硬貨を入れハンドルを回すと、カプセルに入ったおもちゃが出てくる小型の自動販売機・カプセルトイ。日本では、そのハンドルを回すときの音をひろって、さまざまな愛称で親しまれています。今回は、日本の企業とコラボした本物そっくりのミニチュアカプセルトイの魅力に迫ります。
日本独自の文化として、日本らしいお土産として、今や外国人からも人気の日本製カプセルトイ。専門店は増え続け、駅や空港などにもカプセルトイのスポットが出現しています。
その魅力は、開けるまで中身がわからないというドキドキ感と、低価格で楽しめる手軽さ、そして日本ならではのこだわりがつくり出した、おもちゃの多様なラインナップにあるといえます。
代表的な人気キャラクターのフィギュアのおもちゃのほか、本物そっくりのミニチュア、キーチェーンなどの実用的なグッズ、お土産にもなるご当地グッズなどなど……。なかでも今注目を集めているのが、日本の企業とコラボした、実際にある商品を本物そっくりに再現した「ミニチュアカプセルトイ」です。
本物と並べたミニチュア文具。実物と並べないとその小ささに気づかないくらい、とにかく本物そっくりに精巧につくられています
ミニチュアカプセルトイの魅力はなんといっても、手のひらにのる小ささなのに、細部まで本物そっくりに再現されている、その精巧さ。細かいところまで手を抜かない、日本の制作会社のこだわりを感じられます。
また、種類の幅も広く、食品やスイーツ、化粧品に文具、家具や家電などなど、日本人の日常にあるさまざまな商品が本物そっくりにミニチュア化されています。商品だけではなく、ラーメン屋のカウンターや銭湯の湯船など、日本の身近な風景までもミニチュア化。「こんなものまでミニチュアになっているの?」とつい驚いてしまう、そのユニークさも魅力のひとつです。
その小さいのに精巧なつくり、ププッと笑顔になってしまうユニークさに、コレクターになる人も多いですが、楽しみ方のひとつとして、本物の実物と一緒に写真を撮ることなどもあります。
早くから企業とコラボして多くのミニチュアカプセルトイをつくりだし、ブームを牽引してきたメーカー『ケンエレファント』の過去に話題になった名作から、細部まで精密に再現された、日本ならではの遊び心やこだわりを見てみましょう。
「酒のある悦び」ミニチュアコレクション
日本のお酒の焼酎やホッピー、サワーと、それぞれのおすすめの飲み方を再現。ビッグボトルの焼酎『ビッグマン』には梅干しがついていて「梅割り」が再現できたり、『キンミヤ焼酎』にはレモンと絞り器がついていたり。マドラーまで付属する細かさ!
『コニカミノルタ』ミニチュアコレクション
『一蘭』ミニチュアコレクション
大人気ラーメン店『一蘭』のラーメンからカウンター、看板など、店内をまるごとミニチュア化。カウンターはすだれが開けられ、呼び出しボタンには替え玉プレートを載せると「チャルメラ」の音楽が流れ、看板はLED内蔵でライトがつくなど、ギミックも満載
「銘菓」ミニチュアコレクション
日本人ならお馴染みの、伝統ある銘菓が勢揃いしたコレクション。『浪花屋製菓』の柿の種の缶には小袋が3つ入っていたり、『神戸風月堂』のゴーフルは1枚だけ取り出せたり、ギミックもしっかりあります
「銭湯」ミニチュアコレクション
全国浴場組合公認の銭湯フィギュアは、古きよき日本の銭湯の風景をミニチュア化。富士山の銭湯絵が描かれた湯船、番台、看板のほか、風呂上がりに飲む牛乳にベンチまで。日本人には懐かしさを感じるコレクションです
『ロッテリア』ミニチュアコレクション
ファストフードの『ロッテリア』の人気メニューをミニチュア化。それぞれ紙ナプキンやレシートなど細かいパーツがついているのがリアル! 看板はライトが光ります
『ケンエレファント』の企業コラボのガチャガチャが世間に注目されるきっかけになった商品は、日本のトップ家具メーカー『カリモク』の『カリモク60』ブランドの名作チェアのミニチュアでした。
『カリモク60』でお馴染みのモケットグリーンのチェアの張地をフロッキー加工で表現し、リアルに再現したのが、当時のカプセルトイとしてはクオリティが高く、とても新鮮で、各メディアに取り上げられたのです。
企業コラボのミニチュアの再現性の高さや精密さは、カプセルトイを子ども向けのおもちゃから、大人も楽しめるものへと変えていきました。
フロッキー加工でソファの柔らかい生地感を表現した、『カリモク60』の代表作『Kチェア』のミニチュア
企業コラボのミニチュアで大切にしているのは、両者がそれぞれリアルに再現したいポイントを、縮小したときにどれだけ表現できるかどうかだと、営業担当の蒲地さんが教えてくれました。そして、大事なのが現物を縮小する「モデリング」という工程。実物を360°からくまなくチェックして、トイの大きさに縮小した設計図を描く作業ですが、どの大きさに縮小すれば表現したい細部までリアルに再現できるのか、何度も何度も検討しながらおこなう大変な作業。AIなどを使用せず、すべて人の手によりおこなわれているんだそう。
『テクニクス』のターンテーブルのミニチュアは、ターンテーブルにレコードを置くことができ、さらにそのレコードにはちゃんと溝が再現されています
その後、各社が競って企業コラボのミニチュアが生まれるようになりましたが、『ケンエレファント』はその再現性の高さやこだわりで、いまなお日本のカプセルトイ界を牽引しています。
『ケンエレファント』社内で過去のアーカイブが飾っている棚は圧巻! ミニチュア以外に、アーティストとコラボした可愛いオリジナルフィギュアも人気シリーズのひとつ
日本らしいこだわりや精密さにあふれた企業コラボのミニチュアカプセルトイは、今後もさまざまな商品が生まれ続け、私たちを驚かせ、そして魅了することでしょう。