日本橋から出発! 水上から東京を巡るクルーズ

『日本橋クルーズ』は、東京の歴史と街並みを川の上から楽しめる人気のアクティビティです。 江戸時代、日本橋の物流を支えていたのは、川や運河を使った水上交通です。かつて日本橋川には、米や魚、木材、日用品などを運ぶ船が数多く行き交い、街のにぎわいを支えていました。現在の日本橋は、百貨店や老舗、銀行、大企業の本社が集まる商業の中心地ですが、その原点には、川の存在があります。このクルーズでは、そんな時代の名残を感じながら、都心の景色をいつもとは違う角度から眺めることができます。 今回は、日本橋の船着き場から出発し、日本橋川、神田川、隅田川を巡る「神田川クルーズ90分コース」に乗船してきました。

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日本橋発、東京を水上から巡るクルーズに乗船!

百貨店や老舗店、銀行、大企業の本社が集まり、商業の中心地としてにぎわう日本橋。複数の鉄道路線が通り、日本の道路網の起点としても知られています。そんな日本橋には、街を歩くだけでは気づきにくい魅力があります。それが、街の発展を支えてきた「川」の存在です。

老舗や商業施設が並ぶ日本橋周辺には、ビジネスマンや観光客など、さまざまな人が行き交っています。

江戸時代の日本橋(広重『江戸名所橋尽』 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1302095 )

日本橋の歴史は、400年以上前の江戸時代にさかのぼります。江戸とは、現在の東京のこと。当時の江戸は日本の政治・経済の中心として発展し、その中心エリアのひとつが日本橋でした。全国各地から人や物産が集まるようになると、地方と日本橋を結ぶ主要な道「五街道」が整備され、同時に川や運河を使った水上交通も盛んに。かつて日本橋の下を流れる川には、米や魚、木材、日用品などの物産を運ぶ船が数多く行き交っていたのです。

そんな歴史ある川をクルーズ船で巡ることができます。日本橋から出発し、数々の橋の下をくぐりながら進むクルーズ。普段とは違う角度で東京の街並みを眺めることができます。

今回乗船するのは、日本橋を出発し、日本橋川、神田川、隅田川を周遊する「神田川クルーズ90分」コースです。江戸時代の名残を感じる日本橋川と、歴史の詰まった神田川、高層ビルなど現代の景色が広がる隅田川。ガイドも同乗しているので、各エリアの歴史や橋にまつわる話を聞きながら楽しむことができます。

日本橋を起点に、東京の中心部を流れる3つの川を巡る「神田川90分コース」は、数あるプランのなかでも特に人気のコース。周辺には、東京ドームや日本武道館、両国国技館、東京スカイツリーなどの名所が点在しています。

歴史の名残を感じる、日本橋川から神田川へ

集合場所は、日本橋のたもとにある「滝の広場」。

チケットは、乗船当日でも空きがある場合は受付で直接申し込むことも可能ですが、事前にネットで予約して、支払いを済ませておくとスムーズ。受付を済ませたら、順次乗船します。クルーズ船には屋根がなく、360度見渡せる開放的なつくり。橋や街並みを間近に眺めることができます。

暑さ・寒さ対策もしっかりとしており、夏は麦わら帽子、冬はブランケットの無料貸し出しがあります。また、船内にはトイレが完備されているので、乗船時間の長いコースでも安心です。

滝の広場は、日本橋川沿いへ階段を下りた先にあります。

予約の順番に従って案内され、船に乗り込みます。

日本橋の下を通って、いよいよクルーズがスタート。日本橋の四隅には、東京の守り神としてつくられた獅子像があります。実は橋の側面のアーチの中央部分にも獅子の顔があしらわれており、これは橋の下を進むクルーズ船だからこそ見られるもの。東京を代表する橋の下を間近で見ることができる貴重な瞬間です。

いまの日本橋は、明治44年に再築されたもので、全体の意匠は西洋風と日本風を組み合わせた独特のものだそう。

ガイドの方が、写真などを使いながら日本橋や川にまつわる歴史を説明してくれます。

歴史ある日本橋川からは、オフィスビルや高層ビルの姿も見えます。

日本橋川エリアでは、今も残る江戸城の外堀を見ることができます。場所によって石の積み方が異なる外堀や、外堀づくりに携わった大名の家紋・家印が刻まれた「刻印石」なども見られ、東京の街に残る江戸時代の面影を感じられます。そして、日本橋川を抜けて神田川に入ると、後楽橋が見えてきます。この橋には、戦時中の空襲で爆弾が貫通してできた穴が残っており、橋の下からしか見ることのできない歴史の痕跡に出会えます。

向かって右側は、石の表面を平らに加工し、隙間には小石を打ち込んで補強する「打込接」の石垣。左側は、石を精密に加工し、隙間なく積み上げる「切込接」の石垣です。

「田」や「卍」などと石の表面に刻まれているのが「刻印石」です。

戦時中の空襲で爆弾が貫通してできた、後楽橋の穴。

乗船中、橋の上から手を振ってくれる人がたくさんいました!

