1980〜1990年代のカルチャーを再現した、中野の秘密基地

謎の店

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『謎の店』は、JR中野駅の線路沿いに位置するアパレルショップ兼セレクトショップ。オーナーの森田ツヨシ氏が手がけるブランド『THUNDERBOX』の旗艦店であり、1980〜1990年代のカルチャーに深い敬意を払った独創的な空間です。レトロゲームや懐かしの玩具、さらに独自のデザインが光るアパレルを展開し、単なるノスタルジーにとどまらない新たなカルチャーの文脈を提示しています。今や世代や国境を超えたファンが集う、中野の新たな発信地です。

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隠しコマンドを探すように辿り着く、中野路地裏の秘密基地

JR中野駅から線路沿いを進むと現れる、一見して正体不明な看板。店名の由来は、名作ファミコンソフト『ダウンタウン熱血物語』に登場する、見つけること自体が困難な隠しショップからだそう。この立地自体がすでに『謎の店』が仕掛けた遊び心です。2015年のオープン以来、ここは森田氏が愛してやまない中野という街から、自身のルーツを独自の感性で発信する場所となっています。

お店に足を踏み入ればそこは1980年代〜1990年代へタイムスリップ! 所狭しと気になるアイテムが盛りだくさん。

店名であり、アイコンでもある“謎”マークのネオンライトが店内にディスプレイされています。

ショップの目印は、線路沿いに置かれている看板です。レトロな看板が興味をそそります。

ショップはビルの3階。取り扱いは、メインの『THUNDERBOX』のアイテムに加えて、ショップオリジナルやオーナーがセレクトするユニークな雑貨。どんなものがあるかは入ってのお楽しみ。

ショップのコンセプトは“1980年代から1990年代がまとっていた空気感の再現”だと森田氏は話します。店内には、森田氏が多大な影響を受けたマンガ『ちびまる子ちゃん』や、ファミコンをはじめとしたレトロゲームなど、当時の少年たちを熱狂させた要素が現代のセンスで再構築されています。新旧問わず、自身の審美眼を通過した“好きなもの”だけをセレクトした空間は、訪れる者に心地よい混沌と発見を与えてくれます。

森田氏のお眼鏡にかなった商品が並ぶコーナー。オリジナルのピンバッジや昔懐かしのゲーム、テレビグッズまでさまざま。ディスプレイされている1980年代にはやったロボット玩具(非売品)は今なお動くそうです!

昭和の玩具から限定キャップまで、新旧がカオスに交差

店内に一歩足を踏み入れれば、新旧のプロダクトが入り混じる濃密な小宇宙が広がっています。入口には、昭和(1926〜)の駄菓子屋の象徴であった玩具自動販売機『コスモス』とのコラボコーナーが客を迎え、何が出るかわからないあの頃のワクワク感を演出します。不定期に入れ替わるカプセルトイやレトロゲーム筐体、そして店内の随所にディスプレイされたレトロなアイテムは、昭和世代には懐かしく、若い世代には強烈な新鮮さを放っています。

ショップ入口で迎えてくれるのが、『コスモス』とのコラボコーナー。『コスモス』は、1980年代にはやった玩具自動販売機。

当時は、買ってみるまで何が出るか本当にわからなかった。この謎めいた仕掛けに数多くの少年少女が挑戦したそうです。

コラボでは、ディスプレイされた見本がランダムでいくつか入っています。1回500円

中でも注目は、オンライン販売は一切なし、ここでしか手に入らない“謎キャップ”。そしてショップオリジナルのアイテム。これまでにゲームソフト『トランスフォーマー コンボイの謎』や『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、さらにはリユースショップ『HARD OFF』やアーティスト・MCU氏とのコラボレーションなど、ジャンルを飛び越えた化学反応を次々と形にしてきました。レジ奥に並ぶ森田氏の私物コレクション(非売品)に至るまで、隅々まで謎に満ちたサブカル要素が凝縮されています。

コレクターもいるという『謎の店』でしか買うことのできない“謎のCAP”。これまでに100種類以上リリースしてきており、こちらはファミコンソフト『トランスフォーマー コンボイの謎』とのコラボ。各6,600円

ショップオリジナルのショッピングバッグの素材には、防護服に使われているTyvek®を採用。さらに内側にネギを刺せるホルダー、通称“NEGI HOLDER”が付いています。各2,200円

