東京の夏を象徴する花火大会は、江戸時代から続く慰霊や悪疫退散の願いを受け継ぎながら、現代では音楽とシンクロした演出やユニークな花火が登場するなど、伝統と最新技術が融合したエンターテインメントへと進化。浴衣姿や屋台のにぎわいとともに、夜空を彩る“日本の夏”を五感で楽しめるひとときです。都内各地で開催される、人気の花火大会を紹介します。
東京の夏の催しといえば、夜空を彩る華やかな花火大会は欠かせません。その歴史は江戸時代にまでさかのぼり、1733年に始まった「両国川開き」が現在の『隅田川花火大会』の起源とされています。以来、東京の花火は“慰霊と悪疫退散”、そして“人々を笑顔にする夏の娯楽”として長く親しまれてきました。現在では、数多くの個性豊かな花火大会が都内各地で開催され、毎年多くの人を魅了しています。
職人たちの熟練の技によって生み出される花火は、色・音・形に至るまで繊細に計算され、夜空に大輪の花を咲かせます。ハート形やスマイルマークなど、見る人を驚かせるユニークな花火に加え、音楽と完全にシンクロしたプログラム花火など演出の幅も広がり、伝統と最新テクノロジーが融合するエンターテインメントへと進化しています。
会場周辺は、浴衣を着た人々が行き交い屋台が立ち並ぶ、日本の夏ならではの風景が広がります。河川敷にシートを敷いて観覧するスタイルのほか、屋形船や有料席など楽しみ方も多彩です。東京の花火大会は、受け継がれた伝統と最新技術が織りなす“夜空の芸術”。この夏は、東京の夜空を見上げながら、日本の美と粋を感じてみてはいかがでしょうか。
約15,000発の花火が夏の夜空を彩る『葛飾納涼花火大会』。昭和20年代後半に柴又の自治会を中心とした地元の有志が集まって花火を打ち上げたのが始まりといわれています。当初は市販の花火を地元の人が上げていたようですが、次第に河川敷に多くの人が集まるようになり、花火師が打ち上げる本格的な花火大会になりました。花火の打ち上げ場所は、昔も今も葛飾区柴又野球場(江戸川河川敷)。
観客席から打ち上げ場所までが非常に近いため、全身に打ち上げ音が響き、臨場感あふれる大迫力の花火を楽しめます。会場は東京都で初めて国選定重要文化的景観選定された・葛飾柴又。昭和レトロな街並みが残り、映画『男はつらいよ』ゆかりの名所も点在しているので、花火の前に立ち寄って観光するのもおすすめです。
野球場を舞台に打ち上げられるのが特徴。昨年は約77万人が来場した、都内最大級の花火大会。
『第59回葛飾納涼花火大会』
日程/2025年7月22日
時間/19:20~20:20
会場/葛飾区柴又野球場(江戸川河川敷)
https://www.city.katsushika.lg.jp/tourism/1000064/1000065/1031830.html
『いたばし花火大会』は、昭和25年、東京都板橋区と埼玉県戸田町との間で境界変更が行われたのを記念し、翌年「戸田橋花火大会」として開催されたのが始まり。やがて観客が増え、プロの花火師による本格的な大会へと発展。2025年で第66回を迎える都内最大級の花火大会です。国内最高峰の花火師10人による新作花火の競演や、300mに及ぶ「ナイアガラの滝」など見どころ満載のプログラム。
さらに、対岸では戸田橋花火大会も同時開催され、川を挟んで両岸から豪華絢爛な競演が見られるのもこの大会ならでは。打ち上げ総数15,000発(戸田市の打ち上げ数との合計)の中でも23区内で唯一『いたばし花火大会』だけで打ち上げられる「尺五寸玉」(15号玉)は必見です。直径約45cm、開花時には400m以上に広がる光の大輪が頭上に炸裂し、その轟音とともに圧巻の迫力を体感できます。広い河川敷で繰り広げられる連続花火の演出も見どころです。
都内のほとんどの花火大会では最大打ち上げが4号玉から8号玉の中、『いたばし花火大会』では10号玉をなんと54発も打ち上げる。
『第66回いたばし花火大会』
日程/2025年8月2日
時間/19:00~20:30
会場/板橋区荒川河川敷
https://itabashihanabi.jp/guide.html
