2025.06.03
「自分が考える黄金比のハイヒールを作りたい」。そんな思いから2017年に東京で誕生した『YELLO』(イエロ)は、いまや国内だけでなく海外からも大きな注目を集めています。日本のカルチャーとユーモアを織り交ぜつつ履き心地のよさにもこだわった唯一無二のシューズ作りは、確実にシューズ業界に革命を起こしたと言えるだろう。クリエイティブディレクター・星あや氏のインタビューから『YELLO』ならではの魅力の源を探ってみましょう。
YELLOクリエイティブディレクター・星あや氏
まず『YELLO』というブランドが生まれたきっかけを教えてください。
私は10代の頃からずっと雑誌などでモデルをやらせてもらっていたんですけど、月刊誌をやっているとなかなか長い休暇が取れなかったんです。レギュラーの雑誌が終わってからたくさん海外に出かけるようになって、そこでいろんな経験をしながら、これからどうやって人生をステップアップしていくか考えると、やっぱり私にはファッションしかないと思って。
海外で生活して思ったのは、東京って世界の中でも最先端のファッション都市で、何でもあるはずなのに、自分が履きたいハイヒールだけがないなって。マイアミに留学していたときも、みんな昼はスケボー持って外で日焼けを楽しんだりしているんですけど、夜のパーティーではきっちりヒールを履いてドレスアップするのが当たり前。そういった「その場その場を思いっきり楽しむような文化」が好きだったんですよね。でも東京には私が考える「黄金比のハイヒール」がない。自分が素敵だと思えるハイヒールは海外にしかなかった。だから日本でそういうものを作ることにチャレンジしたくなったんです。
ブランド名『YELLO』にはどういう意味が?
まずは誰でも読めることが第一でした。HELLOが読めるなら『YELLO』という名前も親しみを持ってくれるんじゃないかって。色の名前がついたブランドはたくさんありますが、黄色を選んだのは足元でいちばん目立つ色だから。道路とか電車のホームに引かれている線でも黄色は注意喚起の色ですしね。
あと、『YELLO』には“エロ”の響きもあって、ちょっとした下心を隠しているんです。男女問わずセクシーに歩いてほしいっていう気持ちも大きいです。
ブランドとして目指している人物像はありますか?
ハイヒールといっても異性を追っかけたり後ろからついていくようなタイプではなくって、同じ歩幅でしっかりカツカツ歩いていくような方を当初からイメージしていました。「会いたい人のところへ、しっかりと歩幅を大きく背筋を伸ばして、凛として歩いていける靴」を目指しています。日本の都市ってどこも電車が発達していて車に乗らなくてもどこでも行けるので、歩くのが楽なハイヒール作りも重要なポイントだと思っています。
日本のタトゥーカルチャーをバックボーンとするブランド「SOFTMACHINE」とのスペシャルコラボレーションロングブーツ
スポーティーなムードを落とし込んだスニーカーミュールもブランドを代表するアイテム。
2017年に発表した最初のシーズンから、ファッション業界では話題になっていました。
私がそのとき欲しいものを作っていただけで、万人受けを狙っていたわけではないんですが、それがよかったのかもしれません。『YELLO』が好きだと言ってくれるすべての方のことを考えながらデザインしていますが、今でも「私が欲しいものを作る」ということは反映しています。
今ではセレブリティにもファンが多いですね。
おかげさまで日本では名だたるセレブリティの方々に履いていただいています。最近ではXGさんやBLACKPINKさん、Tylaさんなど海外で活躍しているアーティストの方にも愛用していただき、多くの海外の方にも認知していただけるようになってきました。
他にはないようなデザインも多いですが、どういったところからインスピレーションを受けていますか?
