フィールドの哲学を都市で体験する場所

パタゴニア 東京・京橋

公式サイト

『パタゴニア 東京・京橋』は、2025年9月11日にグランドオープンした、日本で3店舗目となるブランドエクスペリエンスストアです。プロダクトの販売にとどまらず、その背景にある考え方や、使い続けるための選択肢までを空間全体で伝える店として設計されています。 平日はスーツ姿の人々が行き交う京橋の街にありながら、店内では「何を買うか」よりも「なぜそれを使い続けるのか」という会話が自然と生まれます。売り場、展示、イベント、スタッフの語りが分断されずにつながり、買い物の延長でブランドの姿勢に触れられる構造。アウトドアを特別な行為としてではなく、日常の延長で捉えたい人に向けた場所です。

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フィールドと日常を切り替える二層構成

店内は、1階がオンシーン、2階がオフシーンという明確な二層構成です。登山やクライミング、トレイルランニングなど、実際の使用環境を想定したプロダクトが並び、素材選びやレイヤリングの考え方について、スタッフとの実践的な会話が生まれます。売り場にはクライミングのテーピングを想起させるディテールなど、日本のビジュアル マーチャンダイジングチームが手がけた工夫も随所に見られます。

京橋の通りに面した外観。

ビジネス街の日常動線の中にありながら、フィールドへ向かうための準備を促す入り口として設計されています。

入り口には、スタッフが手書きで制作したフロアマップも設置。

1、2階合わせて約100坪の店内。1階は都市の中でフィールド使用を想定した準備を整えるフロアです。

2階は木を基調とした内装。

店舗ごとに異なるストーリーを持たせた、1階レジカウンター。

鍛冶橋の橋脚をイメージした木組み。

宮大工の技術を用い、釘を使わずに組み上げられています。

売り場の一部に、クライミングのテーピングを想起させるディテールを取り入れた造作。日本のビジュアル マーチャンダイジングチームによる細やかな設計が、フィールドとの距離を縮めています。

ディスプレイそのものが、しっかり装備までされたスタイリングに。

展示からたどるブランドの起源

店内各所には、パタゴニアの原点を伝える展示が設けられています。パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード氏は、もともとクライミング用のピトンを手作りする鍛冶屋からキャリアをスタートさせました。金属加工とクライミング文化から始まったブランドの背景は、かつて鍛冶橋があった京橋の街とも重なります。
また、1968年にイヴォン・シュイナードらが伝説的なロードトリップへ出発した写真をはじめ、クライミング写真で有名なグレン・デニー氏の作品や、ヨセミテのエル・キャピタンを描いた吉田博氏の作品、そして自然と人の関係を写し続けた名匠・星野道夫氏の作品などが展示されています。

かつて鍛冶橋があった京橋の街と、創業者が鍛冶屋だったパタゴニアの歴史。その重なりを伝える階段スペースの展示。

「WHERE WE STAND」コーナーには、日本の古い地図を掲示。このエリアの歴史に触れることができます。

階段の壁に掲げられたミッションステートメントの文字は、漆で塗装されたもの。

2階に設けられたヨセミテ・コーナー。ヨセミテはパタゴニアの原風景ともいえる場所です。

ヨセミテ・コーナーの左手に掲げられているのは、吉田博氏によるエル・キャピタンの版画。

1991年のパタゴニア・カタログの表紙にも使用された作品。

創業者イヴォン・シュイナードらのロードトリップを記録した映像作品『Mountain of Storms』。1974年に制作されたドキュメンタリーで、アラスカのセント・イライアス山脈へ向かった伝説的なクライミング・トリップを収めています。

階段下に設けられたライブラリーコーナーには、パタゴニアがこれまでに出版してきた書籍が揃います。

展示されている写真には、それぞれ解説が添えられ、背景を知る手がかりに。

ライブラリー横のフィッティングルームは、カリフォルニア州ベンチュラにある本社オフィスやストアと同じサイズで設計されています。

サステナブルを日常に落とす、東京・京橋の売り場設計

『パタゴニア 東京・京橋』では、アウトドアウェアやギアに加え、味噌や日本酒、また洗剤の量り売りも展開しています。これは環境配慮を強調するための演出ではなく、日常の消費行動を見直すための提案です。必要な分だけを選び、使い切るという行為を、都市生活の中で体験できるよう設計されています。
さらに、関東圏で初となる「Worn Wear」の常設コーナーも設けられています。不要になったパタゴニア製品を回収し、修理・再販売することで、製品の寿命を延ばす仕組みを提示しています。壊れたら買い替えるのではなく、直して使い続けるという選択肢を、都市の中で可視化している点が特徴です。