東京の夏を代表する『江戸川区花火大会』は、1976年から始まった地域に根ざした多くの人々に親しまれている、歴史ある花火大会。毎年8月初旬、江戸川河川敷を舞台に東京都江戸川区と千葉県市川市の共同開催で行われています。打ち上げ総数は約14,000発。何層にも重ねた厚みのある花火が特徴で、各プログラムではイメージに沿ったBGMに乗せて花火を打ち上げます。
打ち上げを担当するのは、創業360年を超える株式会社宗家花火「鍵屋」。50年の歴史を誇る日本屈指の花火大会の演出を、第1回大会より変わらず担当しています。最大の見どころは、江戸川名物「富士の大仕掛け」のほか、開始からわずか5秒で1,000発を一斉打ち上げるオープニング。圧倒的な光と音が夜空を染め上げ、観客を一瞬で花火の世界へと引き込みます。今年50周年を迎える人気のイベントながら、地元のあたたかさも感じられる花火大会です。
公募企画で採用されたアイデアを盛り込んだ花火の打ち上げや、ギネス世界記録™に挑戦する「最も高い山型の仕掛け花火」にも注目。
『江戸川区花火大会 第50回記念大会』
日程/2025年8月2日
時間/19:15~20:20
会場/江戸川河川敷(都立篠崎公園先)
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/hanabi/
都心で音楽と花火が一体となって盛り上がる、東京の夏の祭典『神宮外苑花火大会』。1980年に始まり、東京の夏の風物詩として長く親しまれてきたこの大会は、他にはないスタイルが特長で「音楽花火フェス」としても知られています。観覧会場は神宮球場と秩父宮ラグビー場のふたつ。いずれも有料席なので、ゆったりと鑑賞ができます。また、山手線内で開催されるためアクセスが良いのも人気の理由。
神宮球場で行われるアーティストによるスペシャルライブと、夜空を彩る華やかな花火の共演が魅力で、10,000発の花火はもちろん、音楽とタイミングを合わせて花火を打ち上げる演出が行われることもあり、迫力と感動を体感できます。まさに“夏フェス”と“花火大会”のいいとこ取り。ライブに参加する感覚で、日本の夏の夜を楽しめるイベントです。音楽ファンも花火ファンも満足できる、東京ならではの華やかな夏の夜を、ぜひ体験してみてください。
街中で開催される花火大会なので、渋谷や原宿へのショッピングや観光の帰りにも見物できるのも魅力!(写真提供:©︎日刊スポーツ)
『2025 神宮外苑花火大会』
日程/2025年8月16日
時間/19:30~20:30
会場/神宮球場、秩父宮ラグビー場(いずれも有料席)
https://www.jinguhanabi.com/
1733年の江戸時代に始まった、日本最古の花火大会として知られる「両国川開き」。1961年まで続きましたが、水上の船舶類の混雑や、隅田川の環境が悪化したことをきっかけに中止に。その後、1978年に「両国川開き」の伝統を継承する花火大会として復活したのが『隅田川花火大会』です。今では、夏の風物詩として多くの人々に愛されています。
現在では、2つの会場から約20,000発の花火が打ち上げられる大規模な大会となり、毎年多くの観客が隅田川沿いに集まります。花火は伝統的な丸い花だけでなく、キャラクターの形などさまざまな演出があり見ごたえたっぷり。また、スカイツリーを背景に花火が打ち上がる様子は必見。浴衣姿の人々とともに川沿いを歩きながら、江戸の粋を感じられるこの大会は、日本の伝統美と現代のにぎわいが交差する貴重な時間となるでしょう。浅草や両国の下町情緒とともに楽しめるのも特徴です。
2カ所の会場から、それぞれ異なる趣向の花火が打ち上がるのも特徴。観る場所によって印象が変わるのも面白い。
『隅田川花火大会(第48回)』
日程/2025年7月26日
時間/第一会場19:00~20:30、第二会場19:30~20:30
会場/第一会場:最寄り駅 浅草駅・押上駅・東京スカイツリー駅・曳舟駅
第二会場:最寄り駅 浅草駅・蔵前駅・両国駅・浅草橋駅
https://www.sumidagawa-hanabi.com/
東京の夏の夜空を彩る花火大会は、日本の伝統と最新の演出技術が融合した、世界でも特別な体験ができるイベントです。都内各地で行われる花火大会は、それぞれに歴史と個性があり、日本の夏文化を五感で楽しめます。東京に来たら、ぜひ一度その美しさと迫力を味わってみてください。