『TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026』でデザインの魅力や価値を再発見する

国内外のクリエイターが交流し、デザインとアートの街として存在感を高めてきた街・六本木。そのムーブメントの一翼を担う東京ミッドタウンで開催されているのがデザインと触れ合う秋の祭典『TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE』です。2026年のテーマは「みつめる」。展示を中心に、音楽、食、本など多様なコンテンツを通じて、日常を少し豊かに変える「デザイン体験」を提供します。

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デザインとアートの街・六本木で「参加」する体験を

美術館やデザインの発信拠点が集まり、知的好奇心が刺激される街・六本木。

東京ミッドタウンは開業以来、「デザイン&アート」を街の個性として掲げ、創造性や知的好奇心を育む文化発信拠点として歩んできました。街には、21_21 DESIGN SIGHTや東京ミッドタウン・デザインハブを擁し、デザインの価値や可能性を発信するとともに、次代の才能やアイデアを育む場としての役割を担っています。

その取り組みのひとつとして、2007年から2024年まで17回にわたり『Tokyo Midtown DESIGN TOUCH』を開催し、多くの来街者にデザインとの出会いを提供してきました。2025年、その理念を受け継ぎながら、より日常との接点に着目した新しいデザインイベント『TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE』として再始動。

2回目となる2026年も、クリエイティブディレクターには、Eテレで人気の番組「デザインあ」の総合指導を行うグラフィックデザイナー・佐藤 卓さんを、「DESIGN LIVE EXHIBITION」のキュレーターには、デザインジャーナリストとして活躍する土田貴宏さんを迎え開催しています。
 

作品展示「DESIGN LIVE EXHIBITION」では、芝生広場に3組の作家による作品が並びます。秋のやわらかな陽射しの中、ピクニック気分で作品に触れあうことも。

今回のテーマである「みつめる」。会場のいたるところにフラッグが掲げられています。

「日常生活の中にはいろいろなデザイン上の工夫があり、活かされています。しかしそれらのほとんどは無意識の中に沈んでしまいます。ほんの少し目を向ければ、日常はもっとおもしろくなるのではないでしょうか。現代社会は情報に溢れていて、何か1つのものごとに集中してみつめる時間がなくなってきているように感じます。ぜひ、本イベントを機に、“みつめる”時間を楽しんでください」(佐藤卓さん)

「今回キュレーターとして、『みつめる』というテーマにフィットするクリエイターを選出させていただきました。デザインは、目に見えるもの以外にも存在します。単純に『見る』だけではなく『みつめる』ことで、そうしたバックグラウンドを追体験できるような作品が揃っていると思いますので、ゆっくりと楽しんでいただけたらうれしいですね」(土田貴宏さん)
 

シンボルマークは、縦に並ぶ3つのハートで構成。エッジをきかせたり、柔らかさを表現したりしつつ、「何かと何かの間を適切につなぐもの」としてのデザインを表現しているそう。

クリエイティブディレクター・佐藤 卓さん

DESIGN LIVE EXHIBITIONキュレーター・土田貴宏さん

「あたりまえの日常が、おもしろくなるデザインイベント」をスローガンに、作品展示のみならず、音楽、本などの多彩なプログラムを通じて、日常に潜む“デザイン”の魅力や価値を再発見。東京ミッドタウンならではのオープンなスペースの中で、作品に近づいたり、俯瞰したり、ときには手で触ってみたり。好きな距離・角度で「参加」することを楽しみ、自由気ままに作品を「みつめる」ことができるのが『TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026』の大きな特徴です。

国内外で活躍するクリエイターの作品に触れてみる

中心となるプログラムは、国内外で活躍するクリエイターの本格的なデザイン作品展示「DESIGN LIVE EXHIBITION」です。19組のクリエイターや新進気鋭の作家がイベントに参加、「みつめる」をテーマに、見る者に“気づき”を与える作品が、芝生広場や館内ガレリアに集いました。

「みつめる」というテーマを成り立たせる上で、ポイントとなっているのは「素材」の扱い方。中でも目を惹くのは、芝生広場で公開されている『ForestBank|Made in TOKYO MIDTOWN』と題された狩野佑真さんの作品群です。

廃棄されることが多い樹木の枝葉に水性アクリル樹脂を混ぜて固めた「ForestBank」は、新たなマテリアルとして注目を集めている素材の1つ。これを自然そのままの丸太と共に並べることで、森と都市に共存する木々について視点を広げ、身の回りにある自然を新しい角度からとらえ直すきっかけになります。

合計100本の切り株がずらりと並ぶ「Time in Trees(木の時間)」は、狩野佑真さんの作品。 奈良県御杖村から切り出された針葉樹と、岐阜県飛騨古川町から切り出された広葉樹、そして、狩野さんオリジナルのマテリアル「ForestBank」を並べることで、さまざまな違いに気付くきっかけを与えてくれます。

実際に手で触ったり、動かしたり、座ったりしながら、一本一本の重さや手触りを感じることができます

狩野さんオリジナルのマテリアル「ForestBank」は、多様な枝葉をアクリル樹脂とともに固めた独自の素材。東京ミッドタウンの敷地内で生まれた剪定材も使用しているのだとか。

