そばも中華もカツ丼も揃う、昔ながらの “町そば” の老舗

廣栄屋

住所
東京都世田谷区北沢3丁目21−1廣栄屋
最寄駅
下北沢駅 徒歩7分
支払情報
現金
Wi-Fi

『廣栄屋』は1960年創業と、下北沢で最も古いそば屋で、昔ながらの“町そば”の空気を今も色濃く残します。“町そば”とは、家族経営で地域に根ざし、そばやうどんだけでなく中華そばや丼物、定食まで揃えるそば屋のことで、『廣栄屋』も手頃な価格と幅広いメニューで、町の大衆食堂として長く親しまれてきました。自家製麺のそばやうどんに加え、カツ丼や中華そばなど、多彩なメニューを揃えるこのお店をおすすめしてくれたのは、下北沢の古着店『Pheasant』のスタッフたち。休憩や仕事前によく通う、彼らにとって馴染みのある一軒にともに訪れました。

SHARE

X (Twitter) Share on Threads Facebook LINE

創業から変わらない、こだわりの自家製麺

下北沢で最も古い老舗そば屋である『廣栄屋』では、1960年創業以来、毎日仕込む自家製麺を提供しています。細打ちのそばは、国産のそば粉にこだわった二八そば(そば粉八割、小麦粉二割で打ったそば)で、しなやかなコシと軽やかな喉ごしが特徴です。営業後も毎日欠かさず続く仕込みが、創業から変わらない廣栄屋の味を守っています。つゆは、鰹出汁に調味料をその都度加えて仕上げる独自の製法。甘みがありながらも重たさがなく、するりと食べ進められる味わいです。

注文ごとに茹で上げる自家製麺。約1分で茹で上がり、提供の速さにもつながっています。

長野県産のそば粉と小麦粉を使った二八そば。

一般的な「かえし」(醤油・みりん・砂糖を合わせて寝かせる、そばつゆのベース)は使わず、鰹出汁に調味料をその都度加えて仕上げるのが、『廣栄屋』のスタイル。

厨房奥には製麺機も。創業当時から変わらず、毎日ここで麺を仕込んでいます。

肉厚でジューシーな鴨肉とネギがたっぷり入った鴨せいろは、お店おすすめの人気メニュー。冷たい細打ちそばに、熱々でコクのあるつゆがよく合います。鴨せいろ 1,300円

そばを注文した人は300円で追加できる小カレー。福神漬けを添えた、家庭的な味わいです。量もちょうどよく、一緒に注文する人も多い一品です。小カレー 300円

古着店『Pheasant』スタッフの田中寛人さんのお気に入りは、甘露煮のにしんにたっぷりの白髭ネギとほうれん草を添えた、にしんそば(1,070円)。

「甘辛く煮付けされた大きなにしんが絶品! にしんの旨みが濃いめの出汁に溶け出した、コクのある一杯です」(田中さん)。

老舗そば屋らしからぬ異色の名物は必食!

老舗そば屋らしいメニューが並ぶなか、ひときわ目を引く名物が「ギガたまOjiyaカレーうどん」。下北沢で毎年開催される人気イベント「下北沢カレーフェスティバル」をきっかけに生まれた一品です。そばつゆをベースにしたカレーに自家製麺のうどんを合わせ、20個ものうずらの卵をのせたインパクト満点の一杯。さらに、うどんの下にはとろろとご飯が隠れており、食べ進めるほどに“おじや”のような味わいも楽しめます。うずらの卵は、国内有数の産地として知られる豊橋産のものを使用。見た目のインパクトだけでなく、素材選びにも『廣栄屋』のこだわりが光ります。

『廣栄屋』の名物「ギガたまOjiyaカレーうどん」。商店街の研修旅行で訪れた愛知県で出会った、豊橋カレーうどんをヒントに生まれたメニューです。ギガたまOjiyaカレーうどん 1,600円

そばつゆをベースにカレー粉と片栗粉でとろみをつけたカレーが自家製麺のうどんによく絡みます。出汁がしっかり効いた、辛さ控えめで食べやすい味わいです。

豚バラやネギなどの具材もたっぷり入っているのが嬉しい。

うどんを食べ進めると、おじやが登場! とろろは2種類をブレンド。粘りの強い千葉県多古町産の大和芋をベースにもう一種を合わせ、麺やスープ、ご飯と絡みやすいバランスに仕上げています。

