職人技と遊び心が粋な、創業135年の江戸和菓子の名店

銀座 菊廼舎 銀座本店

公式サイト
支払情報
現金、電子マネー、QRコード決済、クレジットカード
SNS
Wi-Fi
無し

銀座の地で135年続く、明治創業の和菓子店『銀座 菊廼舎 銀座本店』。色とりどりの干菓子を缶いっぱいに詰め込んだ銘菓「冨貴寄(ふきよせ)」は、日本の四季や幸せを願う心を表現した、目にも美しい一箱です。店内で揚げたてを提供する「揚げまんじゅう」など、店舗限定の商品も多数揃っています。銀座ならではの伝統と、職人の遊び心が息づく名店です。

SHARE

X (Twitter) Share on Threads Facebook LINE

銀座の地で約135年の歴史を刻む和菓子店

『銀座 菊廼舎 銀座本店』の歴史は、1890年(明治23年)、歌舞伎座のそばで歌舞伎煎餅を売り始めたことから幕を開けます。以来、幾度となく訪れる時代の困難を乗り越えながら、伝統を守り続けてきました。そして2021年、創業の地であるあづま通りに本店を移転し、現在は5代目。格式が高いと思われがちな銀座のイメージを変えるべく、人情味あふれる温かい接客を心がけています。また、次世代の子どもたちに和菓子職人の魅力を伝えたいという想いで、昨年から和菓子教室も始めました。伝統を大切にしながら、時代とともに愛されるお店づくりを続けています。

明るい店内は、誰でも立ち寄りやすい雰囲気。カウンターの椅子に座り、ゆったりと購入の手続きができます。

買い物をしながら、窓越しに職人の和菓子作りの様子を眺めることも。

銀座駅、東銀座駅から共にアクセスしやすい銀座あづまビルの1階に店を構えています。「菊」の文字が書かれた、紫色ののれんが目印です。

店内には、「冨貴寄」に入れる打ちもの(落雁や和三盆糖)を作るための木製の型が陳列。

お土産コーナーには、明治期の写真など店の歴史を物語る写真が飾られています。

スタッフ陣の心温まる接客が好評。プラス料金で風呂敷をつけると、目の前で一つずつ丁寧に包んでくれます。

風呂敷はバリエーションも豊富。大切な人への贈り物や、かしこまった場面での手土産にもぴったり。

干菓子を銀座流にアレンジした華やかな江戸和菓子「冨貴寄(ふきよせ)」

店に訪れるお客さんの9割が購入するという、店を代表する銘菓が「冨貴寄(ふきよせ)」です。大正後期、2代目がお茶の席で出る干菓子から着想を得て、全国にある干菓子を集め、銀座らしく華やかにアレンジしました。小さなお菓子をたくさん詰め込んだ和菓子を「吹きよせ」と呼びますが、『銀座 菊廼舎 銀座本店』では「幸せをもたらすお菓子」という願いを込めて「冨貴寄」という字をあてています。缶を開けた途端、色とりどりの江戸和菓子がパッと目に飛び込んでくる瞬間は、ワクワクが止まりません。
 
缶の底には、バターを使用せず小麦粉と砂糖と卵のみで作られた和風クッキーが敷き詰められており、その上に金平糖や和三盆、落雁、打ち物などの干菓子が20数種類以上詰まっています。富士山や四季を表現した日本らしいデザインのため、海外の友人への手土産にも人気なのだとか。店の創業135周年記念では、現代風にデザインした限定缶を販売するなど、時代に合わせた変化も取り入れています。

日本人に愛される富士山と、日本の四季を彩り豊かな江戸和菓子で表現した「冨貴寄 特撰缶JAPAN中缶」 4,320円。

3代目から定着した冨貴寄の缶のデザインは、縁起の良い宝物を集めた吉祥文様「宝づくし」のデザイン。現在も柄は変わらず、色あいだけが季節ごとに変化します。

創業135周年記念に販売された限定缶。お菓子缶研究家の中田ぷう氏がプロデュースし、イラストレーターの北澤平祐氏がデザインした缶は現代的でおしゃれ。デザイン缶は花紫、菊花の全2種類で各2,376円。

