2026.05.01
体の一部のような革靴と日常使いの革小物の店
『トートーニー』は、職人の町・浅草橋にある革靴と革小物の店。革素材とは思えない自由で柔らかなデザインが魅力です。革が本来もつ特性にシンプルな構造を掛け合わせ、長く使い続けられる製品づくりを心がけ、店舗兼工房のメリットを生かし、カスタムや修理などに可能な限り対応しています。
『トートーニー』は、履き心地にこだわった革靴やスリッパなど、日常的に使える革小物の店。つま先から膝までを意味する店名は、店主で職人の神田沙耶香さんが、コンフォートシューズ販売でのフィッティングの経験を生かし、オリジナルコンフォートシューズの開発製造及びフィッティング販売で創業したことに由来します。オリジナル商品は、どれも革製なのに軽やかで心地いい雰囲気が魅力。カラフルなカラーバリエーションや、意外性のある色の組み合わせ、ちょっと変わった形などなど、心地よさの理由はいろいろ。いずれも、革という素材の持つイメージにとらわれず、自由な発想で生み出されたデザインが魅力です。
工業用ミシンで作業中の神田さん。オリジナル商品は、自ら企画・デザインをして職人に外注して製作するものと、自らミシンを踏んで製作するものがある。
店を構える浅草橋は、近年人気観光地となった隣町・蔵前の影響で、徐々に小売り店が増えています。浅草橋や蔵前のある台東区は、江戸時代から商工業の中心地で、皮革製品、伝統工芸や祭り関連用具、貴金属や宝石などを扱う小規模な製造業や、それらの流通に関わる問屋が集積してきました。神田さんがこの地を選んだ理由は、ものづくりをするうえで、革問屋や靴職人、染革工場と密にやり取りするのに都合のいい立地だったからだそうです。
浅草橋駅からは徒歩5分ほど、蔵前駅からは徒歩8分ほどと、どちらの駅からも徒歩圏内。
人気商品のひとつ、一枚革のスリッパは、その履き心地に魅了されるファンが多いロングセラー。文字どおり裁断した一枚の革を一箇所縫い合わせたシンプルな構造です。一般的なスリッパと違って芯を使わないので、履き込むほどに足の形に馴染み、素足で履いても蒸れにくいという革ならではの長所を実感できます。革のオモテ面を内側に、ウラ面を外側にして縫い合わせるため、足に接する内側は肌触りよく床と接する外側は滑りにくい、というスリッパとしての履き心地のよさを考慮しています。
神田さんが生み出す小物は、革製ということを忘れてしまうような自由で柔らかなデザイン。普段使いにちょうどいいカジュアルさで、心地のいいものを日常的に使いたい人にぴったりです。また、どれもシンプルな構造なのは、原料の革を無駄にしたくないという思いから。パーツや縫い合わせる箇所が少ないほど故障が起こりにくくなるため、厳選した丈夫な革がより長く使い続けられるうえ、裁断後のハギレが最小限になるよう配慮しやすいという利点があります。
余ったハギレから着想したクッションは、革と布地を組み合わせて製作。端切れそのままの形を生かした。8,800円
色合いや風合いが微妙に異なる正方形の皮革を縫い合わせたカゴのようなバッグ。丈夫で長く使えるベジタブルタンニンなめしで、オモテ革は傷やシワが目立ちやすいが、それも個性として経年変化が楽しめる。バッグ各17,050円〜52,800円
義肢装具士と共同で開発するコンフォートシューズは66,000円〜121,000円。2種類の木型で製作しており、店頭で、足型を計測し、フィッティングして販売。在庫品とサイズが合わない場合は、足に合わせて受注生産が可能。ただし製作期間は10か月ほど。
自社製品に限り修理の相談可。パーツを追加したい、サイズや長さを調整したいといったカスタムにも、可能な範囲で対応したいという神田さん。店舗兼工房というメリットを最大限生かしたきめ細かな対応もまた、この店の大きな魅力です。
この記事の内容は2026年05月01日(公開時)の情報です