幼少期からさまざまなカルチャーとともに育ち、ファッション以外にも興味の幅が広いので、それらから影響をかなり受けています。実家がゲームセンター経営で、漫画やアニメなどのカルチャー、90年代の映画やSF、ビジュアル系バンド、2000年代は渋谷ギャル文化の真ん中に身を置き、日本のドメスティックカルチャーをどっぷり体現したからこそ、ユニークなエッセンスをグローバルトレンドと融合させて、デザインに落とし込めていると自負しています。オタクとギャルのハイブリッドなバイブスこそ『YELLO』を構築する上で、他ブランドと一線を画す重要な要素だと思っています。
ただ、「日本発!」ということを背負っている気持ちはなくて、私が生きてきた中の価値観で、国内外問わずに、ワクワクするもの、美しいと思ったものを素直に取り入れています。アメリカ、ヨーロッパで留学を経験し、訪れた多くの国からのインスピレーションも、『YELLO』に欠かせない非常に重要なエッセンスです。今は私以外のデザイナーも増えていますし、いろんな世代で、いろんな経験をしてきた子たちの新しい美も投影しているので、デザインもさらに面白くなってきたと思っています。
2017年のファーストコレクションより。ジェンダー、ボディサイズ、年齢を問わないというポリシーは当初から一貫している。
2020年春に発表されたヴィジュアル。シーズンテーマは“WABI SABI”。
シューズひとつひとつに個性的な名前をつけているのも面白いですね。
たとえば黒いハイヒールを「ブラックハイヒール」って呼ぶのは味気ないですよね。靴の個性を表すような名前があることによってデザイナーの頭の中を想像したり、名付けた背景を考えるとハッピーで楽しい気持ちになりませんか。ブランドとしても1個1個のアイテムに名前をつけて、愛情深くお客様の元に届けたいですし、買った靴に愛着が持てるというお客様からの声もあるんです。
そういった靴への愛情はクオリティにも表れていますよね。
もちろんです。インソールの内部に低反発クッションを使用したり、アウトソールも素材から機能性までこだわっています。新しく開発も進めていることもあります。私たちのシューズって手作りの部分が大きいんですよね。工場視察にもよく行きますが、ここにあるすべての靴は機械でガッチャンガッチャンって簡単に作れるものではなく、木型を作るところから始まってたくさんの人の手と努力の結晶で1足のペアができているので、工場の方々には本当に感謝しています。
いまやブランドを代表するアイテムとなったスニーカーブーツ。すべてのシューズは有名なメゾンブランドと同じ工場で作っているという。
日本各地の文化からインスピレーションを受けた個性的な名前のシューズたち。(上段右から)OSAKA DESIRE、NAGOYA MORNING、、HARAJUKU PINK、IZU WASABI 、HAKATA MENTAI、SAPPORO BUTTER
靴への愛情だけでなく、『YELLO』のフィッティングサロンはホスピタリティがすごいと評判ですね。
ありがとうございます。表参道のフィッティングサロンは「すべてのお客様がVIP」というコンセプトでやっています。海外からのお客様もどんどん増えているので、TAX FREE対応はもちろん、可能な限り世界中どこにでも配送できる体制を整えました。日本国内は送料無料なので宿泊先にも無料でお届けできます。バイリンガルやトリリンガルのスタッフを集めるようにしたり、サイズも2XL(26.5cm)まで対応したり、海外のお客様でも安心して『YELLO』のホスピタリティを受けていただけるように努力しています。
これからの『YELLO』が目指していることはなんですか?
むやみにブランドを大きくしてたくさんの店舗を出したいわけではないんです。海外の方からの注目はもちろん増やしたいですが、ターゲットを広げるために中身を薄めてしまうことだけは絶対にしたくありません。自分自身では今できることをマックスでやっていますし、これからも誠心誠意、『YELLO』を好きだと言っていただける全員に向けて、全力を振り絞っていきたいですね。
どこよりも早く新作の試着ができるチャンス! 渋谷の新しいランドマークとなったMIYASHITA PARKにて2025年5月20日より『YELLO』のポップアップストアが開催されます。お買い上げいただいた商品はその場でお持ち帰りいただけます。先着順でノベルティもお渡ししていますので、ぜひこの機会に『YELLO』の世界を体感してみてください。
YELLO 2025 S/S POP UP STORE in MIYASHITA PARK
日程:2025年5月20日〜6月12日
営業時間:11:00〜21:00
住所:東京都渋谷区神宮前6-20-10. MIYASHITA PARK NORTH 1F(N-7)
※シューズをお買い上げいただいたお客様へ先着順でノベルティをプレゼント。
※ノベルティはなくなり次第終了となります。
※ノベルティはお一人様につき1点までとさせていただきます。
1985年静岡県生まれ。17歳で雑誌「BLENDA」でモデルデビュー。その後「Happie nuts」専属モデルとして活躍し2009年に卒業。その後は日本と海外を行き来する生活を送る。2017年にシューズブランド『YELLO』を自ら立ち上げ、クリエイティブディレクターに就任。
Instagram:@yelloshoes_official
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