冨貴寄の缶の元祖「冨貴寄 青丸缶」の中に感謝のメッセージが入った、ギフト用の冨貴寄「冨貴寄 ありがとう」1,620円。

お祝を述べる意味の言葉「寿ぐ(ことほぐ)」の名前がついた、お祝いに贈りたい「冨貴寄 ことほぐ」2,484円。

この道40年の職人技が光る和菓子づくり

『銀座 菊廼舎 銀座本店』の店舗で販売する和菓子は、全て店内で手作りされています。職人は、この道40年の大ベテラン。今では数少ない、生粋の和菓子職人です。店内では、普段はなかなか見ることができない、職人による貴重な和菓子作りの様子を見ることができます。とりわけ職人技を感じられる練り切りは、季節によってモチーフが変わるため、何度見ても飽きがきません。秋にはハロウィンのお化け、クリスマスシーズンにはサンタクロースなど、和菓子の枠を超えた多彩なモチーフも登場し、職人の遊び心が伝わってきます。

夏の花「桔梗」の練り切り作りがスタート。生地と餡を丸めたあと、花びら部分となる、紫に色付けした生地を広げます。

生地の中に丸めた餡を包みます。素早い動作は、まさに熟練の技!

和菓子作りの道具「三角べら」を生地に押し当て、桔梗の花びらを描きます。

細かい形の調整は、職人の手で。この工程で一気に桔梗らしさが出てきます。

花の中心部分の飾りを作ります。黄色い生地をふるいに押し当てると、美しいそぼろ状に。

花びらの中心部に黄色い生地をのせれば、美しい桔梗の完成。

店舗でしか買えない限定和菓子は、できたてのおいしさ

『銀座 菊廼舎 銀座本店』には冨貴寄のほかにも、店頭でのみ販売される限定和菓子がいくつもあります。売り切れた分はその都度店内で作られるため、できたてのおいしさを楽しめるのが魅力です。中でも、店内でカラッと揚げる「揚げまんじゅう」は、1日最大300個も売れる人気商品。甘い小豆を食べる文化のない海外の方にも、あんこのおいしさを知ってもらおうと4代目が開発した新感覚の和菓子です。ほかにも、生地に大和芋を練り込んだ薯蕷(じょうよ)饅頭など、伝統を重んじた和菓子が揃っています。

じっくり炊き上げたこし餡を特製の小麦饅頭で包み、海外でもなじみ深いマカダミアナッツをふんだんにまぶして揚げた、和洋折衷の一品。銀座の食べ歩きグルメとしても評判です。1個216円。

あらかじめ生地にナッツをまぶし、一度冷凍する一手間を加えることでサクサクと軽い口当たりになるのだとか。

最高級の油でカラッと揚げることで、香ばしいきつね色に。

香ばしい生地は薄く、軽やかなサクサク感を楽しめます。

薯蕷饅頭は、大徳寺納豆を使った塩気のある「大徳寺饅頭」と、うさぎ型がかわいらしい「うさぎまんじゅう」の2種類。うさぎまんじゅうは昔ながらの素朴な甘さが魅力です。1個270円。

薯蕷饅頭の生地は、混ぜるスピードによって仕上がりのふくらみ具合が大きく変わるそう。

あんこを包むのと成形を同時に行うなど、全ての工程に職人技が詰まっています。

蒸し時間は、饅頭が絶妙にふっくらと仕上がるこだわりの13分。

耳の焼き印をつけて竹串で目を描けば、うさぎまんじゅうに命が吹き込まれます。

Photo: wacci、Yuta Okuyama(Ye/STILL) / Text: Emi Inagaki

この記事の内容は2025年09月01日(公開時)の情報です