過去の掲載号を求めて来店することもあるそうです。

アメリカの伝説的ロックバンド・KISSの2003年来日公演フライヤー。当時配布された状態のまま丁寧にファイリングされ、ライブの熱気を今に伝える貴重なコレクションとして販売されています。

雑誌が運んだ、新しいカルチャーとの出会い

『ブンケンロックサイド』には、映画やファッション、アートなどのカルチャー誌も数多く並びます。一部の人気雑誌は創刊号から近年までのバックナンバーが揃っているのも特徴で、思いがけない一冊との出会いを楽しめます。
 
インターネットがまだ普及していなかった時代、雑誌は編集部が現地で見聞きした雰囲気や熱気を届ける貴重なメディアでした。1976年創刊の『POPEYE』をはじめ、アメリカを中心とした海外のライフスタイルを特集した号は、当時の若者たちに新しい価値観を届け、憧れの世界への入り口となりました。『mc Sister』や『KERA』などのファッション雑誌も、海外のトレンドから街のリアルな着こなしまで、その時代ならではのファッションを伝えてきました。
雑誌は、流行を伝えるだけでなく、その時代の空気感を記録し、新しい文化や価値観との出会いを生み出し、憧れを育んできたメディアです。『ブンケンロックサイド』は、そんな雑誌が記録してきた時代の空気感や、当時の人々を夢中にさせた文化や流行に触れられる場所なのです。

1976年創刊の『POPEYE』は、ファッションやライフスタイルを発信してきた日本を代表するカルチャー誌。写真は1982年の「英語絵辞典」特集号で、編集部がニューヨークやロサンゼルスで出会った現地のスラングを紹介したユニークな一冊です。

1998年創刊の男性向けライフスタイル・ファッション誌『Free & Easy』。アメリカンカジュアルやヴィンテージスタイルを数多く取り上げ、写真の2003年号ではアメリカ製の商品を特集。当時のアメリカ文化への憧れが色濃く表れています。

時代を感じさせるイラストが印象的な『Olive』。『POPEYE』の増刊号として誕生した女性向けのファッション&カルチャー誌です。2003年に休刊しましたが、1990年代には多くの若い女性たちのバイブルとして親しまれました。現在も古書として根強い人気を誇ります。写真は1982年発行の号で、アルバイト情報を保存版としてまとめた、当時ならではのユニークな特集が組まれています。

加藤和彦、みうらじゅんなど、当時を代表する文化人による寄稿を数多く掲載した1976年創刊のカルチャー誌『STUDIO VOICE』。横尾忠則など、日本を代表するアーティストも特集に参加しました。

日本のストリートシーンを牽引した雑誌『relax』。ストリートブランド「A BATHING APE」とペプシがコラボした2001年発行の「BAPEPSI」特集号は、限定の迷彩柄ペプシ缶が紹介されるなど、現在もコレクターから高い人気を集める一冊となっています。

1966年創刊の月刊ファッション誌『mc Sister』。アイビールックやプレッピースタイルを発信し、当時の中高生から絶大な支持を集めました。写真は1982年に発刊された号で、当時流行していた1960年代ファッションを深く掘り下げた特集が組まれています。

サーフィン、スケートボード、スノーボードなどの「3S」と呼ばれる横乗りカルチャーと、ストリートファッションやライフスタイルを発信した『Fine』。写真は1986年12月号。サーフカルチャーやカジュアルファッションのムードが伝わる一冊です。

1994年発行のサブカルチャー誌『mono MA-1』。ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークのストリートファッションを特集しています。1990年代以降は、国内外のストリートスナップを通して、リアルなファッションやカルチャーを伝える雑誌も数多く登場しました。

パンク、ロック、ゴシック、ロリータ、ヴィジュアル系など、原宿発のストリートファッションを発信したファッション誌『KERA』。日本独自のファッションを象徴する雑誌として、現在も海外から高い人気を集めています。

Photo: Masahiro Shimazaki

この記事の内容は2026年09月08日(公開時)の情報です