新宿の音楽文化を今に繋ぐレコード店

ユニオンレコード新宿

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『ユニオンレコード新宿』は、1967年に誕生した音楽ショップチェーン・ディスクユニオンの名前を受け継ぐ店として、長い音楽の歴史を持つ新宿という街で、いま改めてレコードの魅力を発信しています。店内には幅広いジャンルのレコードが並び、一枚一枚に記された細かなコンディションを確認しながら、自分に合う一枚をじっくり探すことができます。新宿の街が積み重ねてきた音楽文化を感じながら、レコードと向き合える場所です。

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東京・新宿エリアの音楽史を現代へつなぐ場所

「ユニオンレコード」という名前は、音楽ショップチェーン・ディスクユニオンが1967年にレコード販売を始めた当時の屋号です。現在の『ユニオンレコード新宿』は、その歴史ある名前を引き継ぎ、半世紀前にはじまった「レコード文化の発信」を、あらためて新宿から再始動させる場所として生まれました。

新宿がレコード文化とこれほど深く結びついてきた背景には、この街に根付いた音楽文化の歴史があります。

1960年代、新宿は学生や文化人が集まるカルチャーの拠点でした。当時、海外のロックやジャズのレコード(輸入盤)は非常に高値で入手も限られており、それらを聴く場として「ジャズ喫茶」が数多く存在してきました。また、1965年にはジャズライブハウス『新宿PIT INN』が登場し、新宿には音楽を楽しむカルチャーがしっかりと根付いていったのです。

1970年代に入り、レコードが一般化すると、中古レコードの売買も盛んになります。新宿には多くのレコード店が集まり、レコードを売る、買うという環境が整っていきました。こうした積み重ねにより、新宿は豊富なレコードが揃うエリアとして広く知られるようになり、音楽の「アーカイブ」を体感できる街へと進化していったのです。

『ユニオンレコード新宿』は、こうした新宿の音楽文化の延長線上に位置しながら、1967年の屋号をあえて掲げることで、この街に蓄積された音楽文化を次の世代へ受け継ぐ役割を担っています。

現在の『ユニオンレコード新宿』の外観。

1階フロアに広がるのは、ジャンルの境界を超えたレコードの海。最新の新作からヴィンテージ盤までが共存する棚は、歴史を積み上げるアーカイブの街・新宿を象徴している。

アーカイブの街・新宿を映す全ジャンルの棚

『ユニオンレコード新宿』の大きな特徴は、あらゆるジャンルのアナログ盤が並んでいる点です。通常、新宿エリアのディスクユニオンはジャンルごとに店舗が細分化されていますが、ここではロック、ジャズ、ソウル、ヒップホップ、パンク、J-POPまでをひとつのフロアで見て回ることができます。

特筆すべきは、同じアーティストでも発売当時の音や仕様を伝える「オリジナル盤」や、解説・帯が付いた「国内盤」などが一緒に並んでいる点です。仕様や音質、盤の状態の違いをその場で比較しながら、自分に合った1枚を選ぶことができます。

ロック/ポップスの棚。ザ・ビートルズなどのマスターピースから近年のインディーロックまでがアルファベット順に整然と並びます。

左はリミッターを強くかけた初期音圧重視のザ・ビートルズ『SECOND ALBUM』、右はケン・スコットによる立体的なミックスが光るデビッド・ボウイ『Ziggy Stardust』。同じロックでも、録音思想の違いを読み解く楽しさがある。

70年代パンクから現行までスタイル別に区分されたパンク/ハードコアの棚。

スティッフ・レコーズ発の初期パンク、ザ・ダムド『DAMNED DAMNED DAMNED』(左)と、デジタルディレイを用いた80年代メタルの旗手、アイアン・メイデン『サムホエア・イン・タイム』(右)。機材の進化がそのままサウンドの変遷として刻まれている。

ブルーノートやプレスティッジなどの名盤が並ぶジャズコーナー。中古盤のコンディション表記の細かさは、信頼の証。

ハードバップ期の熱気溢れるライブ盤『KENNY BURRELL WITH BLAKEY』(右)と、日本のジャズ・ボーカルの名作、細川綾子+今田勝カルテット『NO TEARS』(左)。日米のジャズの深淵が隣り合う。

世界各国のグルーヴが集まるソウル/ファンクの棚。レアなオリジナル盤から、フロアを沸かせる再発盤まで網羅しています。

1975年という同年にリリースされた、ベテイ・デイビスの野生味溢れるファンク『Nasty Gal』(左)と、カーティス・メイフィールドによる静謐なシカゴ・ソウル『There’s No Place Like America Today』(右)。当時のブラックミュージックが持っていた多様な方向性を示している。

本場US産から、世界中が注目する「ジャパニーズ・ヒップホップ」まで、幅広いラインアップを誇るコーナー。

タイラー・ザ・クリエイター『Call Me If You Get Lost』(左)とデ・ラ・ソウル『stakes is high』(右)。90年代以降のUSヒップホップを、世代の異なる作品で見られる。

1970年代のルーツレゲエの金字塔ボブ・マーリー『EXODUS』(右)と、2000年代以降の現行レゲエシーンを牽引する10 FT. GANJA PLANT『Pure Sugar』(左)。ジャマイカから世界へ広がったリズムの歴史を対比できる。

良盤に出会うための「帯」と「価格カード」

『ユニオンレコード新宿』の棚に並ぶ一枚一枚には、盤(VINYL)とジャケット(COVER)の状態、帯の有無、特記事項を記した「価格カード」が添えられています。なかでも当時のレコードに巻かれていた「帯」の有無は、レコードを選ぶ際の大きなポイントです。帯とは、日本盤のレコードやCDに付けられた細長い紙で、作品情報や価格などが記されています。かつては単なる付属品でしたが、世界中のコレクターが重要な価値として認めています。

また、価格タグの色によって入荷状況や値下げ品が視覚的に区別されているのも、この店ならではの工夫です。保存用として、状態のよい「ミントコンディション(極美品)」を求めるのか、日常的に楽しむために手頃な一枚を選ぶのか。そうした目的に合わせて、情報を見比べながら選ぶ時間そのものが、このお店でレコードを掘る醍醐味になっています。

レコード一枚ずつ丁寧に作成された価格カード。盤面(VINYL)とジャケット(COVER)のコンディションが独自の厳格な基準でランク付けされています。

日本盤レコードの象徴「Obi(帯)」。丁寧な保管文化を象徴するこのパーツは、世界中のコレクターから重要な価値として認めている。

1階から上階へ、音楽ビルを巡る

1階の『ユニオンレコード新宿』でオールジャンルの熱気に触れた後は、そのまま上階へ。2階には映画や音楽書籍を扱う『シネマ館・ブックユニオン新宿』、3階には『新宿ジャズ館』、4階には『新宿ソウル・ダンスミュージックショップ』と、フロアを上がるごとにその専門性は深まっていきます。1階を起点として、自らの興味が向くままにビルの上層へと潜っていくことができます。

2階の『シネマ館・ブックユニオン新宿』。音楽ソフトだけでなく、貴重な音楽書籍や雑誌、インディペンデントなZINEまでが揃う。

3階の『新宿ジャズ館』、4階の『新宿ソウル・ダンスミュージックショップ』。

Photo: Shinpo Kimura

この記事の内容は2026年05月03日(公開時)の情報です