東京の中心にトレイル。自然を満喫する代々木公園ラン

渋谷や原宿から歩いてすぐの場所に、土の上を走れるランニングコースがある——そう聞くと、意外に思う人も多いかもしれません。『代々木公園』は、広い芝生や並木道で知られる都心の公園ですが、実は舗装路を外れると、木々に囲まれたトレイル(=未舗装路)が点在しています。そこで楽しめるのが、自然の地形を生かして走るクロスカントリーランニング。都心にいながら、足裏で土を感じる特別なラン体験が待っています。

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過去にはオリンピックの選手村にも。歴史が育んだ代々木の森を走る

原宿の喧騒のすぐ隣に広がる、緑豊かな代々木公園。ここは人々にとっての「都会のオアシス」であると同時に、東京が歩んだ近現代史が深く刻まれた特別な場所でもあります。

平日休日問わず、木陰でピクニックを楽しむ人々も多い。

ドッグウォーカーもたくさん行き交う。

公園として開園したのは1967年ですが、この土地の歴史は1909年まで遡ります。広大な農地だったこの一帯は、やがて軍用地へと転用。訓練場として整備されたこの地では、1910年に日本で初めて飛行機の飛行が成功しています。
 
第二次世界大戦終結後は米軍関連施設となり、アメリカの生活様式が持ち込まれます。周辺にアメリカ人向けのショップがオープンしたことで、原宿のファッションやカルチャーにも大きな影響を与えました。その後、1964年の東京オリンピックでは選手村として活用され、大会後に再整備されて現在の「代々木公園」の姿となります。

建築から70年以上が経っているオリンピック記念宿舎。現在は来園者がくつろげるベンチなどを整備した憩いのスポットとなっています。

そんな多様な文化が交差してきた背景を持つ代々木公園ですが、今はどこか異国情緒と自由な空気が漂う、穏やかな空気に満ちています。広大な芝生ではピクニックを楽しむ多国籍な人々、ミュージシャンは木陰で楽器の練習に没頭し、ドッグウォーカーが縦横無尽に行き交います。週末のイベント広場では世界各国のフェスが開催されることも多く、走ること以外のカルチャーも常にアップデートされ続けているのが、この公園の大きな魅力です。

一般的なランニングコースは一周約1.2km。すべて舗装路で、道幅も広いためストレスなく走れます。

都心では貴重な広い空が気持ちいい中央広場。遠くには新宿の建物も見えます。

音楽を奏でるミュージシャンと子どもたち。のどかな時間が流れます。

公園の外周をつなぐアーバン・クロスカントリー

山岳や自然道など、起伏が大きくテクニカルな地形を走るトレイルランニングに対し、クロスカントリーは公園など比較的整備された土の道を走るスタイルです。渋谷や原宿からアクセスできる代々木公園のコースは、まさに手軽に自然を楽しめる『都市型クロスカントリー』と言えるでしょう。

代々木公園のランニングコースといえば、中央広場を周回するコースが定番です。でも、この公園のポテンシャルを最も贅沢に味わうなら、公園の「外周」の不整地(トレイル)を上手くつなぎ、自然の地形や土の道を楽しむクロスカントリーコースがおすすめです。舗装路をあえて避け、木々の間を縫うようにコースを繋ぎ合わせることで、不整地率7〜8割という、大都会の中心部とは思えないコースが描けるんです。

代々木公園では現在、大池噴水・水回廊のリニューアル工事や陸上競技場の公認更新工事が行われており、一部の園路や迂回路でのランニングが禁止されています。ランナーへの注意点工事の進捗により規制エリアが変動します。走る前に必ず代々木公園 工事及び利用変更情報で最新の状況をご確認ください。

【コースプロフィール】
スタート/ゴール Runtrip BASE YOYOGI PARK((※公園内の任意の場所でも可)
距離 約 5km(7~8 分/km:約 35~40 分)
起伏 累積40m程度
路面状況 トレイル/アスファルト。公園内のトレイル率は7〜8割
ナイトラン 非推奨(街灯が少なく、夜間は非常に暗い)
コンビニ ○(公園内に売店あり)
信号 あり(公園内はなし)
トイレ ○(各所に点在)
おすすめの時間帯 朝○、昼○、夜×

