約5,000冊ものマンガに浸って過ごす神保町のカプセルホテル

マンガアートホテルトーキョー

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英語での接客対応/平均予算:1泊1名4,000円〜(税込)/成田空港から約1時間10分、羽田空港から約45分

本の街・神保町にある『マンガアートホテルトーキョー』は、約5,000冊ものマンガに囲まれたカプセルホテル。人気作品や話題作の英訳版、スタッフが選ぶ隠れた名作など、思わぬ一冊と出合えるのも魅力です。そんな同ホテルが提案する滞在スタイル、“漫泊”とは。マンガに浸って過ごすホテルステイの楽しみをご案内します。

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約5,000冊ものマンガに浸って過ごす “漫泊”とは

マンガを読みふける“漫泊”をコンセプトにした、5,000冊ものマンガが読めるカプセルホテル『マンガアートホテルトーキョー』。漫画と宿泊をかけあわせた“漫泊(MANPAKU)”とは、ただ泊まってマンガを読むのではなく「マンガに浸る滞在」のこと。あえて一般的なホテルではなくカプセルホテルにしたのも、マンガ以外の楽しみや心地よさを取り除くことで、作品にどっぷり浸ってもらいたいという狙いがあります。

マンガの本以外、余計なものがいっさいないこの空間、マンガ好きにとってはまさにオアシス。中央に広めの導線を作り、本棚と客室を区切らないことで、マンガの世界に没入できる造りになっています。

そもそも同ホテルが生まれたのは、マンガ好きなオーナーの「マンガを読むことが仕事になればいいのに」という思いつきから。理想の仕事環境を作るにはどうすればいいか? と考えるうちに、こちらを経営するに至ったそう。マンガ好きによるマンガ好きのための『マンガアートホテルトーキョー』。ホテルステイでは重視されるべき快適さを逆手に取った発想は、マンガファンのツボにハマり、国内外の評判を呼ぶようになりました。

“漫泊(MANPAKU)”という造語に込められた意味は、マンガにじっくり浸るホテルステイという同ホテルのコンセプト。

フロアは男女別で、男性フロアが19室、女性フロアは16室。チェックイン時間などが書かれた、シンプルで分かりやすい宿泊ルール表は英語でも書かれています。

フロアは男女別! マンガに浸るために設計された内装

“漫泊”というコンセプトは、ホテルの内装にも反映されています。館内はミュージアム(美術館)をテーマに、マンガが映えるホワイトで統一。客室は本棚と一体化し、マンガに囲まれた穴蔵のような造りとなりました。1.8畳の客室内は、至ってシンプル。この、家でごろ寝しているようなリラックス感がマンガを読みふけるには最高なんです。外に手を伸ばせば本棚に手が届く距離感も、ここならではの心地よさ。

本棚と一体になった客室は、まるで秘密基地のよう。マンガを自分のベースに持ち帰るようなわくわく感があります。

部屋は2段構造になっており、予約時にweb上で上下を選ぶことができます。キャリーケースなどの手荷物は、ベッド下のスペースに(縦30cm×幅69cm×奥行き108cm)。

1.8畳の室内には、金庫とハンガー、コンセントを完備。マットレスはオーストラリア発のコアラマットレスを採用しています。耳栓も無料でもらえるので、マンガに浸る環境としては最高です。

シャワールームは各フロア2つ。館内のサインは、遊び心のあるコミカルなフォントです。

ゆとりのあるシャワールーム。シャンプーとコンディショナー、ボディソープ、バスタオル、ペーパータオル、歯ブラシ、カミソリは無料です。このほか、パジャマの有料レンタル(200円)も。

洗面台は4台あるため、チェックアウト前の準備ラッシュでも大混雑は避けられそう。

トイレが各階に4つあるのも嬉しいところ。

各フロアの入り口には、飲食もできる共有スペースが。

各フロアには、ひと涼みできるテラスも。

英訳作品も充実! 思わぬ一冊と出合える本棚作りのこだわり

マンガ好きなスタッフの個性が光る、ユニークな棚作りもおもしろいところ。レイアウトは1週間に1度ペースで変えているといい、スタッフ一人一人が内容を自由に決める“持ち棚”方式なのだとか。棚ごとのテーマ設定やそれに伴う作品のセレクトは、担当するスタッフにお任せ。「グルメ」「猫」など、それぞれが好きなものや日常生活で興味を持ったテーマが反映されています。このほか、新作や映画化された話題作をまとめた棚や、海外からのゲストも多いことから、落語などの日本文化をテーマにした作品も多数。

こちらは猫好きなスタッフによる、猫をテーマにしたエリア。棚を眺めているだけで、スタッフみんながマンガ好きというのが伝わってきます。

ほしよりこ作『きょうの猫村さん』。英語で解説を書くとこうした表現になる、といった発見もあります。

アニメ化や映画化される、旬の作品もラインナップ。最近人気なのは、2025年7月よりTVアニメもスタートした、モクモクれんによる『光が死んだ夏』だとか。

末永裕樹原作、馬上鷹将が作画を手がける『あかね噺(ばなし)』は、海外から来たゲストに日本文化を知ってほしいとセレクト。落語家の娘・朱音が、父の影響を受けて真打を目指す物語。落語をまったく知らなくても、楽しく読める一冊です。

海外からのゲストも多いため、英訳本も充実。

英語が話せるスタッフも数人いるそうで、全作品に日本語と英語で書かれたスタッフによる解説が添えてあります。

同ホテルが考えるマンガ=広義のアートという捉えかた

こちらには、マンガを「広義のアートとして捉える」というもう一つのテーマがあります。マンガはいち娯楽ではなく、日本を代表するカルチャー。すなわち「消費するものではなく、アートのように継がれていくもの」という考えから、こうしたテーマに辿りついたそう。マンガに囲まれた空間、手を動かして読む時間、スタッフの温度感が伝わるレイアウトなど、マンガの世界に浸れるさまざまな仕掛けによって、意識せずとも文化としてのマンガを体感できるのが、実は一番の醍醐味なのかもしれません。ここでの滞在は、不思議と忘れられない時間になるはずです。

松本大洋作『Sunny』が目を引く棚。「装丁やイラストに惹かれて手に取ったら、思いのほかおもしろかった」という人も多いそう。

荒木飛呂彦作『ジョジョの奇妙な冒険』の函装版は、誰もが知る人気作品というのはもちろん、表紙のイラストに惹かれて手に取る外国からのゲストも多いのだとか。

Photo: Akihiro Furuya / Text: Wako Kanashiro /

この記事の内容は2025年08月19日(公開時)の情報です