東京造形大学で室内建築を専攻した狩野佑真さんの手掛ける作品は、プロダクトやインテリアを俯瞰する独自目線が魅力。今回のエキシビジョンでは「木をみつめることにチャレンジした」そう。

狩野さんによる「Logs as They Are(木の姿)」は、奈良県御杖村から切り出された丸太を都市空間内に武骨に並べることで、木が育ってきた環境や時間の痕跡を感じさせるデザインに。荒々しい生命の痕跡を残すことで「木の、そのままの姿を感じてほしい」。

「Looking at Trees(木をみつめる)」も狩野さんの作品。つかわれたのは、すべて東京ミッドタウンの敷地内で生まれた剪定材。それぞれの枝が、過ごしてきた時間や環境を想像してみることも作品を見る楽しみです。

同じく屋外に展示されたのが、生態系構築ユニット・veigと本多沙映さんによる「世界のふるまいをみつめる」、デザインスタジオ・TAKT PROJECTによる「関係のレッスン - Dialogue with Trees -」。芝生の柔らかさを足元に感じながら作品をみつめ、周囲の木々にも目を向ける。作品をきっかけに、その背景にある風景まで意識が広がります。
 

風景の中にひそませた差異に目を凝らすことで、私たちが何を手がかりに自然や世界を認識しているのかを問いかける、生態系構築ユニット・veigと本多沙映さんによる「時間をみつめる」。生垣の植物に人工の葉や枝を加えて、本来ならば、成長を待つことで埋まっていく隙間を補っています。

作品「振る舞いをみつめる」。本物の植物に紛れたフェイクの葉やススキが表すのは、時間と自然界の時間間隔の差や、自然を思う通りに操ろうとする人間の傲慢さなのだそう。

もし植物が「人にみつめられることに応じて、その方向に向かう性質」を持っていたならがテーマの 作品「対象をみつめる」。フェイクの植物が鑑賞者のいる方向へ向けて配置されています。

デザインスタジオ・TAKT PROJECTによる「関係のレッスン - Dialogue with Trees -」は、東京ミッドタウンに息づく植物をみつめ、環境との対話から生まれるものづくりを探るインスタレーション。

子ども時代に抱いていた想像力をデザイン化し、身近にある環境との関わり方を考える作品群。「自然と人工物との新しい関係を見つめなおすきっかけになれば幸いです」(吉泉聡さん)

さらにガレリアB1・1Fにも多彩な作品が並び、素材や形、つくられ方など、作り手それぞれの着眼点に触れることができます。

館内ガレリア中で『TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026』が体感できます。

こちらはデザイナーとアーティスト。2つの顔をもつ寺山紀彦さんの作品「Artificial and dried flowers that were arranged」。本物の植物とプラスチック製の植物が規則的に並び、みつめる者に“不思議な心地よさ”を感じさせます。

オフィスや学校の天井で数多く使われてきた石膏ボード。役目を終えて廃棄される素材を再利用した「Ceiling」は、プロダクトデザイナーのビューリー 薫 ジェームスさんの作品です。鮮やかな色をまとわせることで、見慣れた素材に創造性を付与。リサイクルやリユースとは一線を画する新たな命が吹き込まれた作品は「みつめる」ことで新たな価値や美を発見するきっかけになりそう。

京都市を拠点とし、道具屋とデザインスタジオ、2つの軸で活躍する3人のクリエイターから成るユニット・studio monoya。「車に乗せて京都から運んできました」と語る作品は「Matter/Brick」。産業廃棄物となっていた耐火煉瓦のフォルムや痕跡を活かし、つなぎ目にアルミを流し込んだ異色の作品は、存在自体を意識する新しい機会を創出します。

ロンドンのキングストン大学でプロダクト&家具のデザインを学んだ辰野しずかさんの作品は、「木に刻まれた時間」。一般的に「使いづらい」とされる個性的な木材と、均質で整った木材の2つをキューブ状にすることで、2つの個性を引き出し、多様な生き方を考えさせてくれます。

単純な円運動を用いて「なぜかずっと見続けてしまう装置」の制作を続けるデザイナーの高山芳のさん。その作品である「Pippin」は、ご自身の作品の中でも「最も謎に満ちたもの」なのだとか。独特の動きをじっくりみつめて、この世界の複雑さと豊かさを感じるとともに、“謎”の解明に挑んでみて。

「Toi」と名付けられた作品は、インダストリアルデザイナー・横田純一郎さんの手によるもの。書物用の紙として1000年以上の歴史を持つ和紙。そのやわらかな素材感や強度をみつめなおすことで長所を引き出し、現代に沿う照明器具として提案しています。伝統と新しい感性の融合に、心ときめくひとときが過ごせそう。

芝生の上で、音楽を聴きながらデザインを楽しむ体験

週末の芝生広場を彩るのが『DESIGN LIVE MUSIC』。グラフィックデザイナーの川尻竜一さんと山口央さんの手による、グラフィックを活かしたDJブースや演奏ブースが芝生広場に登場。音楽ライブを「聴く」だけではなく、空間を「見る」、写真を「撮る」といった五感を使った体験を通じてデザインと音楽の融合を感じる、参加型イベントが開催されました。

