創業400余年の老舗和菓子店で、銘菓と抹茶を味わう

萬年堂本店

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『萬年堂本店』は、1617年(元和3年)創業の老舗和菓子店。400年以上の歴史を持つ、和菓子界の重鎮といえる存在です。代表銘菓「御目出糖(おめでとう)」は、誕生から100年以上にわたり、お祝いの贈り物に愛用されている縁起の良い和菓子。竹のしつらえが美しい店内の喫茶では、蒸篭(せいろ)に入った蒸したて食感の御目出糖をはじめ、生菓子と抹茶のコースなど、ここでしか味わえないメニューが揃っています。

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東銀座駅のほど近くにある創業400余年の老舗和菓子店

『萬年堂本店』は、1617年(元和3年)に京都三条で創業した和菓子店です。当初は現在のような小売店ではなく、『亀屋和泉』という名で天皇家や所司代(幕府の役職)、寺社仏閣などに和菓子を届ける商売をしていました。その後、明治維新の東京遷都とともに東京八重洲に店を移転。関東大震災で店舗を焼失したあとは、現在の13代目に至るまで銀座で営業を続けています。喫茶を併設した現店舗は、竹をふんだんに活かした和の趣あふれる空間。店では、定期的に落語会や歌舞伎教室などの銀座らしいイベントも開催しています。

店は東銀座駅から徒歩4分のビル1階。入り口では白い暖簾がはためいています。

現在の『萬年堂』という店名も、『亀屋和泉』の「亀」にちなんで名づけられたもの。

店の倉庫には、『亀屋和泉』時代に和菓子の配達に使っていた木製の容器・外居(ほかい)が大切に保管されています。繊細な装飾が施された豪華な造りです。

外居の裏側には、和菓子を配達した年や、店名などが手書きで記されています。当時の配達の様子が想像できる貴重な品です。

店内には、戦前に気鋭の建築家・川喜田錬三郎氏がデザインした店舗の写真が飾られています。現在の店舗も当時のデザインを受け継ぎ、竹を活かした内装となっています。

めでたいときに贈りたい銘菓「御目出糖(おめでとう)」

『萬年堂本店』の看板菓子といえば、縁起の良いネーミングが印象的な「御目出糖(おめでとう)」。元禄時代から店に伝わる「高麗餅仕様書」によって製造されていた高麗餅(こうらいもち)というお菓子が、お祝い事で食べられる赤飯のような見た目をしていたことから、明治中頃に「御目出糖」と名付けられました。小豆餡に餅粉、米粉などを混ぜてそぼろ状にし、大納言小豆の蜜漬けを散らして蒸し上げた御目出糖は、もちもちとした独特の食感と、小豆の風味を感じられる唯一無二の味わい。その名前の通り、誕生から100年以上にわたり、祝儀・引き出物に愛用されているおめでたい銘菓です。

御目出糖8個と2種類の羊羹が入った御菓子詰め合わせ4,709円。

御目出糖は、贈り物にぴったりの化粧箱入りタイプもあります。8個入り2,660円。

 店内の喫茶店では自慢の和菓子と抹茶を味わえる

「和菓子をできるだけ作りたてに近い状態で食べてほしい」という13代目の想いから、2022年に喫茶併設の店舗へとリニューアルした『萬年堂本店』。銘菓の「御目出糖」は蒸篭に入った状態で提供され、蒸したてのような食感で味わえるのは、この店舗ならではです。また、煉りたてあん蕨餅(わらびもち)、生菓子とお抹茶のコースなど、ここでしか味わえないメニューも多数。銀座で本格的な宇治抹茶を味わえるのも、貴重な体験です。夏季には、自社農園で栽培した柚子や梅から作る自家製シロップのかき氷を求めて、連日たくさんの人が訪れます。

竹を活かした安らぐ空間で、和菓子と抹茶をじっくりと堪能できます。

蒸篭で温められた御目出糖は、もちもち食感がさらにアップ。蒸籠<御目出糖>とお抹茶1,760円。

宇治抹茶の苦みが、御目出糖の上品な甘さとよく合います。飲み物は冷抹茶、水出し煎茶からも選択可。

生菓子とお抹茶のコースでは、二膳目にお茶請けとほうじ茶が提供されます。最後までお茶の風味を楽しめる、満足感のある締めくくりです。

伝統に現代的なエッセンスを取り入れた和菓子たち

400年の歴史を持つ『萬年堂本店』には、伝統を大切に守りながらも、店独自のアイデアや現代的なエッセンスを取り入れた新感覚の和菓子が揃っています。お祝い事の贈り物には「御目出糖」は外せませんが、季節を感じるなら、和菓子職人が作る芸術的な上生菓子がぴったり。また、この店ならではの味わいを楽しむなら、オリジナル菓子の「喜(よし)のつゆ」など、贈りたい人や食べるシーンに合わせた和菓子を選ぶことができます。ショーケースの中を眺めながら、じっくりと悩んでみてください。

ショーケースには『萬年堂本店』自慢の和菓子が並んでいます。

時期ごとにモチーフが変わる季節の上生菓子は、各432円。職人技による美しい見た目に惚れ惚れします。

「喜のつゆ」は、練り上げた本わらび粉の中に黒糖味の柔らかな吉野本葛を包んだ、店のイチオシ。代々当主の名前に「喜」という字が入っていることから「喜のつゆ」と命名されました。1個216円。

冷やして食べる「喜のつゆ」は、暑い時期にも最適。葛とわらびのつるりとした優しい食感と、黒糖の香りを楽しめます。6個入りは1,512円。

羊羹を現代風にアレンジした「百果」も人気菓子のひとつ。ドライフルーツ羊羹は、爽やかなレモン羊羹にイチジク、パイン、みかん、トマト、生姜のドライフルーツを流し入れた新感覚の一品。1本1,296円。

百果シリーズは、大人な味わいのラムレーズン羊羹や、甘さの中にピリッとした刺激のある黒胡椒羊羹など個性豊かなラインナップ。

Photo: wacci、Yuta Okuyama(Ye/STILL) / Text: Emi Inagaki

この記事の内容は2025年08月30日(公開時)の情報です