ジャパンブランドの矜持。世界をうならせる『ayame』のアイウェア

日本には世界に誇るアイウェアの名産地があります。福井県は鯖江市です。鯖江には昔ながらの職人が各工程ごとにおり、アイウェアをゼロからイチまで仕上げていて、その完成度の高さは、グローバルファッションブランドも発注をするほどに支持を得ています。今回は鯖江を生産拠点に世界に飛び出し人気を得ているブランド、『ayame(アヤメ)』にフォーカスし、鯖江と『ayame』のアイウェアの魅力を掘り下げます。

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歴史と今を大事に、アイウェアを作り続けて15年

2010年のブランド設立以降、着実に人気と評価を高め15周年を迎える『ayame』は、“温故知新”をコンセプトにクラシカルなアイウェアのデザインに、最新のマテリアルを使って現代に見合ったものへと昇華させているのが特徴です。

「極限までにシンプルに、そしてどこまで削ぎ落とせるかというのを課題にしながらアイウェアを作っています。これはアイウェアとは人の顔を装飾するものなので、余計に装飾する必要はないという考えからです。そして重量も大事にしていて、軽くて使いやすいようにしているので、“MANRAY(マンレイ)”シリーズですと10 グラム程度になっています」(広報・松本満寸美さん)

こうした『ayame』のミニマムなデザインとクオリティの高さは、日本はもとより海外の愛好家からも人気を得ています。その物作りの裏には、デザイナーの今泉 悠氏の存在が欠かせません。

「他のアイウェアブランドさんですと、複数人のチームで物作りをされていることが多いのですが、私達はデザイナーの今泉のみがアイウェアをデザインしています。そのためデザインがブレずに一貫しています。なので初期に購入された方が、いろんなアイウェアを試された後にまた戻ってくるということもよくあります」(ayame optical store ストアマネージャー・行方弘太さん)
 
ミニマムな造形と一貫したデザイン、この無駄のないアイウェアが『ayame』が評価されている大きな魅力であり、武器にもなっています。

すべてのモデルに職人による“HANDMADE IN JAPAN”の刻印が施されています。

『ayame』のアイウェア作りを支えるメイド・イン・サバエ

アイウェア作りにおいて欠かせないものと言えばデザインはそうですが、そのデザインを具現化する職人も必要不可欠なものです。『ayame』ではブランドスタート時から福井県鯖江を生産拠点にしてアイウェアを作り続けています。

「鯖江は1980年代に初めてオールチタンのアイウェアを作ったことでも知られていて、私達のアイウェアもチタニウム製がメインです。そして鯖江の職人が作るアイウェアは、圧倒的な高品質であり、みなさんモノ作りに真面目ですね。私達の要求に可能な限り応えてくれるので『ayame』のアイウェアにだけ取り入れられている技術もあるほどです」(行方さん)

『ayame』のアイウェアの生産拠点のある福井県は鯖江市。ここから世界に向けたアイウェアを作っています。

それは定番モデルの“MANRAY(マンレイ)”に採用されている世界初の技巧でブリッジとノーズパッドを一体化させたオールメタルフレームです。チタン製なので軽くて強度もあってと、ブランドの人気を支える技術にもなっています。現在は鯖江だけに限らず、高い技術を持つ岐阜県中津川の職人にも依頼しているそう。

ノーズパッドと一体型となった「マンレイ山」と呼ばれるブリッジが特徴の“MANRAY”。驚くほどの軽さと、ヴィンテージのアイウェアからインスパイアを受けている定番モデル。“MANRAY 46” 49,500円

細かなアップデートをしながらも、デビューコレクションから15年を迎えた今もなお人気の高いロングセラーモデルの“NEWOLD(ニューオールド)”。ウェリントンとボストンの中間のようなデザインに、曲線だけで構成されたラインが魅力的な1本。“NEWOLD 49” 41,800円

クラシカルなフォルムに、メタルとプラスチックのコンビネーションで根強い人気を誇る“GENERAL(ジェネラル)”。サイドの細かな彫金にも注目したい。“GENERAL” 47,300円

1930年代にあったフランスのヴィンテージフレームのクラウンパントから着想を得た“SPIKE(スパイク)”。ブランド独自に細身のフレームに仕立て上げたことで上品な印象に。“SPIKE” 44,000円

MANRAY シリーズから派生し誕生した“SIPPOU(シッポウ)”。特徴はリム部分に七宝焼きを模した加工を職人が1本1本手塗りで施している点。細かなディテールへのこだわりがジャパンブランドならでは。“SIPPOU” 52,800円

以前あった“MATTERHORN(マッターホーン)”にアップデートを加え生まれ変わった“MH2”、フロント部分にはコの字形のチタンが埋め込みになっているのでネジを使っておらずシンプルなルックとなっている。“MH2” 49,500円

ファッションシーンからのオファーも絶えないクオリティ

鯖江の職人による技術とデザイナーの今泉氏によるシンプルかつ実用的なデザインが見事に融合したことで多くの定番モデルが、世界中で支持を得ている『ayame』ですが、そのクオリティの高さは、ファッションシーンでも評価を得ています。その評価は数々のコラボレーションのオファーが物語っています。ファッションブランドから、中にはアイウェア専門店までと、幅広いのも特徴ではないでしょうか。
 
「コラボレーションでは、相手とのコミュニケーションを大切にしています。選ぶ時もそうですが、何が作りたいのかカウンセリングをするなど、とても重要な部分ですね」(デザイナー・今泉 悠さん)

「N.HOOLYWOOD COMPILE(N.ハリウッド コンパイル)」とのコラボレーションモデルは、デザイナーの尾花大輔氏が愛用しているという“ANTOINE(アントワーヌ)”がベースにサイズアップ。フロントにねじを使わないプラグイン技術を採用しています。48,400円

ジャパンブランドの「STILL BY HAND(スティルバイハンド)」とは、デザイナーの柳 優介氏が日頃愛用するアイウェアをいつか手がけてみたいという思いからスタート。柳氏の手描きのスケッチをもとに、今泉氏がフレームラインを何度も引くことで誕生。各48,400円

アメリカのファッションブランド「Saturdays NYC(サタデーズ ニューヨークシティ)」とは、人気モデルの“TORO(トロ)”を『ayame』では展開していないレンズとフレームカラーで製作。コラボレーションならではの限定モデルです。各44,000円

原宿に拠点を構えるバッグブランド「RAMIDUS(ラミダス)」とのコラボレーションでは、ストラップ付きのグラスケースをリリース。高級感のあるルックスと便利な使い勝手が魅力です。19,800円 ※フレームなど、ケース・ストラップ以外のアイテムは商品には含まれません。

日本から世界へアイウェアを通じてつながり広がっていく『ayame』は、過去へ敬意を持ちながら今を大事にしてアイウェアを作り続けていきます。「設立当時は3、4ヵ月で生産することができましたが、今では10ヵ月から1年以上と非常に難しい状況になってきました。今後は川下から川中に立つ必要があると考えていています。『ayame』のアイウェアは、引き算の要素をもってデザインしているので、決して派手な作りではありませんが、顔に乗せたときのバランスを大切にしているので、いろいろ試してもらえると嬉しいです」(今泉さん)

日本のモノ作りに対する情熱をぜひ感じてみてください。

Photo: Kimura Shinpo / Text: Aizawa Shuichi(PineBooks Inc.)