スタートは、ランニングステーション『Runtrip BASE YOYOGI PARK』。渋谷区役所前交差点から、代々木公園ケヤキ並木通り、イベント広場を抜けて渋谷門から公園内に入ります。

スタート地点から渋谷区役所前交差点までは緩やかな上り。最初はゆっくりしたペースで走り出すのがおすすめです。

陸橋を使うと、信号を気にせず代々木公園通りを跨いでパークインできます。

メインの園路から一歩脇の茂みへ足を踏み入れると、木立の中を縫うように進むトレイルがスタート。コースの多くは深い木々に覆われているため、美しい木漏れ日の中、夏場でも直射日光を避けながら走ることができます。

木陰では、立ち止まって軽くストレッチなどもおすすめ。舗装路とは違う土の感触を確かめながら無理のないペースで走れます。

時期によっては落ち葉が溜まっている場所も多く、都心とは思えない優しいクッション性を足裏に感じられるはず。

木立の間を抜ける細い土の道が、このコースらしいハイライト。舗装路では味わえない足元の変化や、ゆるやかな起伏を楽しみながら進みます。

代々木公園の土は、景観維持や植生保護に適した、有機質をたっぷり含む赤土が主体です。長い歴史の中で落ち葉が何層にも積み重なり、柔らかな土壌が育まれてきました。

コース途中にある立派な黒松。大正・昭和初期の文献に登場しており、樹齢は100年以上と推測されています。

1990年にメキシコ大統領夫人が来日した際、友好親善の象徴としてメキシコから東京都に贈られたケツァルコアトゥルの像。

さらに進むと、野鳥が飛び交う「バードサンクチュアリ」周辺へ。続いてサイクリングコースと並走するメイン区間は小高い丘を越えるなだらかな起伏が、走りに心地よいアクセントを加えてくれます。

バードサンクチュアリは、園内でもより静かな空気が漂う一角。

鳥の声や木々の気配を感じながら、自然の中を走る感覚を楽しめます。

多くの歩行者や自転車が行き交うメインの園路から外れるため、人混みのストレスを感じることなく、自分のペースでランニングに集中できます。

ちなみに、このクロカンコースには「絶対にこの道を行かなければならない」という決まった順路はありません。「あの木の裏を通ってみよう」「この小さな丘を越えてみよう」と、その日の気分に合わせて自由にルーティングできる余白があるのが魅力。春の桜、初夏の深緑、秋のふかふかの落ち葉と、季節ごとに変わる土の匂いや植物の表情を五感で楽しみながら、何度もぐるぐると走りたくなるコースです。

代々木公園を愛するランナーたちのコミュニティ拠点

 『Runtrip BASE YOYOGI PARK』は、東京を代表するランニングスポットのひとつ。代々⽊公園の⽬の前にオープンしたクラブハウス型のランニングステーションです。 スマートフォンアプリなどランニングがもっと自由に楽しくなるサービスを展開する「Runtrip」が運営する同施設では、⾛ることを通じて街や景⾊との新しい出会いを提案。ロッカーと シャワーだけの機能にとどまらず、ランニングの楽しさを分かち合い、新たなコミュニティが⽣まれるサードプレイスとして機能しています。

原宿駅から徒歩8分の好立地。商業施設「代々木公園BE STAGE」の3Fにあります。

ランニングウェアやシューズ、小物が購入出来るショップスペースも併設しているため、足りないものは一通り揃います。

施設内には清潔感溢れるロッカールームとシャワーブースを備え、「KINUJO」のドライヤーや高品質なスキンケアなどアメニティも充実。シューズやサングラスは無料でレンタルでき、旅の最中でも気軽に走り出せます。併設されたカフェバーでは、横浜の「YMB」のクラフトビールや、高タンパクな「ココナッツチキンカレー」などのご褒美フードが揃い、走った後のリカバリーまで完璧にサポートしてくれます。

広々としたロッカールーム。

シャワーブース。シャンプー、ボディソープ、クレンジングなど一通り揃います。

ドレッサー周りにはAurelie.の化粧水やOCEANのヘアケアアイテムが充実。評判が高く、女性からの問い合わせも多い人気アイテムだそうです。

バターを使用しないヘルシーな「ココナッツミルクカレー」1,200円と、ランニングを愛する人のために生まれたYMBの定番のピルスナー「KAIZOKU」Lサイズ 1,540円。ビール好きなランナーのため、常時4タップが稼働しています。

