2025.02.27
スニーカーが単なるスポーツ用品だった時代から、日本では特に欧米のスニーカーに新たな価値を見出し、文化として発展させてきた歴史があります。個性豊かなスニーカーを次々リリースしてきたスニーカーセレクトショップ「アトモス」で、シューズクリエイターとしてカルチャーを牽引してきた小島氏に、日本のスニーカー事情について話を聞きました。
ナイキのエアジョーダン1やアディダスのスーパースターが話題になった1980年代。日本でもストリートファッションの流行によって、スニーカーは単なるスポーツアイテムからファッションアイテムへと進化していきました。1990年代には、スニーカーがトレンドの中心となり、さまざまなスポーツブランドから個性豊かなスニーカーがリリースされるように。原宿を中心にスニーカーショップが誕生し、雑誌やムック本ではスニーカー特集が組まれるようになります。特に、ナイキのエアマックス95の発売は話題になり、これによってブームが日本中に波及しました。そんな中、スニーカーセレクトショップ「アトモス」が誕生します。
当時の日本はストリートファッション全盛期。ストリートブランドやデザイナーズブランド、さらにそれらのブランドを扱うセレクトショップが流行の発信源となっていました。海外ブランドのみならず日本生まれのブランドも人気で、国内のブランドも積極的にスニーカーの別注モデルをリリースするように。小島氏は、日本には世界的に有名なブランドが多いと指摘します。
「日本には、ベイシングエイプ、コムデギャルソン、アンダーカバー、ネイバーフッド、サカイ……などなど、独自の世界観を持ち、世界各国で認知されているブランドが数多く存在します。そんな国、あまりないんじゃないかな。それらのブランドがスニーカーとコラボしてきた影響は、日本のスニーカーカルチャーにとって大きいと思います」
1990年代のスニーカーブームは2000年代のハイテクスニーカーブームへ。その後は落ち着きを見せます。しかし近年、スニーカーヘッズと呼ばれるコアなファンが数量限定販売のスニーカーを求めて長蛇の列をつくったり、転売目的の業者による買い占めなどが、世間からの注目を集めています。
スニーカーブームが落ち着く中、多くのスニーカーショップが淘汰されていきましたが、アトモスは25年以上にわたってスニーカーカルチャーを牽引し続けています。その理由は、企画力、販売力、そしてメーカーとの長年の信頼関係。
「他店との差別化ができなかったスニーカーショップは淘汰されました。アパレルのセレクトショップならスニーカーブームが去れば取り扱いを減らせばいい。しかし、我々はスニーカー専門店なので、ブームに関係なくスニーカーを扱い続ける。そうなると最も重要なのは企画力です。アトモスが手がける別注モデルは年間50型ほど。毎週のように新商品をリリースし、国内のお客様だけでなく訪日観光客にも新鮮さを提供し続けています。また、メーカーとの信頼関係があるからこそ、他店では扱えないモデルや企画が実現できるんです」
アトモス × ナイキ エアマックス1 エレファント 2017年発売
プーマスエードMIJスカジャン 2021年発売
アトモス × アシックス ゲル-インスト.360 2011年発売
2021年、アトモスはアメリカの大手スニーカーショップ「フットロッカー」の傘下となり、世界各地に展開しています。そんなアトモスが注目するのは日本のサブカルチャーとのコラボレーション。
「グローバルに展開する中で、日本の強みは何かを考えたとき、漫画、アニメ、ゲーム、トイといったサブカルチャーとの親和性に着目しました。最近発売したeスポーツチーム『クレイジーラクーン』とのコラボモデルは、初めてのジャンルでしたが発売日に完売し、大成功でした。こうした掛け合わせによって、お互いにシナジーを生むような試みは、業界をリードする立場として、これからも大切にしていきたいですね」
アディダス オリジナルス サンバ アトモス クレイジーラクーン 2024年発売
プーマ パレルモP3Rアトモス 2024年発売
アトモス創業25周年を記念した日本最大級のスニーカーイベント。参加各ブランドのブースでは、イベント専用の企画が展示されます。現在、期間限定で特別割引の入場券が販売中。最新情報は、SNSと下記のURLで随時更新されます。
WEB:
https://www.atmos-tokyo.com/lp/atmoscon
2000年、テクストトレーディング(現フットロッカーアトモスジャパン)入社。現在は「アトモス」のクリエイティブディレクター&メンズシニアディレクターとして同ショップの運営統括やバイイングを手掛ける。
Instagram:
https://www.instagram.com/koji198139/