2026.08.24
江戸っ子を夢中にさせた扇子とうちわの専門店
扇子・うちわの老舗『伊場仙』は、かつて将軍に和紙や竹材を納める御用商人でした。浮世絵の版元だった歴史から、浮世絵柄や日本の伝統柄など約300種類もの絵柄を取り揃えています。ワークショップでは、扇子の絵付けなどを体験できます。
『伊場仙』のはじまりは、今から400年以上前の江戸時代にまで遡ります。かつて静岡・浜松で土木職人をしていた初代・伊場屋勘左衛門が、江戸城下の開拓工事に従事するため江戸・日本橋(現在の東京・日本橋)へ移り住み、工事の終了を機に幕府の御用商人となり、やがて扇子やうちわの製造、販売を手がけるようになったといいます。江戸時代後期、扇子やうちわが庶民に広まると、当時発展した木版画の技術を用い、商品に人気の浮世絵師の絵柄を採用しました。どの絵師に、どのような絵柄を描かせ、どんな商品にして流通させるかを仕掛ける商売は、現在でいう、作家やクリエイターを起用し、商品やメディアを通して流行をつくる出版プロデューサーにも近いものだったといえます。江戸っ子にとってうちわは、夏場に涼んだり、虫を払ったり、火起こしに使ったりと、暮らしに欠かせない道具でありながら、自分の好みやそのときの流行を映す小さなメディアのような存在でもありました。『伊場仙』は、そのメディアを通して流行を発信する版元として認知されていきました。
品揃えの中心は江戸扇子と江戸うちわ。江戸扇子は、京扇子に比べて骨の数が少ないぶん、和紙の折り幅が広く、広げたときの大胆な絵柄の配置も特徴です。江戸うちわは、一般的な京うちわと違って一本の竹を裂いて仕立てられています。ほか、手仕事の風合いが感じられるものや、伝統的な柿渋を用いた丈夫なもの、贈り物に向くもの、観賞用など、さまざまな種類の扇子やうちわを取り揃え、その数はおよそ300種類にのぼります。
贈り物として人気の、書道家による名入れ商品。扇子を約100種類の中から選び、希望の文字、色を指定する。英語、ドイツ語、フランス語対応のウェブサイトから事前に注文し、約2週間後に店で受け取れる。商品価格と名入れ代 4,400円
事前予約をすれば、扇子づくりのワークショップを体験できます。まず、白紙に下書きをしてデザインイメージを固め、筆ペンやスタンプやステンシルを使って自由に絵柄を描きます。制作の合間には、扇子の歴史や製法などの知識を深める説明もあります。所要時間は約2時間ほどです。
手順が記載された英語表記の説明書。訪日観光客には英語で説明してくれる。ワークショップ料金(材料費込み)4,400円〜
この記事の内容は2026年08月24日(公開時)の情報です