カフェスペースは光が差し込む明るい雰囲気。

さらに、スマートフォンアプリ「Runtrip」と連動し、30kmのランニングを達成するともらえるご褒美クーポンでビールやコーヒーと交換できるという、ランナー⼼をくすぐる仕掛けも⽤意。充実した設備と美味しいご褒美、そして共通の趣味を持つ仲間と自然に交流できるこの場所は、東京でのランニング体験をより豊かに、そしてスタイリッシュにアップデートしてくれる次世代の拠点です。

ラン後の栄養補給に、日本の定番「おにぎり」を

代々木公園近くに店を構える『オニギリーカフェ 代々木公園店』は、日本で親しまれている定番フードである「おにぎり」をモダンなカフェ空間で気軽に味わえるお店。朝8時半からオープンしており、代々木公園のランナーも多く訪れます。

最寄り駅は地下鉄千代田線の代々木公園駅から徒歩2分。代々木公園からは徒歩5分ほど。

ショーケースにはおにぎりとお惣菜が並びます。売切れの場合でも、注文すればすぐに握ってくれます。

美味しさの土台となるお米には、もっちりとした食感で時間が経っても潰れにくい特Aランクの長野県佐久産コシヒカリを使用。約90gと小ぶりで食べやすいおにぎりが並ぶショーケースには、絶妙な半熟具合の「味付き半熟卵」のようなインパクト抜群の具材から、ヴィーガンやグルテンフリーに対応したメニューまで幅広く用意されています。さらに米粉を使用したグルテンフリーの手作りスイーツもあり、充実したカフェタイムも過ごせます。これだけ多様な選択肢が揃っているからこそ、それぞれが好きなメニューを選びながら、日本ならではの食文化を気軽に楽しめます。

ランチタイム(11時30分〜)以降に注文できる看板メニューの「よくばりプレート」1650円〜(おにぎりの種類によってアップチャージあり)。塩おにぎり1個+好きなおにぎり1個に加えて、唐揚げ2個とショーケースから選ぶ好きな惣菜2種類がセットです。ドリンクは+220円。

店内には約30席を用意。カフェ利用も可能なので、朝から夜までシーンに合わせて利用できます。

代々木公園でのランニング後に立ち寄って店内でくつろぐもよし、テイクアウトして代々木公園でモーニングタイムを過ごすもよし。ローカルのように状況に応じて使い分けてみてください。

街へ繰り出すなら、ローカルが愛する近隣の「奥渋」エリアへ

ランを終えた後、もう少し街歩きを楽しみたいなら「奥渋」へ。代々木公園の西側に広がるこのエリアには、独立系カフェやビストロ、ブックストアが点在し、渋谷とは思えない落ち着いた時間が流れています。

「奥渋」と書かれた旗が掲げられた商店街。代々木公園から渋谷センター街へ抜ける道です。

写真奥が代々木公園。右手が奥渋エリア。

賑やかなセンター街と比べると、同じ渋谷でも街の空気は一変。静かで落ち着いた通り沿いには、こだわりを持った独立系のロースターカフェ、洗練されたビストロ、ハイセンスなブックストアやライフスタイルショップが点在しており、地元の人々に愛されるローカルカルチャーが根付いています。

ノルウェー・オスロ発のコーヒーショップ「フグレン」の海外初支店「フグレン トウキョウ」。高感度な店が揃うもの奥渋谷の魅力。

渋谷・百軒店に本店がある老舗台湾料理店「麗郷」の支店もこのエリアの人気店。本店ほど混雑せず本格的な台湾料理が楽しめる穴場です。

代々木公園の緑と、「奥渋」の洗練された街並みはぜひセットで楽しむのがおすすめ。「ランニングの後に、あそこのカフェで美味しいコーヒーを飲んで帰ろう」。そんなご褒美を用意しておけば、走るモチベーションもさらに高まります。ランニング後にリラックスした服装のまま訪れるのにも、ちょうどよい心地よさがあるエリアです。

Photo: Shinji Serizawa / Text: Ryo Ishii