神田川で出会う、鉄道風景と花街の面影

水道橋を抜けると見えてくるのが「御茶ノ水渓谷」です。この渓谷は、自然にできたものではなく、江戸時代に山を切り崩して人工的につくられたもの。町を水害から守り、江戸城の防衛を高めるために、人の手で切り開かれた場所で、江戸の都市づくりのスケールを感じられます。川沿いの緑、頭上を走る電車、周囲に立ち並ぶビル群が一度に目に入る、不思議な空間です。

御茶ノ水駅付近には、JR総武線と中央線、東京メトロ丸ノ内線の鉄道3路線が交わるスポットがあります。クルーズ船は、電車が通るまで少し待機してくれるので、目の前を電車が走り抜ける瞬間を見ることができます。

乗客全員が写真を撮りやすいように、船を横向きにしてくれました! この日は、丸ノ内線と中央線の3本の電車が交わる瞬間を見られ、これはガイドさんによるとかなりラッキーなんだとか。

神田川を進んでいくと見える、「明日もお元気で!」と書かれた看板。トロフィーなどを制作する太陽徽章製作所の標語の看板で、どこか懐かしさを感じます。

神田川が隅田川に合流するあたりに、柳橋があります。柳橋周辺は、江戸時代から明治時代にかけて「花街」として栄えた場所。花街とは、料亭などが集まり、食事をしながら芸者による踊りや音楽、会話などを楽しんだ場所のことです。

かつては料亭が軒を連ね、多くの芸者が行き交い、隅田川や神田川を船で訪れる人や屋形船で食事を楽しむ人などでにぎわっていました。現在も両岸には船宿が残り、いくつもの屋形船が係留され、情緒ある景観が残っています。

屋形船は、江戸時代には武家や豪商が遊覧や宴席を楽しむ場として親しまれていました。

1960年に創業した老舗ビリヤード場「淡路亭」の建物。

“いま”の東京の景色を一望できる隅田川

神田川を抜けて隅田川へ入ると、世界一の高さを誇る電波塔「東京スカイツリー」が姿を見せます。東京スカイツリーは、クルーズのなかでも、特に人気の撮影スポットなのだそう。ここでも、乗客が写真を撮りやすいように、船を一時停止してくれました。隅田川沿いには、高層のタワーマンションやビル群も立ち並び、江戸時代の名残を感じる日本橋川や神田川とはまた違う、現代の東京らしい景色が広がっています。

隅田川上から見える、高さ634メートルの東京スカイツリー。

橋の向こうに見えるのは、佃エリアに立ち並ぶ高層のビル群。

クルーズもいよいよ終盤に差し掛かり、隅田川から日本橋川へ入り、発着地である日本橋へ戻っていきます。日本橋川の真上には首都高速道路があり、頭上を車が走る光景は、都心を流れる川ならでは。

かつては、この首都高速道路が「日本橋の景観を損ねている」という声もあったそうですが、川の上から見上げる高架道路の景色には、どこか東京らしい迫力も感じられます。ただ、そんな景色も少しずつ変わろうとしています。現在、日本橋川上空の首都高速道路は地下化事業が進められており、将来的には高架橋が撤去される予定です。十数年後には見られなくなるこの風景も、今の日本橋を映す貴重な景色のひとつです。

1962年に開通した首都高速道路。都心のビル群を縫うように走っています。

首都高速道路の間からは、道路を走る車の姿が見えます。

日本橋の船着き場に到着し、クルーズは終了。江戸時代の面影が残る川沿いの風景から、東京スカイツリーや高層ビル群が見える現代の東京らしい景色まで、約400年の東京の移ろいを感じられる、あっという間の90分でした。川の上から街を眺めることで、普段見ている東京の景色も少し違って見えてくるはずです。ぜひ一度、水上から東京を巡ってみてはいかがでしょうか。

INFORMATION

日本橋クルーズ®

日本橋を起点に、歴史ある川を巡るクルージング体験を提供。普段は見ることのできない景色を楽しめることから、新たな東京観光として人気のアクティビティです。通年コースのほかに、季節にあわせて花火クルーズやお花見クルーズも運航しています。運航スケジュールや予約は「日本橋クルーズ」公式ホームページで確認できます。

HP:https://nihonbashi-cruise.jp/

Photo: Nobuki Kawaharazaki / Illust: Hinako Sato