最高級の「親子丼」を味わえる老舗の鳥鍋専門店

玉ひで

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1760年創業の老舗『玉ひで』は、親子丼発祥の店として知られる日本橋人形町の名店です。1891年に誕生した親子丼は、鶏肉と卵を使った日本料理で、鶏肉が「親」、その鶏が産んだ卵を「子」と見立てたことから、親子丼と呼ばれるようになりました。『玉ひで』の親子丼には、「東京しゃも」やこの一杯のために開発された卵など、吟味した素材を使い、繊細な味わいを生み出しています。

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素材にこだわり抜いた、『玉ひで』の親子丼

親子丼は、鶏肉を卵でとじて、ごはんに乗せた、日本の家庭料理としても親しまれる料理です。親子丼という名前は、鶏肉が「親」、卵が「子」にあたることから名付けられました。その親子丼の発祥の店として知られているのが、日本橋人形町にある『玉ひで』です。このお店の親子丼は、この一杯のために開発された食材が数多く使われています。鶏肉は、東京都と『玉ひで』が共同で開発した「東京しゃも」。ほどよい歯ごたえと強い旨味が特徴です。卵もまた、『玉ひで』の親子丼に合うよう、特定の生産者に依頼したもの。鶏肉のおいしさを引き立てるために、あえて卵の風味を立たせすぎないという繊細な工夫があります。

多くのお客さんが注文するという「元祖親子丼」。2,800円

しゃもは闘鶏用の品種だったため、身が引き締まっていることが特徴。「東京しゃも」は、しゃもを親にして、他の鶏を交配してつくられたそう。

『玉ひで』の親子丼専用につくられている卵は、黄身と白身が混ざりやすいことが特徴です。

食材だけではなく、親子丼に使う専用鍋「親子鍋」も特注品です。

現店主で8代目の山田耕之亮さんは、『玉ひで』のメニュー開発をはじめ、日本橋地区の活性化など幅広い分野で活躍されています。

丁寧な工程が生む、卵の焼き加減と味のバランス

『玉ひで』の親子丼のおいしさを支えるのが、具材を煮るときに使う甘辛い調味液「割り下」です。一般的な割り下は、醤油、みりん(日本料理によく使われる甘みのある調味料)、砂糖でつくりますが、『玉ひで』で使うのは、創業当時からみりんと醤油のみです。江戸時代、みりんは貴重品で、思うように手に入らない店も多かったなか、将軍家御用達だった『玉ひで』では、一年を通してみりんを使うことができたといいます。みりんと醤油だけでつくられた割り下は、すっきりとした甘さがあり、芳醇な香りが特徴です。この伝統の味に鶏肉の旨みと卵のやわらかな口当たりが重なり、『玉ひで』ならではの親子丼が生まれます。

蓋をして蒸らすことで、ごはんに味が馴染み、卵がふっくらとします。お客さんが蓋を開けるころにちょうど食べ頃になるよう提供されているのだそう。

希少な天然白レバーをつかった「天然白レバ親子丼」は他では味わえない一品です。5,500円

高級食材である烏骨鶏の卵が添えられています。そのまま割り落としたり、溶いてかけたりと、自分好みの食べ方を楽しめます。

作り方は、親子鍋に鶏肉を並べ、割り下で煮ていきます。煮ている間に卵を準備しますが、ふっくら仕上げるために混ぜすぎないのがポイント。割り下が煮立ったら、卵を2回に分けて加え、とろとろの状態に仕上げます。卵に火が入りすぎる前に器へサッと移し、最後に蓋をして蒸らして完成です。

鶏肉を並べた鍋に割り下を入れます。『玉ひで』の割り下は、砂糖を使わず、みりんを使っているため、キレのある味わいが特徴です。

中火で、沸騰しないように丁寧に火を入れます。鶏肉は、等間隔に並べることで、どこを食べても鶏肉と卵を一緒に味わえるように工夫されています。

卵を3つ使用します。黄身と白身が馴染む程度に軽く混ぜるのがポイント。

卵は、4分の3程度の量を中心から外側へ円を描くようにまわし入れます。少し強めの火加減にすることも、ふわふわな卵に仕上げるためのポイントだそう。

厚みが均一になるように、おたまで表面のムラを整えます。

卵のまわりが固まり、ふつふつと膨らんできたら、残りの卵を最初と同じようにまわし入れます。

鍋からすべらせるようにしてごはんの上にのせて完成です。

各テーブル席に置かれている調味料も『玉ひで』オリジナル。親子丼の味を引き立てるようにつくられた、山椒と黒胡椒が効いた七味唐辛子です。味の変化を楽しむことができます。

日本橋の街とともに歴史を重ねてきた『玉ひで』

1760年創業の『玉ひで』は、もともとは鳥鍋専門店として店を構えました。親子丼が誕生したのは1891年のこと。鳥鍋を食べていたお客さんが、鍋の残りに生卵を入れて卵とじにしていたことをヒントに、5代目の女将が親子丼を考案したといわれています。

当時の日本橋は、金融の中心地としてにぎわう街でした。そんな街で働く人々にとって、『玉ひで』の親子丼は取引がうまくいった日などに食べる特別なごちそうだったそうです。こうして生まれた親子丼は、日本橋の街とともに広まり、今では日本の定番料理のひとつとして親しまれています。

現在も昼は親子丼、夜は親子丼の他に鳥のすき焼きなどを提供し、鳥のおいしさを幅広く伝えています。

店内には、親子丼を考案した5代目女将の写真が飾られ、毎日親子丼が供えられています。

2025年の改装を機に、『玉ひで』は装いを一新しました。 1、2階の外観は現・女将の山田美穂さんのデッサンをもとに設計されており、老舗の風格が感じられます。建物外観の格子にしゃもの姿が浮かび上がるという遊び心のあるデザインには、8代目店主の着想が息づいています。店内には、日本の伝統的な建材が取り入れられ、和の風情を感じられる、落ち着いた空間に仕上げられています。もともとは座敷だった客席も、すべてテーブル席にすることで、現代の食事スタイルに寄り添うとともに、海外からの観光客も心地よく過ごせるように整えられました。

老舗や名店が軒を連ねる通りに店を構えています。

格子に浮かぶしゃもの意匠は、人形町通り側からのみ見える仕掛けです。

テーブルは、丼を手に持たず、置いたままでも食べやすい高さに設計されています。

親子丼という料理の歴史を今に伝えながら、日本橋という街のなかで時代に合わせた歩みを重ねてきた『玉ひで』。その一杯には、老舗として守り続けてきた伝統と、現代の店として進化を続ける工夫が息づいています。

各席に置かれている市松模様のナプキンは、ディナー時限定で持ち帰ることができます。

Photo: Miho Noro

この記事の内容は2026年06月01日(公開時)の情報です