2026.05.27
織り物と草木染めで手仕事の魅力を発信する
『つばめ工房』の商品は、現代では珍しい手織り物です。店主自ら複数の機織り機を操ってつくる織り物は、どれも大量生産品とは一線を画す素朴な風合い。職人ならではの創意工夫によって、ときには収縮率の違う原料を掛け合わせたり、手染め糸や手紡ぎ糸を掛け合わせたりしながら、唯一無二の手織り物をつくっています。
『つばめ工房』で扱うのは、店主自ら手織りや手染めをした織り物。店主の高橋京子さんは、長年、フリーランスのテキスタイルデザイナーとして織り物やプリント生地の商品企画に携わってきました。デスクワークとも言えるデザインの仕事を続けながら、いつか自分の手を動かしてものづくりがしたいという思いを募らせ、織りと染めの工房を立ち上げました。
工房の創業地は、店主の父親が縫製業を営んでいた台東区鳥越。受け継いだ建物は、店舗としても使えるようリノベーションし、16年ほど営業していましたが、2026年に東京都東久留米市に移転しました。
比較的小さめの機織り機は、マフラーなどの幅の狭い織り物を織るのに使う。大小さまざまな3台の織り機を使い分け、ものづくりをしている。
ひとくちに織り物といっても、糸選びから織り始めまでにたくさんの工程があります。糸選びは、そのまま使える糸を仕入れることもあれば、原料から糸を紡いだり、仕入れた糸を染色することもあります。吟味して準備した糸は、つくる製品の大きさに合わせて長さをそろえ、織り機にかける作業を経てはじめて織り始めることができます。旧式の機織り機は、ゆっくりと糸を送るため、糸の間隔に適度な空間が生まれ、ふんわりとした織り物になります。さらに『つばめ工房』の織り物に特徴的なのが、異なる素材の掛け合わせなのだそう。
「織り上がると製品に洗いをかけ、繊維を縮ませて織りの密度を高めます。綿、麻、毛など素材違いや撚り方によってそれぞれ収縮率が違うので、ふつうは異素材を組み合わせることはあんまりしないんですが、私の場合は、あえて違う素材の糸を組み合わせています。収縮率の違いによって表面が細かく波打つような、独特な風合いに仕上がるのが楽しいんです」(高橋さん)
紡ぎから洗いまでの一連の手仕事によって、糸の太さ、糸の染まり具合、織り糸の間隔、収縮具合に生じる微妙なゆらぎが、機械生産とは一線を画す織り物の魅力と言えます。
品揃えの中心は、ストール、ショール、マフラー類。春夏は、綿、麻、イラクサなどの糸を使った、薄手で通気性のいいもの、秋冬はカシミア、ウール、シルクなどの糸を使い、ふんわりと空気を含む保温性のあるものが並びます。
「手織り物は、空気を含んだようなふわふわな仕上がりになるのも魅力。冬物のストールやマフラーは、大判だとずっしりと重いものもありますが、うちのはとっても軽いのに、驚くほど温かいんです」(高橋さん)
店主自ら織る製品のほか、知り合いの手仕事の作家の作品なども扱う。手仕事の魅力を発信するギャラリーとして、新天地での活動に注目が集まる。
この記事の内容は2026年05月27日(公開時)の情報です