10月17日(土)、18日(日)の2日間で参加したアーティストは、全12組。音楽プロデューサーとして活躍中の田中知之さんのソロプロジェクトであるFPM(Fantastic Plastic Machine)や、オルタナティヴ・ロックバンド・Homecomingsのボーカルとギターを務める畳野彩さんなど、表現力に定評があるミュージシャンが集合しました。

グラフィックデザイナーの川尻竜一さんが手掛けたDJブースを飾るのは、五体と五感を同時に連想させる5つの点によるグラフィックです。音楽を聴くと自然と気持ちが動きだす、理由を超えた感覚を表現しているそう。

「DESIGN LIVE MUSIC」開催中には、「みつめる」というテーマをまるで目玉のような大小さまざまな円に置き換えることで、好奇心をかきたてるインスタレーションに昇華した、アートディレクターの山口央さんが手掛ける「グラフィカルフォトブース」も登場しました。

フード&ドリンクも楽しめるキッチンカーも登場し、さらに芝生に座って心置きなくライブが楽しめるよう、ハート型の“みつめる”シートを無料で貸し出し。芝生でくつろぎ、食事をしながら音楽を楽しむ。そんな思い思いの姿もまた、イベントを取り巻く“デザイン”のひとつです。

全国から集まる書店や文具店で、新しい価値に出会う

装丁や文字の配置など、本の魅力を伝えるために欠かせないデザイン。一方、本は新しい発想や視点を得るための入口にもなります。そんな本とデザインの関係に目を向けるのが、10月24日(土)・25日(日)に開かれる「DESIGN LIVE MARKET by 読の市」。全国から38店舗が集まり、新刊や古本、文具などを通じて、新たな気づきや興味との出会いを提案しています。

※画像はイメージです。

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読書会を年間200回開催する「双子のライオン堂」、対話を通じて読み手にぴったりの本を選んでくれる「チャプターズ 出張パーソナル選書」、ヴィンテージ文具や紙モノを取り扱う「THINGS ‘N’ THANKS」など、個性豊かなお店が勢ぞろい。棚を眺め、店主と言葉を交わしながら選ぶ時間は、自分でも気づいていなかった関心をみつめる時間にもなります。

また、特別コンテンツとして、子どもだけが買い物できる『オヒサマこども書店』も登場。子ども自身が店員と対話しながら好きな本を選ぶという「親が買い与えるのではなく、子どもの選択を“みつめる”」体験型イベントも開催。当日は絵本の読み聞かせを歌や踊りを交えて行う「絵本ライブ」も。

デザインが日常を少し豊かに変えていく

東京ミッドタウンが捉えるデザインとは、「何かと何かのあいだを、適切につなぐもの」。『TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026』では、「みつめる」をテーマに、作品展示や音楽、本などを通じて、身近にあるデザインに目を向けます。

作品の素材や形、音楽を聴く空間、本の装丁。普段は見過ごしているものに気づくと、いつもの暮らしが少し違って見えてきます。東京ミッドタウンで出会ったデザインが、日常を少し豊かに変えていく。そのきっかけを、この街から持ち帰ってみてはいかがでしょうか。

会期中は、作品を鑑賞するだけでなく、芝生でくつろいだり、普段とは異なる視点から風景を眺めたり、デザインを持ち帰ったりと、テーマ「みつめる」を体験できるオリジナルアイテムも展開。 ハート型に切り抜かれたしおりを通して、自分ならではの風景が楽しめる、“みつめる”しおりを 無料配布しています。※数に限りがあります。

ハート型の“みつめる”シートに座り、芝生広場で作品を眺めることも。シートは無料貸し出しです。※数に限りがあります。天候により無料貸出を見合わせる場合があります。

館内のインテリア&デザイン店舗にて 5,000 円(税込)以上お買い上げのレシートをご提示いただくと、先着 500 名に佐藤 卓さんがデザインするオリジナルトートバッグを数量限定でプレゼント。

開放的な空間を活かした企業展示も。2022年の『Tokyo Midtown DESIGN TOUCH』に初公開された、建築家・永山祐子さんによる大型インスタレーション「うみのハンモック」が4年ぶりに凱旋。ハンモックとタープには、廃棄された漁網をアップサイクルしたナイロン糸を使用しています。

3年ぶりにオールナイト復活する「六本木アートナイト」とのコラボ作品として、ミッドタウン・ガーデン入口に柴田まおさんのアート作品『Camouflage Prints』が登場。

芝生広場で、思い思いにデザインに触れる時間が心地よい。

散策しながらデザインを楽しむのもおすすめ。

INFORMATION

『TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026』

会場:東京ミッドタウン各所
場所:東京都港区赤坂9-7-1
期間:2026年10月16日(金)~2026年11月4日(水)※会期中無休

入場料:無料
お問い合わせ先:東京ミッドタウン・コールセンター
TEL:03-3475-3100(11:00~20:00)

https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designlive/

 

Photo: Naoki Shimoda / Text: Megumi Waguri / Edit: DEEPTOKYOmagazine