2025.05.29
世界中から日本へ買い求めに来ている吉田カバンのブランド、『ポーター』の『タンカー』シリーズ。「吉田カバン『ポーターのタンカー』の軌跡」では誕生から大ヒットの裏話まで、その歴史について紹介しました。そして40周年を迎えたこの『タンカー』シリーズが2024年、大幅にリニューアルしました。「ALL NEW TANKER」のコンセプトのもとリニューアルについて掘り下げます。
DAYPACK(XL) H:490mm/ W:325mm /D:140 mm/1128g ¥143,000
今やファッションシーンに限らず、ビジネスシーンやトラベルやスポーツなど、ライフスタイル全般に深く浸透している『タンカー』シリーズですが、2024年に「ALL NEW TANKER ―何も変わらず、何もかもが変わる―」のコンセプトの下、新しく生まれ変わって登場しました。実は、これまでもアップデートを繰り返してきているそう。今回も「吉田カバン『ポーターのタンカー』の軌跡」に続いて、マーケティング部の担当者にお話をお伺いしました。
「吉田カバンでは、修理依頼があればそのバッグを作った職人が修理をするというルールがあります。その中で同じような箇所に修理依頼が入るようであれば、改良や縫製を補強するなど、アップデートするようにしています。これは修理システムがあるからこそできる隠れたアップデートです。例えばファスナーでは、これまでに引き手部分や向きなどをアップデートしてきました」(吉田カバン担当者)。
アップデートを繰り返してきたことで、『タンカー』シリーズは数多くのロングセラーモデルを生み出してきました。その裏には職人達や吉田カバンの見えない苦労と技術の進化がありました。その上で今回の「ALL NEW TANKER」は、アップデートの中でもまさに大改革とも言えるもの。
HELMET BAG(L) H:510mm/ W:470mm /D:0 mm/678g ¥72,600
BOSTON BAG H:210mm/ W:280mm /D:110 mm/498g ¥57,200
2024年、『タンカー』は大幅なアップデートを果たしました。それは一見、今までとは大きく変わっていないようにも見えますが、実は最大の特徴であるオリジナルの生地を刷新しているのです。美しい光沢感のあるナイロンツイルと撥水性を持ったナイロンタフの3層構造で、軽量で柔らかい肌触りを実現し、さらに衝撃からも守ってくれるオリジナル生地。これが新しくなった『タンカー』では100%植物由来ナイロンに生まれ変わったのです。
「吉田カバンとしては『タンカー』誕生40年の節目として、時代に合わせたアップデートをしたいとプロジェクトを立ち上げました。そこで出会ったのが日本を代表する繊維メーカーの東レさんでした。新しい生地は、トウモロコシとヒマを由来資源としています。世界で初めての量産化だったので、生地の開発からかなり時間がかかりました」(吉田カバン担当者)。
2WAY DOCUMENT BAG H:290mm / W:395mm/D:60 mm/754g ¥71,500
DAYPACK H:380mm/ W:280mm/ D:120 mm/636g ¥64,900
何度も試行錯誤を繰り返し、誕生した新しい植物由来のナイロン生地。サステナブルが求められる現代においても、非の打ちところのないアップデートではないでしょうか。ただこれだけに終わらないのが吉田カバン。ほかにも細かなアップデートが施されています。
「『タンカー』は、もともとはヴィンテージのフライトジャケットをモチーフに作られています。そのため、ヴィンテージの風合いを再現するために、ボタンなどの金属パーツの塗装を使っていくうちに剥がれるようにしていたり、ブランドネームのタグをほつれていくようにしていくようにもしていました。そういった点を今回は一新し、剥がれにくい仕様にし、タグもほつれないように。これも過去にはなかったアップデートです」(吉田カバン担当者)。
ファスナーの先端部分を隆起させ開閉しやすくアップデート。
着脱できるクリアポケットには、とうもろこしやヒマもデザインされたタグが配置されている。
PORTERのブランドタグはこれまで以上にきめ細かく刺しゅう。
経年変化が現れるようにしていたスナップボタンも、塗装が剥がれないようにアップデートされた。
細かな仕様もアップデートしているとは驚き。ファスナーの先端を隆起させることで開閉をスムーズにできるようにしていたり、内部のクリアポケットを着脱可能にし、それだけでも使えるようにするなど、さらに使いやすく進化しています。
こういったユーザーのことを考えたアイデアが、長い間愛される理由のひとつではないでしょうか。これからも吉田カバンは、細かなアップデートと大きなアップデートを繰り返しながら、その歴史を次の世代へと紡いでいきます。
吉田カバンは1935年の創業以来、日本製にこだわりカバンを作り続けてきました。創業者の精神である「一針入魂(いっしんにゅうこん)」を社是に、日本の職人たちがひと針ひと針を丁寧に縫い合わせていくように、素材作りからデザイン、縫製にいたるすべての工程において手を抜かないもの作りを行っています。「PORTER」「POTR」「LUGGAGE LABEL」などのブランドを展開しています。
HP:https://www.yoshidakaban.com
Instagram:porter_yoshida_co.official