2026.07.22
日本橋で3,000種以上の刷毛・ブラシを扱う専門店
日本橋・大伝馬町で1718年に創業した『江戸屋』は、刷毛とブラシの日本最古の専門店。将軍家御用達の刷毛師が創業し、現在はヘアブラシや歯ブラシ、洋服ブラシ、料理刷毛まで3,000種類以上を取り扱っています。世界各地から選んだ天然毛と職人の手仕事、店頭での丁寧な仕上げ作業によって、上質な道具をつくり続けています。
1718年に日本橋大伝馬町で創業し、現在もその場所で営業し続ける『江戸屋』。日本で最も古い刷毛とブラシの専門店です。創業者は7代将軍・徳川家継から『江戸屋』の屋号を授かった刷毛師で、障子やふすまに紙を貼る際に糊を伸ばす刷毛や、大奥の女性たちが化粧に使う刷毛などを納めていました。
江戸時代(1603〜1868年)、物流、経済の中心地であった日本橋。大伝馬町は木綿問屋や染屋が多かったことから刷毛の需要が高まり、『江戸屋』がこの地で商いを続ける土台となりました。
明治時代(1868〜1912年)に海外からブラシが伝わると、ヘアブラシ、洋服ブラシ、歯ブラシといった生活用品から、船舶のデッキブラシや工業用の研磨ブラシまで、多種多様な製品を手がけるようになります。
入り口の戸を開けると、目の前にずらりと並ぶブラシと、天井から吊るされたはたきや洗浄ブラシが目に飛び込み、その品数の多さに圧倒されます。
『江戸屋』では、世界各地から取り寄せられた、⾺⽑、豚⽑、猪⽑、リス⽑などの天然⽑を、⽑の量、⽑先の形状、⽊材との組み合わせを⾒極め、⽇本各地の職⼈のもとで刷毛やブラシを仕⽴てています。特に職人による手植えのブラシは、機械でつくるものに比べて毛が抜けにくいのが特徴です。
店に納品されたブラシは、仕上げ職人がひとつずつ櫛で梳かし、不必要な毛を落としながら、毛先をミリ単位で切り揃えます。このように人の手で綿密に仕上げることで、うつくしく仕上がるだけでなく、使い始めてすぐに毛が抜けるのを防いでいます。
伝統工芸品をつくるのに用いられる伝統的な刷毛は「江戸刷毛」と呼ばれ、東京都指定伝統工芸品に指定されています。
店内に入ってすぐ左手には、そんな「江戸刷毛」を展示した、小さな博物館のようなスペースがあります。ふすまや掛け軸などに使用する経師刷毛(きょうじばけ)、版画制作の際に版木に絵の具を塗る木版刷毛、歌舞伎役者がおしろいを塗る白粉刷毛(こなばけ)、人形の顔に顔料を塗る人形刷毛、漆器づくりに使う漆刷毛など、さまざまな刷毛が展示されています。経師刷毛ひとつとっても、素材や長さ違いでいくつもの種類があります。『江戸屋』が注文主の要望に合わせて、一本ずつ丁寧に手づくりしてきたことがわかります。
近年は手ごろな大量生産品が広く流通する一方で、職人が手づくりする刷毛は高級品となりましたが、優れた刷毛は、調度品や工芸品の製造や修復に不可欠な道具。このことを多くの人に知ってもらいたいというのが、お店の思いです。
現在、扱う刷毛とブラシは3,000種類以上。ヘアブラシ、洋服ブラシ、靴ブラシ、掃除用ブラシなど幅広く揃っています。
特に人気が高いのがヘアブラシ。硬さの好みや髪質に合わせて選べて、軽く梳かしただけで艶が出ると、プロのヘアメイクからも支持されています。また洋服ブラシ、靴ブラシはギフト需要が高いアイテム。しなやかでコシのある豚毛を使用していて、ホコリやゴミをしっかりとかき出します。そして最もリピーターが多いのが歯ブラシ。約2cmとコンパクトな先端部が奥まで届き、へたりにくい天然毛のおかげで3〜4か月は使えるというのが魅力です。
また、背中をかくためのブラシやシミ抜きブラシ、隙間掃除用ブラシなど、暮らしの細かなニーズに応える道具も揃っています。
左は馬毛の掃除用ブラシ。窓のサッシなど隙間掃除に活躍します(770円)。中央は馬毛をたこ糸で束ねたシミ抜き用のブラシ。繊維にやさしく、クリーニング屋さんなどプロも御用達です(1,870円)。右は背中をかくためのブラシ。毛の硬さ違いで2種類あります。(3,850円)。
この記事の内容は2026年07月22日(公開時)の情報です