高品質なウエアやギアに加え、ライフスタイルアイテムやパタゴニア プロビジョンズの食品まで幅広く展開。

洗剤の量り売りコーナー。必要な分だけを選ぶという行為を、日常の延長線上で体験できます。

1階に設けられた「Worn Wear」の常設コーナー。

不要になったパタゴニア製品を回収し、修理・再販売することで、プロダクトの寿命を延ばす仕組みを都市の中で提示しています。

什器にはリサイクル段ボールを使用。売り場そのものにも、環境配慮の思想が反映されています。

行動につながる語り部とコミュニティの存在

『パタゴニア 東京・京橋』が重視しているのは、来店体験が行動につながることです。店頭に立つのは、登山やクライミング、トレイルランニングなどのフィールド経験を持つスタッフたち。マニュアルに沿った接客ではなく、自身の体験をもとに語る「語り部」として、プロダクトの背景や思想を会話の中で共有します。また、前身の丸の内ストアから引き継がれたトレイルランニングコミュニティの拠点として、月1回のグループランなども継続。京橋周辺の都市環境をフィールドに見立て、アウトドアとの関係を日常の中で更新していく試みが続いています。

フィールド経験を持つスタッフが語り部として立ち、プロダクトの背景や使い方を会話の中で伝えています。月1回開催されるトレイルランニングなど、京橋店を起点にしたコミュニティ活動も継続中。

『Retro-X Vest』は、厚手のパイル・フリースに防風バリアを組み合わせたパタゴニア定番のフリースベスト。フリースの裏側にポリエステル製の防風メンブレン(ウインドシールド)をラミネートすることで、冷たい風を遮りながら、体温を効率よくキープします。M's Classic Retro-X Vest 27,500円

毛足の長いパイル・フリースと、内側にラミネートされた防風メンブレンの二層構造。肌に触れるフリースの柔らかさと、防風性・保温性を両立しています。

胸元と両サイドにジッパー付きポケットを配置。手袋をしたままでも操作しやすいジッパープルと、裏地付きで冷えにくい設計が特徴です。

『Retro-X Jacket』は、パタゴニアを代表する防風フリースジャケット。フルジップ仕様のため、気温や運動量に応じて体温調整がしやすいのも特徴です。W's Classic Retro-X Jacket 37,400円

クラシックなルックスのパイル・フリースと、内側の防風メンブレンによる二層構造。アウターとしてもミッドレイヤーとしても使える設計です。

胸元とハンドウォーマーポケットは、ジッパー付きで中身が落ちにくい仕様。内側にはメッシュ裏地を備え、通気性にも配慮されています。

『Isthmus Parka』は、リサイクル・ナイロン素材を使用したフード付きパーカ。防水シェルではなく、耐風性と耐久性を重視したアウトドア×日常兼用アウターとして設計されています。内側にはフリースライニングを備え、冷たい風を遮りながら、適度な保温性を確保。M's Isthmus Parka 41,800円

内側は起毛フリース仕様。表地のナイロンと組み合わせることで、風を防ぎながら暖かさをキープします。

袖口はスナップボタンでフィット感を調整可能。風の侵入を抑えつつ、レイヤリングにも対応する設計です。

『R1 Air Jacket』は、運動時の蒸れを抑えながら体温を保つことを目的に設計されたテクニカル・フリースジャケット。パタゴニア独自のR1 Airフリース(中空糸を使ったジグザグ構造ニット)を採用し、軽量性・通気性・速乾性を高いレベルで両立しています。登山やトレイルランなど、行動量の多いシーンに適した一着です。M's R1 Air 23,100円

R1 Air独自のジグザグ構造ニット。空気を取り込みながら効率よく熱を保持し、汗を素早く外へ逃がします。

ストレッチ性のある袖口が手首にフィット。レイヤリング時もかさばりにくく、動きを妨げません。

『Graphic Maclure Hat』は、パタゴニアのグラフィックロゴを配したキャンプキャップ型の帽子。リサイクル素材を使用した軽量で耐久性のあるツイル生地を採用し、日常使いからアウトドアまで幅広く対応します。Graphic Maclure Hat 7,150円

『Terravia Sacoche 3L』は、軽量なリサイクル・ナイロン素材を使用した容量3リットルのサコッシュ型バッグ。使わないときは本体を内蔵ポケットに収納できるパッカブル仕様で、旅行やアウトドアのサブバッグとしても活躍します。Terravia Sacoche 3L 7,260円

本体を内蔵ポケットに折りたたんで収納可能。バックパックやスーツケースに入れてもかさばらず、携行性に優れています。

東京でアウトドアショップを巡る

Photo: Yoshitugu Yoshioka , Yuya Shida(still)

この記事の内容は2026年02月09日(公開時)の情報です