2026.03.31
帽子と花瓶“だけ”を扱う、ユニークな古着店
『sowhat vintage』は、帽子と花瓶だけを扱う個性的なヴィンテージショップ。古着店がひしめく下北沢のなかで、あえて服は扱わず、帽子と花瓶というラインナップで独自の存在感を放っています。まるでギャラリーのように商品が並ぶ洗練された店内には、約600点の80〜90年代アメリカ製キャップと、美術作品のような花瓶が約200点揃っています。装いと生活に、彩りと余白を与えてくれる一点ものアイテムに出会えます。
『sowhat vintage』は、下北沢駅から徒歩3分、茶沢通り沿いにある帽子と花瓶をメインに扱う古着店です。オーナーは、下北沢の古着店で長年働いていた加藤太郎さん、佳純さん夫婦。店を始めた当初は服をメインに扱っていましたが、思うように売れず頭を悩ませていたところ、店名にある『what』の“w”を取ると“hat”になることに気づき、帽子をメインに扱うようになりました。さらに、佳純さんが「服に対する固定概念ができてしまい、新しいことを生み出せない」と感じ始めた頃、コロナ禍が重なり、家で花を飾るなかで花瓶を集めるようになりました。次第に、花瓶の奥深さに惹かれ、店で扱うことを決めました。
「帽子、花瓶ともに、インテリア、ファッションの中に必ず必要なものではないし、なくても生きていけるもの。だけど、あった方がベターだと思うし、人生をより楽しめると思います」(佳純さん)。そんな価値観からセレクトされたものが、この店の世界観を形づくっています。
ちなみに、店名は、ジャズトランペット奏者マイルス・デイヴィス氏の楽曲『So What』に由来しています。同曲はアルバム『Kind of Blue』に収録された一曲。新しいスタイルに挑戦し世界に受け入れられた同曲に感銘を受け、「自分たちも新しいことを生み出したい」という思いを込めているそう。
2019年にオンラインで店をスタートし、2021年に今の場所に実店舗をオープン。
佳純さんがデザインを考えたお店のショッパー。クエンティン・タランティーノ監督作品の『デス・プルーフ』の広告ヴィジュアルからインスパイア。100円
『sowhat vintage』は一面ガラス張りの外観で、通りから店内の様子をうかがえ、初めて足を運ぶ人でも入りやすい雰囲気です。
中へ入ると、まず目に入るのは白を基調とした明るい空間。ブラックやホワイトなどのベーシックカラーからピンク、イエロー、ブルーなどビビッドなカラーまで、キャップが色ごとに整然と並べられています。さらに、ポップなデザインの花瓶も並べられ、そのまわりにはオブジェやお香立てなどの雑貨もディスプレイ。美術館巡りが趣味だという佳純さんは、展示における光の当て方や物と物の間隔の取り方などを参考に、商品の背景にあるストーリーを加味してディスプレイしているそう。
さらに奥に進むと、和の雰囲気が漂う空間が広がります。存在感のある襖の棚はオーナーふたりがデザインしたもの。「和の空間をつくることで、商品の見せ方の幅が広がる」と、あえて和洋折衷にした店内には、ヴィンテージの帽子や花瓶、木調のオブジェがよく馴染んでいます。
商品ひとつひとつをじっくりと見てまわりたくなるディスプレイと和洋折衷の空間は、まるで小さなギャラリーのようです。
『sowhat vintage』には、ヴィンテージキャップやビーニーなど、カラーバリエーションも豊富な帽子が約600点も揃っています。中心となるのは、80~90年代のアメリカ製キャップ。企業プロモーションのためにつくられた企業ロゴキャップやトラック運転手が被っていたトラッカーキャップ、『ヤンキース』などのMLB公式のスポーツチームキャップ、『ポルターガイスト』などの映画制作のクルー用キャップなどが充実しています。
古着店がひしめく下北沢で、個性を出したいという思いから、帽子を扱うことを決めた太郎さん。古着の帽子の魅力としてあげるのは、ユーモアのあるデザインの豊富さ。
「現在のベースボールキャップの形が主流になったのが70年代頃からといわれていて、ノベルティ用や会社のユニホームとしてキャップがつくられはじめました。アメリカでは、イベントがあるたびに何かとキャップをつくりたがる風潮がある気がします(笑)。でも、だからこそデザインがめちゃくちゃ豊富。“納税するために働いています”というジョークが刺繍されたキャップがあったり、そういう遊び心を感じられるところが魅力だと思います」(太郎さん)
ストリートやモード、アウトドア系などさまざまなジャンルの帽子をセレクト。カラーバリエーションも豊富で、ツバの長さや形、サイズもさまざまです。
アール・デコ、ミッドセンチュリー、ポップアートなど、20世紀にアメリカやヨーロッパで流行したデザインを感じさせる花瓶がさまざま揃う『sowhat vintage』。そのひとつひとつにはまるで美術作品のような存在感が漂います。戦前の20~30年代に流行したアール・デコは、幾何学的で洗練されたデザインが特徴。戦後のミッドセンチュリーは造形美があり自然素材を生かしたデザイン、1950〜70年代のポップアートは大衆文化を取り入れたカラフルな表現が魅力です。
買い付ける際は、“希少性とデザイン性”を判断基準にしているという佳純さん。
「わざわざこのお店に足を運んで、一点ものの花瓶を探しに来てくださる方は、自分の暮らしに迎え入れるものをきちんと選びたいという方が多いと思います。だからこそ、ただ古いだけでなく、つくられた時代の背景が感じられたり、時間をかけてつくられたものを意識して買い付けています。あわせて、市場にどれくらい出まわっているかも大切な基準にしています。アメリカで買い付けをしていて、10回行って1回出会えるかどうかというものは迎え入れ、逆によく見かけるものは状態や個性を見極めて慎重に選んでいます」
約200点の花瓶、雑貨が並んでいます。
『sowhat vintage』には、帽子を起点に着こなしの幅を広げていく楽しさがあります。
「現代のものとは違って、80〜90年代のアメリカ製キャップは、カラーやつばの長さ、クラウンの形や高さまで、本当にデザインが豊富なんです。だからこそ、帽子ひとつでスタイリングに個性を出すことができるんです」と太郎さん。
佳純さんは、「いつも帽子でスタイルに遊び心や抜け感を与えることを意識しています。決まりすぎていると恥ずかしくなってしまうんですよね(笑)。例えば、ジャケットにスラックス、革靴を合わせたきちんとしたスタイリングでも、帽子を被るだけで、ハズしのきいたコーディネートにできるんです」。
根っからの古着好きで、これまでストリート、モード、アウトドアなど、さまざまなジャンルを横断してスタイルを楽しんできたふたり。そんな感覚でセレクトされた帽子から、店名の『sowhat』にも由来する「自分たちも新しいことを生み出したい」という思いを映した、ひとつの枠に収まらないミックス感のあるスタイリングが広がります。
太郎さんは『ポロ ラルフ ローレン』のコーデュロイジャケットをチェック柄シャツに重ねたアメカジスタイルに『POLO SPORT』の90年代の武骨なキャップを合わせています。佳純さんは、プレッピーなカレッジニットとミリタリーパンツに80年代のサンフランシスコ・ジャイアンツの個性的なピルボックスキャップを合わせたミックススタイル。
Instagramのアカウントはこちら!
キャップ:https://www.instagram.com/sowhatvintage_shimokitazawa/
花瓶:https://www.instagram.com/sowhat_flowervase/
この記事の内容は2026年03月31日(公開時)の情報です




