アイコニックなキャラクターで注目を集める次世代アーティストYAMEPI©とは?

東京拠点に活動する若き次世代アーティスト、YAMEPI©。自身がリーダーを務めるクリエイティブクルーCOMETの活動の中で、絵画を起点としてさまざまなアートを発信。中でも目が引くのが特徴的な被り物をしたキャラクター「BOYS」。東京の90~00年代のカルチャーに大きく影響を受けるYAMEPI©が表現するアートの世界を紹介します。

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キャラクターBOYSとアーティストYAMEPI©の誕生

絵を描き始めたきっかけは何ですか?

小さい頃から絵を描くことが好きでした。小学生の時に『ONE PIECE』や『NARUTO -ナルト-』、『HUNTER×HUNTER』のキャラを模写していて、友達に褒められるようになった頃から漠然とですけどいつか絵を描くことを仕事にしたいなと思うようになりました。

絵の勉強などしていたんですか?

いえ、なんとなく絵を仕事にしたいという気持ちはあったんですが、本格的に勉強し始めたのは高校3年生の夏。アーティストを目指す以上、自分のスタイルを見つけなくちゃダメだよなって気持ちで、iPadを前にいろんな絵を描きながら自分に合う絵柄やスタイルを模索していったんです。

当時はどのような絵を描いていたんですか?

自分がヒップホップやストリート系のファッションが好きだったので、そういったスタイルをしたキャラクターを描いてましたね。今の「BOYS」ではなく、大学の頃に描いていたのはフーディを被っていて目だけ見えている感じのキャラクターです。でも、これだと表現の幅が狭いなと感じ、もう少し自由に描くことができて、自分のスタイルに合っているキャラクターはないかなと試行錯誤しているうちに誕生したのが「BOYS」です。

このキャラクターでいろんなファッションや被り物を描いているのがすごく楽しくて、作品をインスタにアップしていくうちに海外からの反応も増えて認知されるようになりました。特に反応がよかったのが、NO.1からNO.9までの9枚の「BOYS」のシリーズ。このシリーズを描いたことで「BOYS」のスタイルが明確になり今に繋がっていると思います。このキャラクターがあればいろんなことができると思うようにもなりました。

NO.1〜NO.9の9枚の「BOYS」のシリーズ。

その後、企業やメディアなどからも注目されるようになりましたね。

今思えば、sabukaru.onlineが取り上げてくれたのが大きかったかもしれないですね。編集チームの方と出会い、そこで現在のマネージメントの会社とも出会い、グループ展をやることになっていったんです。この展示で「BOYS」の反応が良かったのは大きいですね。いつも何か行動するとき、後に引けない状況を作って自分を追い込むんですけど、この時もそうで「BOYS」が生まれたおかげで、夢であった「絵を仕事にする」決意ができたかと思っています。

2022年7月に渋谷のTRUNK(HOTEL)で開催されたSabukaru×8%のアート展『A[R]T THE HOTEL』。アーティストの落合翔平さんと未成年さんによる展示。

アートの根源:YAMEPI©を形作る90~00年代の東京

独特のタッチや作風にYAMEPI©さんのスタイルを感じます。影響を受けた作家さんはいますか?

松本大洋さん(漫画家)ですね。小3の頃に親戚の叔父さんから教えてもらった『ピンポン』『鉄コン筋クリート』『ナンバーファイブ』を読んで大好きになりました。線の感じやキャラクターの雰囲気など、絵柄自体に大きな影響を受けています。

アトリエにはフィギュアもたくさんありますね。

フィギュアのカルチャーにもすごく影響を受けていて、作品をパッケージングしているのは、そこからきています。オモチャのパッケージってコレクションしたくなる魅力があるじゃないですか。そんな物欲を満たしてくれる不思議な魅力を自分の作品にも投影させたかった。キャンバス作品も、単体として販売するのではなく包装して展開しています。自分自身が集めたい、テンションが上がる、そんな感覚を大切に常に作っていきたいですね。

アトリエ内にはフィギュアがたくさんディスプレイされている。現在もカルト的な人気を誇るアメコミ『スポーン』のフィギュア群。「ダークヒーロー感やロゴ、パッケージの雰囲気がたまらなく好きですね。『スターウォーズ』も当然好きです」。

ファッションカルチャーからの影響はありますか?

ファッションが好きで「BOYS」には自分が着たいスタイリングや、自分にはできないけど好きなスタイリングにしています。個人的に好きなブランドはNIGO®さん時代の『A BATHING APE®』で、色味やデザインなどに大きな影響を受けています。

着るだけではなくコレクションするものとしても好きです。90年代に裏原で生まれたファッションが好きで『BOUNTY HUNTER』もいいですね。フィギュアをパッケージ含め表現している良さがあってインスピレーションを受けています。

次なる挑戦へ:YAMEPI©の描く未来

次世代アーティストとして認知されてきた今、今後やってみたいことは?

「BOYS」を映像化したいというのはずっと思っています。あとはアメリカやヨーロッパ、アジアなど海外での展示も積極的に行っていきたいと考えています。作品も絵だけでなく、フィギュアをもっとたくさん展開していきたいですね。今は1点ごと手作業で制作しているのですが、生産するラインを作って多くの人に手にしてほしいと思っています。フィギュアは自分が好きなものだし。他には、街をジャックして自分たちCOMETのクルーで街を装飾したりアート展開したいですね。

常により大きいことをやっていきたいと考えています。自分のアート作品をメッセージ性を込めて提示していくことも大事ですが、自分たちの生み出した世界が現実世界に浸透していって、みんなでその世界を楽しむということをやっていきたいと思っています。

COMETに関する特集はこちら。
https://deeptokyo.jp/culture/698/

PROFILE

YAMEPI©

2001年生まれ、千葉県出身。独特のタッチやファッションキャラクター「BOYS」を中心にアート作品を展開。積極的に展示を行いながら、様々な企業やブランドなどとコラボレーションを行う。クリエイティブクルー「COMET」のリーダーとして、カルチャーマガジン『COMET MAGAZINE』も手掛けている。

HP:https://yamepi.com/

Instagram :@yamepi_01

 

Photo: Narita Hidetoshi / Edit&Text: Tajima Ryo(DMRT)