2026.04.10
常時1,000点以上のヴィンテージアクセサリーが揃う
下北沢の一番街商店街の路地裏にひっそりと佇む『Abesho 2nd』は、アメリカ古着とヴィンテージ雑貨が混在する、スーベニアショップのような古着店。リメイク雑貨やペーパーナプキンなど、“価値がない”とされてきたものにも新たな意味を見出すのがこの店の流儀。モノの見え方や価値観までも変えてくれる場所です。
下北沢で最も歴史の長い「一番街商店街」。その最奥、路地に入った先にあるのが『Abesho 2nd』です。アメリカから買い付けたカジュアル古着と、ポップなヴィンテージ雑貨を扱っています。この場所に移転してから8年、学生からスタイリスト、芸能関係者まで、幅広い客層に愛されてきたお店です。
重みのあるヴィンテージのドアを開けると、まず目に飛び込んでくるのは圧倒的な量の雑貨。壁一面に並ぶガーフィールドのぬいぐるみやヴィンテージアート、ショーウインドウにぎっしりと並べられたヴィンテージアクセサリー——空間全体が阿部さんの趣味で埋め尽くされ、その佇まいは古着店というよりも、異国のスーベニアショップのようです。
優しい笑顔が印象的な店主の阿部さん。開店当時は集客に苦戦するも、スナップ誌に登場するような感度の高い層が来店するようになり、徐々に口コミで広がっていったそう。
『Abesho 2nd』で注目すべきは、常時1,000点以上を揃えるヴィンテージアクセサリー。重量感のあるメキシカンジュエリーや個性的なスプーンリング、「ティファニー」や「カルティエ」といったハイブランドまで、幅広く揃います。
タグやディテールから年代や背景を読み解けることが古着の楽しみですが、その魅力は服だけでなく、アクセサリーにもあると阿部さんはいいます。
「例えば、ヒッピーカルチャーが隆盛した60〜70年代のアクセサリーはハンドクラフト感のあるデザインが多かったり、90年代にはスニーカーブランドのブートリングが出回ったり……。その時代の空気が形になっているので面白いんですよ」(阿部さん)
レジの横にあるショーケースには1,000点以上のヴィンテージアクセサリーがびっしり。スタッフに声をかければ、すべて試着が可能です。
なかでも目を引くのが、100点以上揃うアメリカのカレッジリング(クラスリング)。サイズの個体差が大きく、在庫として抱えにくいため、これほどまとまって見られる店は珍しいといいます。
「カレッジリングって、知らない誰かが学校を卒業したときにつくったものですが、誰にでも学校を卒業したという時間はありますよね。ファッションとしてはもちろん、リングを見るたびに当時の自分を思い出す——そんな楽しみ方ができるのも魅力だと思います」(阿部さん)
アクセサリーの価格は数千円のものからあり、下北に集まる学生にも手が届くレンジに設定されています。これは、阿部さん自身が学生時代にこの街で古着を買っていた経験がベースにあるもの。一方でハイブランドのアイテムも並べることで、普段なかなか触れられないものに実際に触れ、ファッションへの価値観を広げてもらえたらという思いも込められています。
店主の阿部さんは、そのままだったら捨てられてしまうものや、一見がらくたに思えるものにも目を向け、新たな役割を与えています。その象徴が、古着を再構築したリメイク雑貨です。素材の劣化で着られなくなったものでも、デザインが秀逸だったり、まだ十分な耐久性があるものをバッグやポーチへと甦らせる。奇をてらうのではなく、日常的に使え、長く愛用できるものをつくることを大切にしているといいます。
『THE NORTH FACE』のナイロンバッグをリメイクしたウォレットポーチとエコバッグ。構想は阿部さん、縫製は奥さまが担当しています。
そして壁面に飾られているユニークなアートたちは、実はすべてアメリカのレストランやバーで使われていたペーパーナプキン。本来であれば使い捨てられるものですが、『Abesho 2nd』ではデッドストックを額装したものを小さなインテリアとして販売しています。
「アメリカには凝った絵柄のペーパーナプキンが多いんです。古着に興味がない人でも楽しめるし、この絵をきっかけに昔のキャラクターが好きになったり、この絵に合うヴィンテージの家具を探したりしていくうちに、古着にも興味を持っていく人もいます。逆に古着にしか興味がなかった人が、雑貨にも目を向けるようになったりも。そうやって新しい楽しみを見つけてもらえるのが嬉しいんです」(阿部さん)
ペーパーナプキンは額付きで1,500円〜2,000円程度で販売。キャラクターものやデフォルメイラストが目立つ中、00年代になるとアメコミ風の絵柄のものが出てくるなど、年代で違いが出てくるそう。
消費されるはずだったものに新たな価値を見出す——これが『Abesho 2nd』が大切にしてきた考え方。そんな視点を持つからこそ、今のヴィンテージのあり方に対して思うこともあるといいます。
「今のヴィンテージって、カードゲームみたいに、どれだけ希少で高価なものを持っているか、という世界になっていますよね。でも本来は“衣食住”の一部で、もっと日々の生活に寄り添うもののはず。うちに置いているものは流行りではないし、市場では価値がないものかもしれないけれど、自分なりに価値を見出せたら、きっと長く愛せるものになると思います。見るたびに『このお店で買ったな』と思い出せるような、“うちにしかないもの”をこれからも届けていきたいですね」(阿部さん)
「僕自身はあくまでお店のサポート役。だから黒子でいたいんです」と話す阿部さん。普段の装いも控えめにし、商品が主役になるようにというスタンスを貫いています。
その考え方は、商品の扱いにも現れています。『Abesho 2nd』では、仕入れたものをそのまま並べることはなく、洗濯や調整、検品などにしっかりと時間をかけ、整えた状態で店頭に出されます。特にヴィンテージメガネは、かつて専門店で働いていた奥さんが磨きや調整を施し、きちんと使える状態にしてから並べています。
ヴィンテージメガネは70〜90年代のアメリカンブランドを中心に展開。アメリカンオプティカルやボシュロムなど、クラシックなセルフレームが揃います。
こうした準備やリメイク制作などに時間を要するため、現在は不定休で営業。おおむね週の前半・後半ごとに営業日が決まり、インスタグラムで告知されているので、訪問前にチェックを。
価値がないと思われていたものや、見過ごしていたものの新たな魅力に気づかされる『Abesho 2nd』。店内を眺めながら、モノの見え方が少しずつ変わっていく——そんな感覚を味わえる場所です。
「黒子でいたい」という阿部さんのスタイリングは、黒を基調としたミニマルな装い。控えめな佇まいのなかに、リメイクパーカの胸元に忍ばせたFワードが、さりげない個性を効かせています。
この記事の内容は2026年04月10日(公開時)の情報です