「贅沢な二段構え! ガッツリ食べられて、見た目も味もインパクト抜群です」(『Pheasant』スタッフ 齊藤帆高さん)。

昔ながらの“町そば”の風景と、多彩なメニュー

『廣栄屋』の魅力は、昔ながらの「町そば」の空気が今も息づいていること。“町そば”とは、家族経営で地域に根ざし、そばやうどんだけでなく、中華そばや丼物、定食まで揃える、気取らないそば屋のことです。手頃な価格と幅広いメニューを楽しめることから、町の大衆食堂として長く親しまれてきました。ここ『廣栄屋』の店内には、長年通う常連客や近隣で働く人々、古着を楽しむ若い世代の姿があり、下北沢らしいローカルな風景が広がっています。

店内は約28席。4人席と6人席があるので、グループや家族連れでも利用しやすい。

そばやうどんに加え、ラーメンやタンメン、五目中華などの中華メニュー、天丼や親子丼など、丼ものも充実。

「店内がノスタルジックで、僕が好きな昔ながらの下北沢の空気を感じます。老舗らしい雰囲気のなかに、若い人たちもいて、新旧がミックスされている感じが今の下北沢らしいなと思います」(田中さん)。

そば屋といえば、カツ丼も外せません。『廣栄屋』のカツ丼は、常連にもファンが多い、隠れた人気メニュー。カツ丼 1,180円

鰹節と鯖節の出汁が効いたかえしがたっぷりと染み込み、とろっとした半熟卵と玉ねぎの相性も抜群! 一般的にはカツを縦に切ることが多いですが、『廣栄屋』ではピザのようにカットするスタイル。

中華そばも自家製麺。醤油ベースの王道スープに、チャーシューやメンマ、今では珍しいうずまきナルトがのった、クラシックな一杯です。中華そば 720円

6種の具材を楽しめるおでん定食。昆布出汁がしっかり染み込んだ、ホッとするやさしい味わいです。定食にはとろろも付きます。おでん定食 1,100円

味だけじゃない。ローカルが通い続けたくなる理由

 『廣栄屋』の本家は、東京・大田区の蓮沼にある創業100年を超える老舗。暖簾分けによって生まれた下北沢のこの店もまた、家族の手で受け継がれてきました。「美味しいものを、できるだけ手頃な価格で、誰もが気軽に食べられるそばを」という、先代から受け継いだ想いと、仕込みから調理、配膳まで、息のあった家族の連携が、この店の味と空気を支えています。再開発などで街が変わり続ける下北沢の中で、創業当時から変わらずにあり続ける一軒。長く通う人が多いのも、そんな変わらない安心感があるからかもしれません。

下北沢の北エリア「下北沢一番街商店街」に店を構えて65年以上。かつてはそば屋が多かったというこの街で、いまでは最も古い老舗として残っています。

創業当時から使い続けているのれんは、今もその面影を残します。

店内の壁には、創業当時に本店から贈られた祝いの鏡が飾られています。

以前出前で使用していた自転車。せいろを高く積み上げて、片手で運転するそばの出前は、昔の東京ではおなじみの風景だったそう。

店を切り盛りする3人。左から時計回りに、熊切栄一さん、熊切政義さん、大鐘八重子さん。栄一さんと政義さんは兄弟で、八重子さんは叔母にあたります。

調理を担うのは八重子さんと栄一さん。麺が茹で上がるタイミングに合わせた盛り付けなど、厨房では長年培われた息のあった連携が見られます。

料理ができあがると、八重子さんの活気ある掛け声が店内に広がり、明るく温かい雰囲気をつくり出します。 八重子さんは愛嬌のあるチャーミングな人柄で、昔からこの町のお母さんのような存在として親しまれています。

常連から初めての来店客まで、分け隔てなく温かく迎えてくれます。

『Pheasant』店主・田中寛人さん(右)、齊藤帆高さん(左)

おすすめしてくれたのは……

古着店『Pheasant 』店主・田中さん

「『廣栄屋』では、最近の下北沢では珍しい、昔ながらのローカルな雰囲気を味わうことができるのでおすすめです! 味はもちろん、満足度の高いボリュームのあるメニューが豊富に揃っているので、後輩や仲間と仕事前によく訪れます」

Photo: Taro Ota

この記事の内容は2026年05月14日(公開時)の情報です