2025.11.26
日本生まれの『オニツカタイガー』は、デザイナーズブランドとしてのリニューアルや、確かなものづくりへの信頼によって、世界各国で人気を集めています。ブランドの軌跡と日本の直営店の魅力について取材しました。
1949年の戦後間もない日本で、鬼塚喜八郎が創業した鬼塚株式会社。最初に販売したバスケットボールシューズを皮切りに、世界進出を見据えて専門性の高い競技用シューズの開発に注力しました。1965年、ブランド名を『オニツカタイガー』に改め、1966年には現在の人気モデル、メキシコ66の原型となったメキシコラインが誕生。さまざまな競技の現場に足繁く通っては選手の声を吸い上げ、革新的なスニーカーをつくり続けたことが功を奏し、ブランド名が世界中に知れ渡りました。
商品化第一号のタイガー印バスケットボールシューズ。改良を加える過程で、たこの吸盤に着想を得た靴底を採用し、その評判はクチコミで全国に広がった。
1977年、日本国内2社との合併により、しばしの間、『オニツカタイガー』というブランド名は姿を消します。2000年ごろ、ヨーロッパでのクラシックスニーカーの流行がきっかけとなり、『オニツカタイガー』がファッションブランドとして復刻しました。その際に誕生したのがメキシコ66です。1961年に発売されたモデル、リンバーアップの2代目をベースにしたクラシックな見た目で、オニツカタイガーの不動のエースといえる名品。特にトリコロールカラーはブランドのアイコンとして定着しています。
以降、東京に直営店ができ、タイガーコルセア、カリフォルニア78など当時の人気モデルを次々と復刻させます。この過去の遺産ともいうべき名作の数々を現代版としてアップデートしたシリーズは、後にレッドコレクションと位置づけられ、現在のブランドの大きな柱のひとつになっています。
多くのセレブリティも愛用しているメキシコ66は、タイの国王が愛用していたことでもおなじみ。
ちなみに、クエンティン・タランティーノ監督の映画『キル・ビル』で、主演のユマ・サーマンが黄色いトラックスーツに合わせて履いたのは、メキシコ66によく似たタイチというモデル。ニューヨークのとあるセレクトショップにおいてあったタイチをスタイリストが発見し、タランティーノ監督に衣装として提案し採用されたといいます。
Kill Bill: Vol. 1 (2003) Official Trailer
2012年、イタリア人デザイナー、アンドレア・ポンピリオとの協業を開始し、コラボレーションシューズを発表します。世界的に有名なハイブランド『ジバンシィ』とのコラボレーションシューズの発表も大きな話題となりました。2013年にはメンズの本格的なランウェイショーを開催し、ウィメンズコレクションもスタート。翌2014年にはミラノコレクション、東京コレクションに参加し、デザイナーズブランドとして歩み始めます。
現在、『オニツカタイガー』ブランドの大きな柱は4つ。過去の名作をアップデートするレッドコレクション、先進的なデザイナーズブランドとしてのイエローコレクションのほか、ラグジュアリーなレザーのフォーマルラインである『ジ・オニツカ』や、フェミニンな『オータイガー』というラインです。レッドコレクションとイエローコレクション、『ジ・オニツカ』はそれぞれ、銀座や表参道を中心にコンセプトショップを構え、各コレクションの世界観を発信しています。
直営店戦略を中心にブランド価値を高めた『オニツカタイガー』。レッドコンセプトストアとイエローコンセプトストアはいつもと異なるブランドの魅力を体験できるストアです。ブランドの世界観を体感しに行ってみよう。