色を変えて継続的にリリースされているショップオリジナルのソフビ“NAZOLITH(ナゾリス)”。新色はネオンオレンジです。8,800円

これさえあれば冷たい缶飲料も常にキンキン! ショップオリジナルロゴが落とし込まれたクージー。880円

『THUNDERBOX』の15周年と『謎の店』の10周年を記念して製作されたロングスリーブTシャツ。バックのグラフィックがたまりません。7,700円

全国展開するリユースショップ『HARD OFF』とコラボしたグッズはなんと、通称“青箱”と呼ばれているストレージボックス。こちらはファミコンソフトがすっぽり入るコンパクトサイズ。各935円

遊び心とクオリティの融合。ブランド『THUNDERBOX』

『謎の店』の核となるのが、2010年に始動した森田氏のアパレルブランド『THUNDERBOX』です。アニメ、ゲーム、ガジェットなど、幼少期に受けた衝撃をデザインソースにしながら、音楽や映画などのカルチャーをレイヤード。それを単なるオリジナルグッズとしてではなく、あくまで洗練されたファッションとして昇華させているのが森田氏の美学です。

ショップオーナーであり、『THUNDERBOX』のデザイナーでもある森田ツヨシ氏。奥にディスプレイされているのは、氏の幼き頃に夢中になった、バックボーンともいえる私物たち。

そのこだわりは細部にも及び、縫製は一貫してメイド・イン・ジャパンを追求。遊び心の効いたグラフィックを、職人の手による確かな品質で包み込むことで、大人が日常で着られる1着へと導いています。「あくまでもファッションとして成立させる」と話す森田氏の揺るぎない矜持があるからこそ、マニアックなモチーフもストリートに映えるスタイルへとブラッシュアップされているのです。

パンクスのマストアイテムでもあるアナーキーシャツを『THUNDERBOX』流にアレンジした1着は、好きなカードを魅せる収納として入れることがクリアポケット付き。各24,200円

音楽も大好きな森田氏ならではのボンテージパンツは、ワイドシルエットにアップデート。バッグのジップでシルエットの調整もできます。各27,500円

思い出のひと品がファッションアイテムに。レザーでしっかりと作り込まれたこちらのケースはなんと、好きなファミコンソフトを収納することが可能。11,000円

ファミコン世代ならご存じのレジェンド、プロゲーマー高橋名人の活動40周年でコラボした『THUNDERBOX』のTシャツ。海外にもファンが多いらしく、こちらを目当てに来店される海外のお客さんもいるそう。各5,500円

1980年代〜1990年代に一大ブームを巻き起こしたおまけシールの中でも高い人気を集めた『謎のジパング伝説』と『THUNDERBOX』がコラボ。Tシャツにはクリアポケットが付いているので、好きなシールを入れることができます! パーカ 15,400円、Tシャツ 7,150円

世代も国境も超えて混ざり合う、中野の新たなたまり場

『謎の店』が熱狂的に支持される理由は、単なる物販の場を超えたコミュニティとしての側面にあります。SNSでのバズだけでなく、実際に足を運んだ客がスタッフとゲーム談義やカルチャートークに興じる光景はこの店ならでは。店内でのDJパーティや場所を変えてのゲーム大会、さらには地方を巡るキャラバン企画など、そのつながりは年々拡大し続けています。

お客さん同士で交換も行われているというピンバッジは、人気ゲームやアーティスト、さらにはアニメとのコラボまであってさまざま。1,100円〜

過去に『謎の店』で取り扱ってきたピンバッジたち(非売品)。好きな人にはグッとくるデザインがたまりません。

『謎の店』の誕生10周年を記念して開催されたイベント「謎の土曜日」。数多くのお客さんや仲間が駆けつけて交流を深めたそう。

訪れる客層は、森田氏と同世代のファンから、レトロカルチャーに魅了された若者、そして日本のサブカルチャーを愛する海外旅行者まで多種多様。中野ブロードウェイがアーカイブのエリアなら、『謎の店』は現在進行形で新たなカルチャーが生まているスポットと言えるでしょう。少年時代に空き地や秘密基地で感じたワクワクする体験が、今もなおこの場所には息づいています。
 
かつて夢中になったあの時代が、現代にアップデートされあなたを待っています。扉を開けた瞬間、ただの買い物が冒険に変わる……。そんな『謎の店』だからこその特別な体験をしに、ぜひ中野の路地裏へ足を運んでみませんか。

Photo: Shinpo Kimura / Text: Shuichi Aizawa(PineBooks Inc.)

この記事の内容は2026年06月08日(公開時)の情報です